全文表示 巨大女子相撲部

   筑井とナナが会話していた時のこと。

   姿を消していたあおいすももの二人は    現在、昨夜の浜辺からだいぶ    距離のある岬にいた。

   葵だけが先に意識を取り戻し、    何とかそこまで移動していたようだ。

 葵「ハァ・・・」

 葵「ハァ・・・。ハァ・・」

 葵(李がこんなに目を覚まさないの    なんて初めて・・・)

 葵未來あいつのパワー    そんだけヤバかったんだね・・)

 葵(この威力だと殺様より    たぶんずっと上いってる・・)

??「日陰で休憩とは    ええ御身分じゃの」

   彼女達の頭上。崖の上から    一人の男が話しかけてきた。

 葵「やっとかよ・・」

 葵「57ごしつ。来んの遅くない‥!?」

   その男の正体は、    真西椿と永嶋美穂を襲った    張本人である57と呼ばれる    ナンバー。

   彼は葵が苛立つ様子を気に    することもなく、握りしめて    いた巨大な何かを引きずりながら    崖下へと飛び降りてきた。

57「どうせ、隣のそいつが目覚めんと    おまんら泳げんのじゃろ?」

57「だったら遅かったとしても気に    することなかろうて」

 葵「そっちが遅いからこんな    なってんだろ。」

 葵「マジムカつく・・・」

57「かっかっか・・!!」

57「まあ、そう怒るな」

57「それにしてもネズミこいつ・・」

57「まあ、思いのほか逃げ逃げる。    こいつの逃げ足にはまるで    適わんかったわ」

57「それで、巣ごもるのを    待つしかなくての・・。    だから、この時間までかかった」

 葵「言い訳はいい!謝れや!」

57「誰にじゃ・・?」

 葵「私達!!」

57「片方寝とるではないか」

57「今、謝罪を要求してどうする?」

 葵「ナンバーの分際でマジ生意気だわ」

57「お互い人成らず者同士。」

57「上だの下だの、あってない    ようなもんじゃろ。    せめぎ合ってどうする?」

 葵「ナンバーあんたらは存在すら    認められてないんだよ」

 葵「だけど、ミドルこっちは少なくとも    それは認められてる。だから    こっちが上!!上上なの!」

57「それもそうじゃな・・」

57「だが、そのおかげでワシらは    力を手に入れられとる」

 李「ンっ・・・・」

 葵「あっ・・・起きた」

57「起きたか・・」

57「それじゃすまんかったな、    二人とも」

 葵「あぁッ!?ずるい!!」

 葵「私が良いって言ってから謝れ!」

57「約束は果たしたじゃろ。    これ以上の要求を呑む気はない」

 葵「あぁ~、もう・・・」

 葵「あんたとはどうもやりにくいよ、    キモい。マジ無理・・。    めんどくさい」

57「指摘はしてこんかったが、    ワシもお前に同じ気持ちを    抱いとるぞ」

 葵「んぅぁ~~!!」

 葵「もういいや。とにかく、    これでやっと帰れるよ。    それだけでいい、うん・・」

   それから葵と李の二人は、    立ち上がって影の中から外に出る。

   屈めていた体を伸ばし、    固まっていた体をほぐし    始めた。

 葵「やっと動けたきもちいーー!!」

 李「・・・・・」

57「それじゃあ、ネズミこいつを    持ってさっさと帰れ」

 葵「気持ち悪いから    持ちたくない!絶対」

57「心配するな。こいつはしばらく    動かんようにちゃんと細工はしとる。    暴れる心配はない」

 葵「そういう問題じゃねえよ!」

 李「・・・・」

 李「・私が運ぶ」

57「おぉ、そうか。    お前は聞き分けがよくて、    やりやすいな」

   そして、彼女達は着水し    海の中へと入る。

   その後57を上に乗せるために    陸地の方を向き彼に話しかけた。

 葵「さっさと57も乗って」

57「わしは構わん」

 葵「なに、さっきので怒った?    それなら謝っちゃうから」

57「なんじゃお前、意外と    可愛いとこあるじゃないか」

 葵「だって、人多い方が楽しいし‥」

57「心配するな、怒ってはおらん」

57「実は、ネズミ狩りの任務期間が    まだ結構残っとってな。その間、    ちょっと遊んでから帰るつもり    なんじゃ」

 葵「あっそ、分かった、とりあえず    協会には遅れて帰ってこないでよ」

 葵「怒られんの、私!なんだから」

57「分かっちょる。母親かお前は」

 葵「母親なんて知らないくせに」

57「会ったことはなくても    どんなものかぐらいは知っとる」

   そうして葵と李は57を三里桜島に    残しネズミと共に姿を消していった。

57「さてと‥、」

   彼女達の姿が完全に    見えなくなった後、    上着から何かを探り出す57。

   彼が上着から取り出したもの    それはスマートフォンであった。

   それを地面に置いて、    操作を行う。

   しばらく操作をしていると    波打つ音だけが聞こえていた崖縁に、    電話の呼び出し音が加わる。

   どうやら、どこかに    電話をかけているようだ。

57「・・・・・・・・・」

??「57か、どうした?」

57「ネズミを狩り終えた。    結合共にすでに渡しておる」

57「じきにそっちに届くじゃろう」

??「そうかよくやった」

??「だが要件はそれだけ    じゃないだろ?」

57「よう分かっとるな。    さすがは渋場じゅうば先生」

57「任務期間ギリギリまで帰らんと、    それも伝えよう思っとったんじゃ」

渋場「またお前は‥、支障は    ないにしてもただでさえ    ナンバーは減っているんだ」

渋場「近いうちにお前も雑用に    回される日が来るやもしれん」

渋場「今みたいに融通が利く時期も    そうないと思っておけ」

57「また、やつりおったか」

渋場「あぁ‥、最近になって    またひどくなってきている」

57「さっさとあの程度の女。    殺せばええじゃろ」

渋場「処分だけなら難しくはないが、    できない理由が多いのはお前だって    知っているだろ」

渋場「こっちは春川の件でも    忙しいって言うのに・・。    会長にも動いてほしいもんだぜ」

57「そりゃご苦労なことじゃな」

渋場「心にもないことを・・・。    こっちは忙しいんだ。切るぞ」

   57の返事を待つことなく    ここで電話が切れてしまう。

57「・・・・・」

57「ンゥ・・・・」

   急遽切られ動きを一瞬止めた    57は、その後使う必要のなくなった    携帯を上着へしまう。

   それからゆっくり腰を上げ    彼は森の中へ入って行った。

57「さて・・・・、」

57「本題はこっからじゃな」

   ネズミ狩りを完了させた57。

   だが、そんな彼の口から他の目的を    ほのめかすような発言がこぼれる。

   いったい彼の目的とは・・。

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