全文表示 巨大女子相撲部

   広場から解散し、美穂の捜索を    開始した瑠璃、筑井、美香の3人。

   瑠璃は寮周辺。

   筑井は肝試しに    使っていた森へ。

   そして、美香は昨日昼間に遊んで    いたビーチに向かっていた。

美香(なんで私までこんな目に・・)

   嫌々駆り出されることとなった    美香は、面倒くさがりつつも    浜辺へ移動していた。

   考え事をしながら暗い夜道を    歩くこと数分、やっとのことで    彼女は浜辺に到着する。

美香(あのまま、医務室前に    居たかったけど瑠璃先輩が    いたんじゃ、それは無理がある)

美香(捜索が終わっても先輩が    医務室に戻ることになるし    中の様子を見るのは無理そうね)

   どうせ、中の確認も取れず捜索の    協力をしなければならないのであれば、    せっかくだしちゃんと探してやろう‥。

   と、彼女は考えたようで、それから    ゆっくり浜辺周辺を見渡し始める。

美香(そう言えば昨日の昼‥。美穂先輩    向こう側に行ってたっけ‥?)

   ビーチで遊んでいる時、    美穂が岩場に向かっていることを    思い出し、そちらを見つめる。

美香「んっ‥‥」

   彼女が見つめた先に    何か動く物が‥。

美香(あれって‥?二崎先輩‥?)

   暗く距離もある為、断定はできないに    しても、その影が二崎だと判断した    美香はその人物の後をつけ始めた。

美香(やっぱり、二崎先輩だ‥)

   十数mの距離まで近づき    目を凝らして、その人物が    二崎だと彼女は認識する。

   丁度よく隠れるのに適した    岩陰を見つけたので、    そこから行動を見ることに。

美香(それにしても何故、二崎先輩は    ここへ訪れたのかしら‥?)

美香(こんな時間に美穂先輩がここに    訪れる理由があるとでも言うの?)

美香(でも、この様子だと    ただの特訓で抜け出たわけじゃ    ないのは間違いなさそうね‥)

   美香が彼女の謎めいた行動に    興味をそそられるている中、

   二崎は持っていたライトを使い    周囲を照らし出す。

美香「!?」

   ライトで照らされることによって、    地面の様子が明るみになる。

   そこに映し出されたものは    赤く輝く血痕の後であった。

美香(いったいあの血は何なの‥?)

美香(あの量だと相撲部の人間しか    ありえないレベルだけど、姿を    消した人間はいなかったはず)

美香(まさか美穂先輩のじゃ・・!?)

美香(いや、でも二崎先輩の反応を見ても    彼女はこれを初めて見るわけ    じゃなさそうだし、さすがに    美穂先輩のものではないか・・)

   驚く美香をよそに、冷静なまま    一切変化を見せない二崎。

   その様子から、ビーチで自分達と    別れた後に彼女がこれを見ていた    ものだと美香は推察する。

   殺人現場とも思えるその光景を夢中に    なりながら見続け、そしていつもの    ように彼女は分析を行っていた。

美香(それにしても何で二崎先輩はここに    美穂先輩が来ていると考えたのかしら?)

美香(ほぼ確実にあの血痕を残した    人物が関係していると思うけど、    そもそも、その人物って誰よ?    そして今どうなっているの‥?)

   二崎が美穂捜索の為にこの場所に    訪れた理由を探るべく、まず    血痕を残した人物が何者なのか    考察することにしたようだ。

美香(そう言えば怪我人って先輩が面倒を    見ている相手が丁度そうじゃん)

美香(もしかしてここで怪我をした人物の    看病を先輩がしているんじゃ‥?)

美香(いや‥、でもそれだと    あの血の量が引っかかるわね)

美香(先輩が面倒を見ている人は    一般寮にいるわけだし、血の量から    して怪我人の体格は私以上のはず    だからそれはないか・・)

美香(だとしても、ここの怪我人)

美香(そして先輩が面倒を見ている人物‥。    これらに因果関係がないとは思えない)

   美香がこれらに繋がりが    あると考えるのに、    根拠が無いわけではなかった。

   なぜなら昨日筑井が岩場から    戻って来た美穂と合流した後、    何故か彼は医務室へと向かって    いたからである。

   筑井自身が怪我をしていなかった以上    岩場の怪我人にまつわる何かで医務室に    向かっていると思うのが順当。

   なので、美香がこれらに結付きが    あると考えるのも自然なことであった。

美香(でも、もし関係があったとしても    体格の問題が矛盾を生じさせている)

美香(この矛盾という名の糸を    上手くほどいてやるには、もっと    別の観点から探っていかないと)

美香(まず、先輩がなぜ美穂先輩と    合流した後、医務室へと向かって    行ったのか‥?)

美香(普通なら則夫さんに怪我人の    ことを伝えに行ったと考えるべき    なんだろうけど、)

美香(それだと先輩が医務室で    面倒を見ている人物と    結付けることができない)

美香(あの血痕を残した相撲部員並みの    体格を有している人物と)

美香(筑井先輩が一般寮で    面倒を見ていることを無理やり    結付けるのであれば‥)

美香(2人以上ここに怪我人がいた‥?    その可能性もありえなくはない・・)

美香(たぶんもう一人いたなら、それは    先輩でも運べるサイズの人間のはず)

美香(美海が先輩との接触禁止について    何も言わないでいたのはその怪我人を    実際に見ていたからでしょうね)

美香「・・・・・・・」

美香(とは言っても、これはあくまで仮説)

美香(あの日のことと何か関係が    あるから黙秘でいるという線も    捨ててはいけない‥)

   そこまで考え終えた美香は    それから、二崎がここへ訪れた理由を    模索すべく更に頭を回転させる。

   そんなタイミングで二崎に動きが‥

二崎「そこに誰かいるの・・?!」

   何かの気配に気が付いたのか    二崎が突然、後ろを振り返り、    ライトの光を後方に向ける。

   物音を立てたつもりはないが    気付かれてしまったものだと思った    美香は恐る恐る、岩陰から姿を    現わそうと動き出した。

   しかし、美香が二崎の前に姿を    現わす、ほんの一瞬前に別の誰かが    二崎の前に出てきたのだ。

   すかさず彼女は岩陰に再度    身を潜め様子をうかがう‥。

二崎「あ、あなたは確か・・」

   二崎が声をかけた人物‥。    それは孔雀ヶ原高校の功刀くぬぎ ともえ

功刀「さすがは二崎さん・・・。    よく私の気配に気づきましたね」

美香(前にいたはずなのに全然気付か    なかった‥)

美香(蒼雲って人とペア組んで    たけど、いったい何者なのこの人‥)

二崎(こ、こんな近くに・・・)

二崎(岩場の後ろから人の気配を    感じたはずなんだけど・・・)

   この時二崎が感じ取っていた気配は    どうやら美香のものだったようだ。

   まさか、自分のすぐ後ろに人がいた    などと考えもしていなかったようで    彼女はまるで肝試しで驚かされでも    したような面持ちになっていた。

二崎「どうしてここにいるの‥?」

功刀「あなたがこんな時間に寮を    抜け出してたのを変に思ったから、    とでも言えばいいでしょうか?」

功刀「それに、何でここにいるのか    聞きたいのは私も同じなんですよね」

功刀「この血の跡にしろ、いったい    何があったと言うんですか?」

二崎「あなたに話す必要はないわ」

功刀「分かりました。    この血については何も    聞きません」

功刀「ですが、今何かを    探しているんですよね?」

功刀「協力しますよ。    人手も欲しいことでしょうし」

二崎「・・・・・・・・」

二崎「部外者を巻き込むわけにはいかない」

二崎「気持ちは嬉しいけど    協力してもらわなくて結構よ」

   すると功刀が血痕がある場所へと    向かい、そこでしゃがみだす。

   そこで乾いた血を爪で削り、    欠片を拾い上げてから、    それを口まで運ぶ。

二崎「・・・・・・・・・・」

功刀「これ獣の血の味じゃなく    人のものですね、絶対」

功刀「すごく嫌な味がします・・」

功刀「犯人は現場に戻るって言い    ますけど、まさかね・・・・」

二崎「そんなわけないでしょ‥」

二崎「それにその血については何も    聞かないんじゃなかったの?」

功刀「すみません、独り言が    少し大きかったですかね?」

二崎「ふざけないでくれる‥」

二崎「今は人を探しているの。    だから邪魔しないで」

功刀「探している人って    永嶋さんですか‥?」

二崎「!?」

功刀「だったら‥。    いや、何でもないです」

二崎「・・ッ!」

二崎「あなた、何か知ってるの?」

功刀「いえ全く、勘で言ってみただけです」

二崎「だったら、何でもないって    どういう意味なのよ‥?」

功刀「言い間違いをよくするだけ    なんで特に深い意味があるわけ    じゃないです。すみません」

二崎「鎌かけたわけね・・・」

功刀「別にそういうわけでは    ないのですが」

功刀「それにしても、永嶋さんを探す為に    この場所に来たというのは    どういうことなんでしょうか?」

二崎「そ、それは‥」

功刀「話さなくて結構です」

功刀「私なりに分析して    みてもいいでしょうか?」

二崎「分析‥?」

二崎「何か意見でもあるの?」

功刀「話を聞いて協力するに値するか    判断してほしいと思って」

二崎「・・・・・・・・・・・・・」

二崎「まあいいわ、話してみて‥」

功刀「ありがとうございます」

功刀「それじゃあ話をさせて    いただきますが、まず血の量を    見るに血痕を残した人物はミドルで    間違いないですよね」

功刀「ですが、両高校共に怪我人は    出ていない‥」

功刀「それなら、この血は別の誰かのものと    なりますが、まあその人物が誰かは    気にしません。検討つかないですから」

功刀「ただ、この場所に永嶋さんを    探してあなたがここに来た理由は    なんとなく理解できます」

功刀「彼女と怪我人の間で何か問題トラブルが起きた」

功刀「そして、それはまだ解決してない」

功刀「永嶋さんがその問題を解決する為に    姿を消したと思ったあなたはこの場所へ    訪れた。そんな所じゃないですか?」

二崎「・・・・・・・・・・」

二崎「だいたい合っているわ‥」

二崎「その考えでここに来たのは認める」

二崎「だけど、何も本人から話を    聞けてないから実際どうなのかは    分からないけど‥」

   そう発言した後二崎が    どこか悔しげな表情を浮かべて    いたのが気になったのか、    功刀が続けて喋りだす。

功刀「どうして自分に相談してくれ    ないんだって顔してますよ」

二崎「っ・・・・・」

功刀「永嶋さんは一人で抱え込んじゃう    タイプみたいですね」

功刀「言っちゃあれですけど    不器用な人に思えます」

功刀「それが彼女の一番の欠点でもある」

功刀「そして、それは二崎さん。    あなたも同じだ」

二崎「何が言いたいのよ‥」

功刀「お互い弱みをさらけ出せないでいる」

功刀「軽い相談はできても、    深い悩みまでは    打ち明けられない」

功刀「あなたが自分には    頼ってくれないんだって    永嶋さんに言えないでいる    ことがまさにそれです」

二崎「ふざけるないでって    言ってるでしょ‥!」

功刀「すみません。ですが、    もしそうなら一番よろしく    ない形かと思ったので」

功刀「まあ、忠告という意味で受け    取っておいてください」

   二崎の不機嫌そうな顔を    ジッと見つめた後、    血を再度見て話題を戻す。

功刀「永嶋さんの行先についてですが、    ある程度の予測なら立てられます」

功刀「彼女が姿を消した理由が    この血の人物と関係あるものと    して、話を進めますが、」

功刀「まず、この怪我は人の手に    よって傷つけられたものだと    私は思っています」

功刀「動物や自然災害で傷ついたものなら    助かる見込みはなさそうですし、」

功刀「こんな人気のない場所に来ると言う    ことは誰かに追われて身を潜める    為に来たものだと判断できます」

功刀「その人物と会話をした    永嶋さんは‥」

   功刀がそこまで話した    タイミングで二崎が割って入る。

二崎「言いたいことはもう分かっている」

二崎「怪我を負わせた人物が    この島の中にまだいて、」

二崎「美穂はその人物を    捕まえる為に姿を消した、    そう言いたいんでしょ」

功刀「あ、すごいです、やっぱり    二崎さんは分かっちゃうんですね」

功刀「しかし、気になることも    あるんですよね・・」

功刀「槍薔薇がビーチを訪れたのは    昨日ですよね?」

功刀「そうなってくると    気になるのがこの1日の間‥」

功刀「なぜ昨晩ではなく    今晩なんでしょうか?」

二崎「・・・・・・・」

二崎「監督がいなくなったこと    たぶんそれが理由」

功刀「さすがは二崎さん。賢いです」」

功刀「その逃がした怪我人の    止めを刺すには、藤崎監督が    いたら難しいでしょうし」

功刀「いなくなった今晩に来ると    普通思いますよね」

功刀「まあ、これぐらい二崎さんなら    説明しなくても分かってましたか」

二崎「えぇ‥」

二崎「美穂のことだから犯人が    またここに来るものだと考えて    いると思って私もここに来たわ」

功刀「私でもそう考えます。しかし、    この場所にいなかった

功刀「怪我人が隠れるとしたら例えば    森の中とかにいそうですけど、    ただでさえ広い森をこんな時間に    探すとなればちょっと大変です」

功刀「ですが、もし保護されているので    あればその怪我人は、ミドル用の    医務室にいるかもしれません」

功刀「永嶋さんも犯人を抑える為に    待ち伏せているかもしれませんし、    まずそっちに向かってみましょう」

二崎「そうね・・・」

   影からずっと話を聞いていた    美香はなぜかこの状況に対し    ワクワクした気分になっていた。

美香(なんか、犯人とか出てきて    すごいことになってんじゃん‥!)

美香(今までの話はあくまで予想    なんだろうけど、妙な説得力も    あったし結構ありえるのかも‥)

   彼女が様々な憶測を蔓延はびこらせていると、    二人がその場から移動を始めようと    していたので次は急いで草陰に隠れる。

   そして、岩場から移動した    二人の後を確認し終えると、    彼女もこっそりその後を    付け始めるのであった‥。

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