巨大女子相撲部

   翌日の朝。    広場には槍薔薇の生徒約200名と    孔雀ヶ原の生徒約100名が    集められていた。    そんな光景を寮内から眺める筑井。 筑井(こんだけ、集まると    さすがにすごいな・・)    昨晩彼は1年生達とIMOを    続けていたが結局1勝もできずに    終わってしまっていたようだ・・・。    その後何事もなく皆眠りにつき    朝を向かえる中、筑井はIMOで    全敗したことをいじられるのを嫌い    一人先に部屋を出ようとしていたが、    ドアを開けることができない彼は    結局、彼女達と共に外に出ることに。        その途中、藤崎と偶然会い朝礼には    参加しなくても良いと言われたので    現在寮内から外の様子を    見ているようだ。

   そんな300人の前に二人の人物が    立っていた。それはもちろん、    両高校の監督達。    左に立つのが槍薔薇厳衛の藤崎美理央。    右に立つのが孔雀ヶ原の花園真由里。 藤崎「さっきも話したが    うちのガキ共の世話は任せた」 花園「そら、頼まれたもんは    引き受けますけど、いったい    どうなされたんです?    いきなり島を離れるなんて」 藤崎「一気に問題が増えてな」 花園「あなたの自由が妨げられる程    協会に乱れがあるんですか?」 藤崎「別にそういうわけではないが、    あながち外れてもいない」 花園「相変わらずハッキリ答えん人ですね…。    まあ、生徒達待たせとるんで    詳しく聞きはしませんけど」    そして、藤崎が一歩前に出て    槍薔薇の生徒達に声をかける。

藤崎「まず、お前達に言っておかな    ければならないことがある。    今から合同練習を行うが私は    島からいなくなる」 藤崎「その間、隣の豊胸婆さんが    お前達の指導をすることになる。    失礼のないようにしろ」 花園「ど、どうも槍薔薇の皆さん    花園真由里言います・・・。    豊胸は藤崎さんのジョークやから    本気にはせんでくださいよ・・」 花園(ほんま腹立つわ・・!    一番失礼なんはあんたや!!    自分の乳のなさ気にしすぎやろ) 瑠璃「な、なんで島から    いなくなっちゃうんですか・・!?」 藤崎「急用ができた」 美香「急用って言うのは・・?」 藤崎「答える必要はない」    最低限の質疑を終えた後    それ以上藤崎に対して質問を    行う生徒は誰一人いなかった。

花園「よう調教してはりますな」    先程の仕返しと言わんばかりに    嫌味っぽく藤崎に声をかける。 藤崎「まあな」    藤崎との会話を終えてから    再び花園が生徒達に話しかける。 花園「皆さん藤崎監督おらんくなるから    心配しとるかもしれんけど、    そんな不安がらんでも大丈夫」 花園「私も他校の生徒を受け持つことは    珍しいことやあらへんし邪魔する    ようなこともせいへんから。    互いの士気を高めあいよりより    合同練習にしましょう」 藤崎「貴様ら如きで士気が    上がるとも思えんがな」 花園「あんま舐めとったら    最強の槍薔薇言えど痛い目    見ることになりますよ」 藤崎「それもそうだな。少なくとも    蒼雲の才能は脅威になり得る」

蒼雲「ちょっ、やめてくださいよ藤崎監督!    私が強いみたいじゃないですか!?」 花園「うちの蒼雲さん、才能だけなら    未來さんとええ勝負やないですか」 藤崎「才能だけならな」 花園「やる気さえあれば    いいんですけどねぇ・・」ハァ    ため息を吐いた後、花園は藤崎の    耳元に近づき何かを囁き始める。 花園「そっちの永嶋さんもごっつ強いのは    知ってますけどそれより上、一人    いますよね?なんで隠してるんです?」 藤崎「どっちのことだ?」 花園「どっちって寸道ずんどうさんしかおらんでしょ。    彼女ものごっつ強いはずなのに蒼雲さん    同様全然前に出ないやないですか?    何か狙いでもあるんですか?」 藤崎「もし狙いがあったとして    それを言うと思ってるのか?」 花園「そら普通なら言いませんか。    下手な質問してすみません」

花園「ですが、見てみたいですねぇ。    槍薔薇最強と孔雀の最強。    藤崎さんおらんくなることやし    私の方で勝手に組ませるかも    しれませんわ」 藤崎「だったら、蒼雲が    恥をかくことになるな」 花園「私はその逆やと思いますけどね」    会話が終わると彼女は    藤崎から離れ元の立ち位置に戻る。    そして、待機していた部員達に    笑顔を見せまた話しかける。 花園「長話もなんやし、    さっそく練習しましょうか。    すまんな、待たせて」 藤崎「槍薔薇こっちの連中には話して    おきたいことがある。貴様らは    先に練習場所に向かっていろ」 花園「そうですか、分かりました」    花園は藤崎の命をうけ先に    練習場所へと向かっていった。

   残った槍薔薇女子相撲部達は    藤崎に集められていた。 藤崎「さっきも言った通り今から島を出る。    美穂、二崎を主軸に動くように」 一同「はいっ!」 藤崎「それとは別に伝えねば    ならないことがある。    そのために個別で集めた」 藤崎「筑井ク‥えっと…筑井細奈についてだ。    彼はいつも通り部活には参加しない    のだが、その間仕事を任せている」 美香(仕事・・・?) 藤崎「昨日この島で怪我人が出た。    その怪我人の世話を頼んでいる」 藤崎「治療により怪我はすぐに    回復するだろうが、精神的には    まだ安定していない状態だ」 藤崎「お前達が姿を見せれば    強い刺激になりかねん」

藤崎「一般、相撲部寮共に医務室前には    近づくな。分かったか」 一同「はい」 藤崎「筑井細奈との接触を禁ずるという    わけではないが、彼が世話を    しているわけだから、もちろん    彼にも近づくな、絶対だぞ」 藤崎「筑井細奈に近づけさせたくないから    こんなことを言ってるわけではない。    それだけは誤解するな」 一同「はい」(絶対それが目的じゃん・・) 美海「・・・・・・・」   (昨日の先輩が運んでいた女の子か・・    いったい何者なんだろう・・)    ほとんど部員達は誰のことか分かって    いなかったので、藤崎が筑井細奈と    接触させないために適当に理由を    考えたのではないか程度の認識で    怪我人には関心を示していなかった。    ナナの姿を見ていたのは美穂と美海の    二人だけ。彼女達は怪我の状態を    知っていたのでナナの心配していた。

藤崎「それじゃあ、私はここを離れる    練習場所は2年が知っているから    1年は後に続くように」    そして、1歩進んで立ち止まり    最後に彼女達に向かって    振り向くことなく声をかける。 藤崎「今よりもっと高みを目指せ。    そして私を喜ばせろ。    お前達には期待しているぞ」 一同「はい!!」    彼女達の返事を聞いた後    藤崎はその場から姿を消した。    残された槍薔薇女子相撲部たちは    さっそく藤崎に言われた通り    練習場所の浜辺まで向かい始める。    しかし、一人棒立ちのまま    佇んでいる生徒がいた。    それが誰かと言うとそれは美香。    先ほどまでの話を聞き彼女なりに    何かを探っているようだ・・・。

美香(怪我人って言ってたけど    この島にはすでに監督の弟がいた    はずでしょ?なんで筑井先輩が‥?    仮にこの島の住人が怪我人なら    先輩が面倒見る理由はないはず)    昨日、則夫と会っていた美香は    彼が医者であることを知っていたので    筑井が面倒を見ていることを    おかしく感じていたようだ。 美香(もしかして怪我人って冥瓦のこと    かしら?いや、それはないか・・。    たぶん島を出る理由は冥瓦を監督の    お師匠様の所に預ける為だろうし‥) 美香(この島にはそもそも住人は    少なったはずよね、もし怪我人が    出るとすれば、それは外部から    来た人間になる可能性が高い) 美香(孔雀に先輩の知り合いがいるとも    思えないし、それはないとして、    槍薔薇にもいなくなってる人物は    誰一人いないみたいだし‥‥‥。    まじで誰なのよ。全く見当がつかない)

美海「ちょっと美香何してんの?    早く行かないと怒られちゃうよ」    無言で立ち尽くす美香の姿が気に    なったのか美海が声をかけてきた。 美香「えっ・・ああ、ごめんごめん!    今行くから・・・・」 美香(そういえば昨日から美海、    先輩の話題になってもリアクションの    一つもしなくなってる) 美香(あの日のことについて    黙秘を貫くのには理由が絶対    あるんだろうけど接触制限に    対してすら何も言わないのは    どうして・・・・?) 美香(それともなに・・?もしかして    この接触制限もあの日と関係が    あるから何も言わないでいるわけ?) 美香(先輩の監禁とこの島の怪我人を    結びつけるのは無理があるけど・・。    美海の様子からその可能性も    ありえなくはないんじゃ‥‥‥)

   予想は少しずれてしまっているが    徐々に美香は答えに近づきつつあった。    美海は怪我をしていた少女が、    72と関係がある人物だと言う    ことはもちろん知らない。    彼女が接触制限に対して何も    言わなかったのは少女の容態が    酷かったから、それだけである。    しかし美香は、あの日のことと筑井が    面倒を見ている怪我人が何か関係が    あるから黙秘を貫いてるのでは    ないかと勝手な解釈を行っていた。    美海の行動を観察し続けていた    美香は、偶然ではあるが    真実に一歩近づいていた。 雪鳴「美香ちゃん具合でも悪いん?」    雪鳴が心配そうな表情で    俯いていた美香に問いかける。 美香「大丈夫だって、さっさといこ」

   やっとのことで動き出した    美香であったが、彼女が    考え事をやめることはなかった。    美海と雪鳴が会話をしている    間も一人頭を回転させていた。 美香(美海に直接的に質問はもうできない。    粗が出るのを待つのが賢明なん    だろうけど、そんなんじゃいつまで    待ってればいいか分からないし‥)    美海に対してどのようなアクションを    行っていくべきか悩んでいた美香    だったが、しばらく考えた末    一つシンプルかつ確実に情報を    得られる策を思いついたようだ。 美香(そうだ!わざわざ美海から    情報を得る必要なんてないのよ。    先輩の様子を見に行けばいいんだ!    タイミングを見つけていけば    見るだけならそんなに難しく    ないはず・・・・)

美香(練習中に抜け出すのはさすがに    まずいから今夜こっそり    医務室を確認しに行こう・・・!)    秘密を探ることにおいては    誰よりもやる気を見せる美香。    その行動力が果たして    吉と出るか凶と出るか・・・。

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