巨大女子相撲部

筑井「彼女の今後・・・・?    何か彼女のことについて    教えてくれるんですか?」    少女かのじょが72と繋がりのある人物    かもしれないと、美穂から    前もって話を聞いていた筑井は    食い入るように藤崎に質問をした。 藤崎「うん、教える。教えなくちゃ    ならない理由もある。今から話す    内容は私達だけの秘密だからね」 筑井「は、はい・・・・」ゴクッ     藤崎「それらを説明するにあたって    まず最初に話しておきたいのは    彼女が嫌ってるものについて」 筑井「嫌っているもの?それが彼女の今後と、    どう関係があるんですか・・・?」 藤崎「それが一番厄介なところだから    話しておかなきゃいけないの」

藤崎「ミドルって言って分かる?」 筑井「ミドル・・。それってたしか    美海や美穂さん達みたいな    病気の人のことですよね」 藤崎「そう、今の彼女はミドルに    強い負の感情を抱いている」 筑井「そ、そうなんですか・・。    でも、ミドルに負の感情って    いったいなんで・・?」 藤崎「それは分かんない。    まだ、一言も喋ってないし」 筑井「えっ・・?じゃあ、なんでミドルを    嫌ってるって分かるんですか?」    筑井が疑問を抱く中、藤崎の目が    少しだけ赤みを増し光りだす。 藤崎「雷・・・」 筑井「・・・・・・?」

藤崎「筑井くん雷すごく苦手でしょ。    それも恐怖症と言ってもいいぐらい」 藤崎「そのおかげもあってか気象についての    知識も人並み以上にはあるんじゃない?    天気が悪いと雲の流れを観察    することとか、わりとあるでしょ」 筑井「あ、あってますけど・・・、    なんで分かったんですか・・?」    監督と会う時に一度だって    雨の日なんてなかったはずだぞ。 藤崎「一言で言えばオーラ。たまに、    オーラが見えるとか言い出す    馬鹿共見たことあるでしょ?」 筑井「昔TVとかでそういう人は見たこと    ありますけど・・。監督にも    見えてるって言うんですか?」 藤崎「うん、TVに出てるペテン師共と    一緒にしてほしくはないけど。    それに、正確に言えば見えてる    ものはオーラとは違うし」

藤崎「源の滞留と呼ばれる現象。    私の目にはそれが色濃く映る。    意識しないと見えはしないけど」 筑井(源ってそういえば則夫さんが     言ってたあれか・・・) 藤崎「源の滞留って言うのは人によって    色や形、速さや動きが違っているの」 藤崎「一定の法則性を理解すれば    それらが何を意味しているか    予測を立てることができる」 藤崎「まあ、分かることと言っても    何が好きとか嫌いとか、それだけ。    詳細な情報を読み取れるほど    万能なものではない」 藤崎「さっき付け加えて色々話せたのは、    筑井くんの普段の仕草や挙動を知って    いたから、そこから分析して    予想を立てたまで」 藤崎「彼女のことは何も知らないから    ミドルが嫌いだという情報以上は    読み取れていない」 筑井「な、なるほど・・・」

   そういえばあの時、僕の考えに    反応したのは、僕の源の滞留を    監督の力で見抜いていたからか・・。    確実に分かるものでもないから    強く言及してこなかったんだろうな。    それにしても人の心まで見透かせる    なんて、マジで無敵じゃんこの人・・。 藤崎「昼間、筑井くんに彼女を    運ばせたのもそれが理由」 藤崎「精神的に不安定な状態だろうし、    刺激を与えるリスクを少しでも    避ける為に協力してもらったの」 筑井「そうだったんですね・・。    でも、そしたら彼女は今後    どうするんですか・・?」 藤崎「彼女はしばらく槍薔薇で保護する」 筑井「大丈夫なんですか、それ?」

藤崎「放っておくわけにも行かないし    この島にもできるだけ    居座らせたくはないから」 藤崎「それに、部員達と会わせないって    だけならどうにでもなる。    保護は彼女の動向が具体的に    決まるまでの間だけにすればいい」 筑井「分かりました・・・。    でも、なんで僕にそんな話を?」 藤崎「なんでって・・。    筑井くんが面倒見るからでしょ」 筑井「えっ・・監督が面倒を    見るんじゃないんですか」 藤崎「なんで、私がそんなめんどくさい    ことをしなくちゃいけないの。    どうせ、筑井くん幽霊部員みたい    なものなんだし暇でしょ」 筑井「いや・・まあ・・・・    否定はできないですけど・・」

藤崎「そういうわけだから、    面会させようと思って    ここまで連れてきたの」 藤崎「いきなり二人きりだと    筑井くん何もできないだろうから    最初は私も間に入ってあげる」 筑井「そ、それは助かりますけど、    僕が面倒見れるとは、とても・・」    筑井の言葉を聞く様子もなく    藤崎は医務室の扉を勝手に開く。    諦めた様子で筑井も彼女の後に続いた。    中に入り様子を確認すると    まず最初に目に映ったものは    病室奥で眠っている冥瓦の姿。    全く動く気配の無い冥瓦の様子に    どこか切なさを覚える筑井。    少し虚ろな心境になりながらも冥瓦から    視線を外し入ってすぐ左を確認する。    昼間に筑井が彼女を寝かせた位置だ。    彼女はすでに目を覚ましており、    警戒した面持ちでこちらを    睨みつけていた。    

藤崎「おいっ」 ??「・・・・・・・」    漠然と二人を視界に捉えていた    彼女の視線が藤崎から声をかけられた    ことにより一点に集中する。 藤崎「私は藤崎美理央。成り行きでは    あるが、お前を助けてやった」 ??「藤崎・・・・。あんたが・・」 藤崎「私のことは知っているようだが    礼儀は知らんようだな」    藤崎という名前を聞いてから    彼女の表情に小さな変化が見られた。    薄暗い部屋の中、視覚的にその変化を    確認することは難しいだろうが、    彼女がかもし出す緊張感から、    その変化を感じ取ることはそれほど    難しいことではなかった。

??「・・・・・・・」 藤崎「名前は?」 ??「・・・・・・・」 藤崎「怖いか?」 ??「・・・・・・・」    彼女は黙ったまま首を少しだけ    左に向けた後すぐに顔を正面に戻す。    首を横に振り怖がっていないことを    藤崎に伝えていたようだ。 藤崎「それならいい」    何ら変哲もないジェスチャー。    だが、この行動が意味するものは    大きく、恐怖をしていないにしても    心を開く気はないという彼女の    心理状態を一番分かりやすい形で    表していると言ってもいいだろう。 藤崎「今私がここに来たのは    隣の彼をお前に紹介する為だ。    ほら、挨拶して」 筑井「は、はい・・」

筑井「筑井 細奈です。    よろしくお願いします・・」 ??「・・!?」    藤崎の名前が出た時よりも    更に大きな反応を見せる少女。    先程の変化は何となく変わったことを    認識できる程度のものであったが    今回の反応は暗闇の中でも    ハッキリと分かるものであった。 ??「筑井・・細奈・・あんたが」 筑井「う、うん・・・」   (僕のことを知っているのか・・?    だとしたら彼女は・・・・)    筑井の脳裏で彼女は72の関係者では    ないのか・・?ほぼ確信めいた予感が    彼の頭の中を満たしていく。    肝試し中に美穂から聞いた話と、    こちらを認識しているという事実。    ここまで72かれとの関係を裏付ける    事柄があれば確信しない方がおかしい。

   普段、冷静さを優先する彼も気持ちの    整理をつけれる状態ではなかった。    彼女と話をしたいと思った彼は    藤崎に思わず声をかけていた。 筑井「か、監督・・・。    やっぱもう二人で大丈夫で・・」 藤崎「貴様、筑井くんも知っているよう    だが、どういう関係がある?」    またしても筑井の言葉に耳を傾ける    こともなく、一人前に進む藤崎。    72の件で嘘をついている彼と    しては、彼女が下手な発言をしないか    不安で仕方ない気持ちになっていた。 筑井「僕と彼女は今日が初対面ですよ。    なにかの勘違いじゃ・・」    暴走車を何とか止めようと    勇気を出し再び声をかける。 藤崎「筑井君は黙ってて」 筑井「はい・・・」    彼の脆弱ぜいじゃくな言葉一つで彼女の前進を    止められるはずもなく、予定調和では    あるが無意味な抵抗で終わる。

??「知り合いが名前を出してた、    それだけ・・・」 藤崎「なら、いい。筑井くんに好意が    あるわけじゃないみたいだし」 筑井(ならいいって、その心配してたのか。    まあ、とりあえず良かった・・) 筑井(にしても、知り合いか・・。    言い方濁しているのは分かるが    これだけの情報だとパートナーか    どうかまでは断定できないな・・) 筑井(いやでも、あの怪我だったんだぞ。    彼の任務が失敗してあのような    状態になっていたのだとすれば    筋は通る・・。断定できないに    しても可能性は限りなく高い) 筑井(もし、そうだとしたら僕にも    彼女を傷つけた責任の一端がある。    二人きりになれるタイミングで    謝罪をしなくちゃいけないな・・)

藤崎「どうせお前行く宛もないだろ。    独り立ちできるようになるまでは    彼が面倒見るって言ってるから    世話になりな」 筑井「面倒見るとは言って・・・、    やっぱなんでもないです・・」 ??「・・・・・」    徐々に受け答えをするように    なっていた彼女であったが    この藤崎の発言に対して反応を    見せる様子はなかった。 藤崎「貴様、名を名乗るつもりは    ないらしいが、それだと    筑井くんが困ることになる。    だから、呼び名はこちらで    決めさせてもらうが文句ないだろ」    この問いに対しては    首を縦に振り反応を見せる。 藤崎「実はこの会話の間に名前を    考えてやった。私のとっておきだ」 筑井「とっておき・・・?    どんな名前ですか・・?」

藤崎「名付けてナナシって    のはどう?名前ないし」 ??「・・・・」    それを聞いた彼女は    ひどい拒否感を示していた。    それを表すかのように首を    左右に大きく振り始める。 筑井「なんなんですか・・、    その壊滅的ネーミングセンス。    あんまりひどいんで    嫌がってるじゃないですか」 藤崎「我儘わがままなガキだな・・。    文句はないと言ったはずだろ」 筑井「なにもそんな怒らなくても・・。    本人がいいと思う名前じゃなきゃ    僕も呼びづらいですし・・」 藤崎「30秒も使って考えたというのに。    筑井くんが嫌なら考え直そうか。    ナナシじゃなくてナナコだと    なんか古臭く感じるし・・・。    だったら・・・・・」

藤崎「いっそ最後なくしてナナでいっか」    その名前に対しては不満な態度を    見せることなく首を縦に振る。 藤崎「最初に考えた私の名案から大きく    変えたくもないし、ナナで決まり!    変更は一切受け付けないからな」 藤崎「今後筑井くんと一緒なるが私を    怒らせるような真似は決して行わない    ことだ。分かったか、ナナ」 ナナ「・・・・」    おぼろげな様子で彼女は黙って頷く。    しかし筑井はそんな彼女の様子よりも    別のことが気になっていた・・・。 筑井(まさか72かれと呼び名が一致するとはな。    これはこれで呼びづらくは    あるんだけどここで意見するのも    変だし口出しはできない・・)    最初の二人の顔合わせは、たった    これだけで終了。それから特に会話が    あるわけでもなく藤崎から部屋を    出ていいと許しが出たので筑井は    医務室を出ることに。

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