巨大女子相撲部

   ボイスレコーダーを受け取った後    僕達は暗い森の奥へ更に歩みを進めた。    ゴールは思ったよりも近く    歩き始めて1分程度で目的の    神社が姿を表した。    森を抜ける寸前に立札があったので    それを僕が読み上げる。 筑井「ここにお守りあり・・・だって」    先を見つめると今まで木々が    鬱蒼としていた森の中から    急にぽっかりと空いた空間が。    そこに小さな神社が寂しげに    建てれれていた。    鳥居や賽銭箱らしきものも見当たらない。    いったい何のためにこんな    ところに建てられたのだろうか? 瑠璃「神社なんて久々に見たなぁ・・。    それにしても、こんなに    小さかったっけ・・?」 瑠璃「まあ、小さくても夜中の    神社やお寺の気味の悪さは    変わらないけど・・・・」

美穂「確かに・・・・。幽霊とか    出ても違和感ないわね・・・。    それにしても、お守りは    いったいどこにあるのかしら?」 二崎「神社の中だと思うけど?」 瑠璃「じゃあ、先輩!    神社の中見てきてくださいよ!」 筑井「えっ?!なんで僕が・・・・・」 瑠璃「なんでって大きさ的に    先輩しか取りにいけない    じゃないですか?    私達が中に入れるとでも?」 筑井「手ぐらいなら入るでしょ・・?    だから僕じゃなくても・・・」 二崎「私達が腕を入れた場合     中の様子を確認できないので    物を壊しかねません。    すみませんが、ここは先輩に    頼るしかなさそうです」 筑井「わ、分かったよ・・・」

   促されるまま筑井は    階段を上り始める。 筑井(3人に見下ろされている    この状況。どうも断れる雰囲気じゃ    ないし、ここは行くしかない・・)    扉の前に立った彼は    明かりがつくものがないか    確認するべく周辺を軽く見回す。 筑井(電気みたいなものもないな。    暗闇の中を探すしかないのか・・・)    扉を開け中を見渡す筑井。    予想通り中は真っ暗でほとんど    何も見えない状態となっていた。    手を前に掲げ、手探り状態で    前に進んでいく。    そして、筑井が中に入った頃    外で待っていた3人は・・・。

瑠璃「こうやって普通の建物と見比べると    私達が成長してるのよく分かるね・・」 美穂「外に出ることなんてなくなったし    なんか不思議な感じよね・・。    中学生の頃ならまだまだ大きく    見えたんだろうけど、今じゃもう    再現模型みてる感覚」 二崎「小さいと言ってるけど、来年には    更に半分程度の感覚になるのよ。    今の大きさで感傷に浸ってたら    キリがないわよ」 瑠璃「ま、それもそうだね・・。    こんな暗いこと考えるよりせっかくの    肝試し楽しまないといけないよね!    それで、いいこと思いついたんだけどさ」 瑠璃「先輩が今中に入ったじゃん?ちょっと    揺らして脅かしてみない・・?」ニヤッ 美穂「何言ってんのよ・・。でも、面白そ・・」 二崎「ふっ・・・・」    そして美穂と瑠璃がサイドに    周り神社を両手で抑える。

   そして二人で中の筑井を    驚かせるべく神社を揺らしだした。 筑井「うわっ・・・!?!    ちょっ・・なんだ・・!!?」 瑠璃「あ、先輩の声が聞こえる!    怖がってる、怖がってる!」ニヤニヤ 美穂「結構頑丈ね、この神社。もう少し    強く揺らしてみましょうか!」ドキドキ    そういって更に強く    揺らし始める美穂と瑠璃。    中にいる筑井からしてみれば    大地震と錯覚する程の揺れだ。    しかし、彼はその揺れの原因が    大地震でないことは考えずとも    理解できていた。 筑井(くそっ・・僕が怖がりなのを    知っててこんなことを・・・。    覚えてろよほんとに・・・・!!)    激しい揺れの中、彼はお守りが入って    いるであろう箱を何とか見つけ    出せた。それを手に取り急いで    外に向かおうとした瞬間・・。

   ドゴォーーン!!!    なんと、揺らしすぎたのが原因か    神社が一瞬の内に粉々になってしまった。 二崎「え”ぇっ・・!?ちょっと・・!?」 瑠璃「あっ・・。やっちった・・☆」 美穂「やっちったじゃないわよ!!    先輩が・・・・!」    倒壊したことに放心状態の二人を    尻目に美穂は中にいるはずの    筑井を急いで探し始めた。    それに続いて瑠璃と二崎も    筑井の捜索に参加する。    今以上の怪我をさせぬよう    慎重に掘り進める3人であったが    しばらく探しても筑井の姿を    見つけられずにいた。 美穂「せ、先輩返事してください!    大丈夫ですか・・・?!」    不安になり涙ぐむ美穂。焦りのせいか    作業スピードが2人より早くなっていた。

   すると、美穂の足元を何か    つつくような感触が・・。    それに気がついた彼女が    下を見てみると。 筑井「やっと気が付いた・・。    結構強めに叩いてたんだけどな・・」    美穂の視線の先には筑井の姿が。    脇にはお守りが入っているであろう    箱が挟められていた。 美穂「せ、先輩!?いつの間に・・・。    なんで外にいるんですか!?」 筑井「崩れそうだったから    急いで出てきただけだよ」 二崎(ほんとに逃げ足だけは凄い人ね・・。    もし、この逃げ足がなければ    今頃どうなっていたことか・・) 美穂「いるなら早く出てきてくださいよ!    心配したんですから!」

筑井「声かけても良かったんだけど、    ちょっと脅かそうと思ってね。    揺らされた仕返しだよ」    そう述べた後、筑井は倒壊した    神社に目をやった。 筑井(珍しくやり返せてちょっと気分いい    けど、まじでやばかったんだな・・) 瑠璃「先輩如きが偉そうなのが    なんか気にくわない・・・!」 筑井「如きがってなんだよ・・・」 二崎「とにかく、先輩が無事で良かったけど    それより、これどうするのよ・・。    修復できるレベルの壊れ方じゃないわよ」 美穂「・・・・・・・・・」グスッ 二崎「・・・・・・・ん」チラッ    二崎が何かに気付き    美穂の方を見た。 二崎「美穂・・・・?」

   どうやら、美穂は一人泣いて    しまっていたようだ。 瑠璃「ど、どうしたの美穂?!    そりゃ確かに倒れたのばれたら    監督に殺されるかもしれないけど    泣くことないでしょ」 美穂「ご、ごめん・・・・・。    そうじゃなくて・・・」 美穂「先輩が死んでなくて    良かったって思って・・・。    安心したら急に・・」 瑠璃「ちょっと先輩!!    すぐに出てこないから美穂が    泣いちゃったじゃないですか!!    謝ってくださいよ!」 筑井「えぇ・・・・」   (謝ってほしいのはこっちなんだけど)

美穂「い、いいんですよ先輩・・!    悲しくて泣いてるわけじゃ    ないんで・・・!」 筑井「それならいいんだけど・・」 美穂「それよりひとみの言う通り    これどうする・・・?」    崩壊した神社を再度見直す    美穂さん達。もしもこれが    監督にばれれば泣くだけじゃ    済まないかもしれない・・。 二崎「諦めて謝るしかないでしょ」

瑠璃「で、でもこんな場所に    監督もそうそう来ないだろうし    黙っていれば大丈夫でしょ・・!」 美穂「そうよね・・!ばれた時に    謝ればいいよね・・」 二崎「こんな罰当たりなことしておいて    本当にそれでいいのかしら・・」 瑠璃「ちょっと!ひとみ!!    他人事みたいに言わないでよ    あんたも共犯なんだからね!」 二崎「はっ・・?なんでよ」 瑠璃「だって止めもしないで    ただ見てたんだから当たり前でしょ。    死ぬ時はあんたも一緒よ!!」 二崎「・・・・・・・・・」 二崎「・・・・分かったわよ。    でも、今回だけよ」 瑠璃(ふぅーなんとかひとみの    口止めに成功っと・・・。    だけど、気になるのはそっち    じゃなくて先輩の方よ・・・)

瑠璃(せっかく優位に立てる場面なのに    何も言ってこないなんて。私達に    いつも遊ばれてんだから、こういう時    ぐらい煽りの一つは言いたいと思うでしょ    普通・・。私が捻くれてるだけ・・?)    瑠璃の視線を感じ取った筑井は目を    合わせないようにし、考え事をしていた。 筑井(瑠璃のことだ今後も僕に対して色々と    要求してくるに決まってる。ここで    弱みを握っておくことは重要なことだ) 筑井(まだ動揺してるから僕が弱みを握った    ということにまで意識が回ってないん    だろうけど、もしそのことに気付いたら    たぶん自分から監督に謝りに行く) 筑井(倒壊したことを黙っておかなければ    ならないという意識を刷り込ませる    必要がある。時間が経てば経つ程謝りに    行くと言う選択は頭からなくなるはずだ) 筑井(ここで僕が出しゃばれば、きっと    この考えにまで彼女なら行きつく。    慎重すぎるぐらいがちょうどいい)    感情的にならず冷静に判断する。    かつて、瑠璃から教わった    教訓がここで生かされていた。

   何も言ってこない筑井に気味の悪さを    覚えた瑠璃は一度彼の口を    開かせるために会話を試みることに。 瑠璃「よしっ!このことは内緒と言うことで    大丈夫だね!もし、ばれた時は    知らないで皆通してよ!」 瑠璃「それで問題が一つあるんだけど    お守りが中にあったはずだよね。    先輩、今手に持ってるそれって・・?」 筑井「あぁ・・これ・・?たぶんお守りだと    思うけど・・。中身まだ見てないから    僕も何かは分からないんだ・・」    手元に皆が視線を向ける中    彼は箱の蓋を開け中身を見せる。    蓋を開けてみたところ、    中にはちゃんとお守りが    入っていたようだ。 瑠璃「良かった・・・・。    もし神社の下敷きになってたら    他の参加者が持ち帰れない    ところだったし・・」

美穂「ところでお守りには    何が書いてあります?」 筑井「何って・・・・・。    えっとちょっと待って・・」    30個ほど入っていた    お守りの一つを手に取り    何が書いてあるかを確認する。 筑井「必勝祈願・・だって」 二崎「なんか、監督らしくないと    言うか・・。無難なお守りね」 美穂「らしくないかもしれないけど。    だからこそ、私は嬉しいかな」 瑠璃「まあ、たしかに。    あの監督がこれをくれたって思うと    特別に思われてるような気がして    結構嬉しいもんね」 美穂「・・・・・・・・」    そんな会話の途中に筑井は3人に    それぞれお守りを渡していった。    しばらく3人は嬉しそうにお守りを    見つめた後、再び会話に戻る。

瑠璃「でさ、このお守り後から来た参加者が    取りに来るけど、どうする?」 二崎「この神社を見られるのはまずいわね。    まず、ここまで来させないように    しないと・・・・」 美穂「道の途中に置いてもこの小ささだと    気付かないでしょうし、どうしようか」 瑠璃「だったら私達が手渡し    するしかないでしょ!」 美穂「でもそれだと私達が最後に帰ってくる    ことになるよね?最初に行ったのに    最後に帰ってくるっておかしいでしょ」 瑠璃「言い訳なんかどうにでもなるって!    後の連中を脅かしてましたとか    言っとけばいいのよ!今一番優先    しなきゃいけないのは、この神社を    誰にも見られないようにすること!」 二崎「情報が拡散すればいずれ、監督の耳に    届くだろうしそれが賢明だと思うわ・・」 美穂「わ、分かった・・・・。    じゃあ、皆が来るの待ちましょうか」

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