巨大女子相撲部

   浜辺へと戻ることとなった僕達。    その道中、刀祢さんが僕に    声をかけてきた。 刀祢「そういや、あんた誰なん?    こいつらの保護者?それとも子供か?」 筑井「保護者じゃないし、子供なわけないだろ。    こんな見た目だけど、たぶん    この中じゃ一番僕が年上だぞ」 美海「先輩も立派な槍薔薇女子相撲部の    部員の一人ですよ!!」 刀祢「えっ・・?あんたが・・?    どう見ても相撲なんて    やったことありませんって    雰囲気やけどな・・」 美海「それでも部員なんです!」 刀祢「だとしたら、もしかしてお前が    噂の筑井細奈か・・?」 筑井「そうだけど・・・噂になってんの?」

刀祢「名前の通りほんまに小さいんやな。    聞いとる限りじゃお前・・。    藤崎さんと同じタイプやないかって    囁かれとるけど、実際どうなん?」 筑井(なんだそりゃ・・・。    そういや、監督もあの時    同じようなこと言っていたな・・) 筑井「僕は普通の人間だから、    監督みたいに強くないよ・・」 刀祢「怪しいな・・。あんたみたいなもやしが    普通やったら入れるはずもないやろし、    どうせ、本当は強いんやろ」 美海「まじで弱いですよ先輩は!!」 筑井「まじで弱いってなんだよ!    並程度なら・・・あるはず・・」 刀祢「能ある鷹は爪の隠し方も上手いな。    周りを利用して隠してきよる。    これが真の実力者って奴か」 筑井(この人も何言っても    聞いてくれないタイプだな・・。    思い込んだら、それまでっぽい)

   それから、しばらく歩き    浜辺へと到着した4人。    そこで最初に出迎えてくれたのは    僕を投げ飛ばしてくれたあの人。 寸道「筑井先輩大丈夫でしたか・・?」 筑井「ん、うん・・大丈夫だったけど    何があったか知ってるの?」 寸道「怜奈ちゃんから話は軽く聞いてたんで。    しばらく待っても戻って来なかったら    様子を見に行くつもりでしたけど、    無事に解決したみたいですね」 筑井(怜奈ちゃんって・・確か雪鳴か) 寸道「ただ、一人余計なのが    ついてきてるみたいだが・・」    寸道は見下ろしていた顔を正面に向け、    目を細めながら刀祢を睨みつける。 刀祢「おぅ、寸道久々やな。    お前にも聞きたいことがあんねん」 寸道「なんだ?」

刀祢「寸道・・てめぇ・・・!!    この前の試合で手抜いたやろ!!」    声を荒げながら寸道へと    近づいていく刀祢。    その様子を寸道は冷めた目で    見つめていた。 寸道「なんの話だ?」 刀祢「しらばっくれんな!ボケ!    なんでわざと負けたかと    聞いとるんじゃ!!」 寸道「私は目立つのが嫌いだ。    それじゃだめか」 刀祢「本気出せば勝てるみたいな    言い方やな・・・。お前が本気出した    ところで、実力はうちのが上や!!    なめとんちゃうぞ、コラ!!」 寸道「フン・・・」 美香(誰だっけ・・この人・・?) 美海(寸道先輩・・私もさっき名前    覚えたばかりだけど・・。    たぶん寝たら忘れる)

刀祢「うちは知っとるんやぞ!!    筑井細奈を除けばお前が槍薔薇で    一番強いということを!!」 筑井「だから、強くないって・・・」 刀祢「今からうちともっかい    ここで勝負せい!    それで許したるわ」 寸道「別に許されなくて構わない。    まだ合同する時間じゃないだろ。    さっさと失せろ」 刀祢「なんやと・・・    だったら無理矢理にでも・・」    無理矢理にと言った刀祢だったが    彼女の方からすぐに手を出すことは    なく少しの間、睨み合いが続くだけ。    何かを考えている様子であった。    浜辺にいた女生徒達も異様な    雰囲気に気付いてか遠目から    こちらを眺める生徒が増えていた。

美穂「ちょっと二人とも    落ち着きなさいよ・・」 二崎「孔雀の刀祢ね」    二人の様子に気が付いた    美穂と二崎がこちらに歩み寄ってきた。 寸道「二人は間違いだと思うが。    そいつが一人で騒いでるだけだぞ」 刀祢「永嶋も来よったな。    ちょうどええわ、二人とも    うちに付き合うてもらおうか」 美穂「久々の海で皆楽しんでるんだから    邪魔しないでくれる・・?    明日、合同稽古でしょ? その時相手して    やるから今は帰ってほしいんだけど」 寸道「だそうだ」 刀祢「永嶋・・お前のメラメラ燃えたぎる    闘志をうちは買っとった言うのに    なんやその冷めた感じ!!    お前も所詮は北の人間か!!」

美穂「私に負けて悔しいのは    分かるけど、こっちの    空気ぐらい読んでよね」 刀祢「会うたびそれ言うの止めてくれんか・・。    あんたの場合、悪気無いぶん    結構ダメージ喰らうねん・・」 刀祢「まあ、あわよくば相手してくれたらと    思って頼んでみただけや。    お前らが相手せんのは予想しとった。    うちが本当に戦いたい奴は他におる」 美穂「他って誰よ・・?」 刀祢「筑井細・・・」 寸道「だめだ」 美海「ダメッ!!」 刀祢「な、なんや・・1年のお前    いきなり大声出しおって・・・」 寸道「美海ちゃんは一応、筑井先輩の    彼女と言うことになってるからな。    止めるのは当然だ」 刀祢「そ、そうなんか・・・」   (一応ってどういうことなん・・)

刀祢「て、待たんかい!先輩呼びってことは    こいつもしかして今3年何か?    そういや、年上言っとったな」 二崎「ええ、そうよ。知らなかったの?」 刀祢「知らんも何も雑誌じゃ    詳細は全くの不明やったんやから    知っとるわけないやろ」 刀祢「じゃあ、こいつ来年の試合    出ないんか?」 筑井「出るわけないだろ・・」    そういえば雑誌に載ってたから    彼女も知ってるのか。    僕が出場すると勘違いしてる人    いっぱいいるんだろうな・・・。 刀祢「・・・・・・・・」 刀祢「なんやそれ・・・・    なんかショックやわ・・」 刀祢「でも、だったら尚更や」

刀祢「大会に出えへんのやったら    ここでやるしかないやん!」 寸道「駄目だと言ってるのが    分からないのか」 刀祢「なんでお前が止めんねや?    本人の意思の問題やろ」 寸道「藤崎さんに命じられている」 刀祢「じゃあうちが、無理やり    こいつを襲おうとしたら    お前はどうする・・・?」 寸道「止めに入るしかないだろうな」 刀祢「おもろい・・やってみろや」 筑井(完全に寸道さんとやる気だな・・・。    て、僕も地味にやばいんじゃ・・)    それからその場は緊迫とした雰囲気に    包まれ始める。それを察してか、    1年生達は刀祢から距離を置き始め    気付けば僕一人になっていた。 美穂「だから、二人ともやめなさいって!」 寸道「やめるかどうかは、奴の問題だな」

   どことなく嬉し気な表情を    浮かべる寸道。その様子を見たからか    刀祢は筑井に向かって突進し始めた。 筑井(ちょっとこの島好戦的な    奴多すぎないか・・・・!?)    だが、実力はあるという    寸道かのじょがいるのだから    大丈夫だろうと思い、内心    そこまで恐怖はしていなかった。    冥瓦の時の例もあるし・・。    突進してくる刀祢の方ではなく    寸道かのじょの方に目をやると    なんと、棒立ち状態。    全然助けに来る様子などなかった。 筑井(な、なんでお守り役じゃないの・・?    もしかして、刀祢かのじょの煽りに乗せられ    たくなくて、助けにこないんじゃ・・)    そのまま筑井に迫る刀祢。    今から逃げ出しても    到底逃げ切れない距離まで迫ってた。

   猛スピードで向かってくる最中    なぜか、刀祢の動きが急に止まる。    何が起こったのか分からなかったが    どうやら僕の後ろにもう一人誰かが    来ていたのが原因のようだ。 ??「あかんなぁ・・刀祢さん・・。    勝手に一人で抜け出しちゃ・・」    後ろを振り返ると2年生達の倍ほどの    身長がある生徒が後ろに立っていた。    3年生の平均以上はある・・。 ??「うちの刀祢さんが迷惑かけて    すみませんねぇ・・・。    後できつくしかっときますんで」    明らかに後ろの彼女の方が    格上なのは間違いない・・。    合宿に来てるってことは    彼女も2年生なのだろう。 美香(あの人って確か・・・) 雪鳴(孔雀の絶対砦、蒼雲あおのめ さつきさん。    南地では間違いなく今一番強い人だよ。    もしかしたら歴代一かも・・)

蒼雲「永嶋さんと二崎さんと、えっと・・    ずどうさんだっけ・・?おひさ!    それと雪鳴さんも」 雪鳴「お久しぶりです」 刀祢「止めんでくれんか蒼雲」 蒼雲「喧嘩しにきたんちゃいますよ刀祢さん。    こんな豊かな自然に囲まれてるんです。    もっとノビノビ過ごさんと」 蒼雲「筑井さんすみませんね。    うちでこんな気性荒いの刀祢さん    ぐらいなもんなんで、孔雀のこと    変に思わんといてください」 筑井「う、うん・・・・」    にしてもでかいな・・。    うちの部長ほどじゃないにしても    すごい迫力だ・・・。来年には    同じぐらいになるんだろうな・・。 美穂「それはどうかしらね・・。    取り組み方は泉より、さつきのが    荒々しいと思うけど」    イライラした様子で美穂さんが    割って入ってきた。

蒼雲「そんなことありません。    きっと永嶋さんが、私の本気を    引き出させてくれたおかげで    そう感じたんちゃいます?」 美穂「相変わらず嫌味な奴ね・・」 蒼雲「なんですか?そんな皆して    ジロジロ見んといてくださいよ。    恥ずかしいやないですか・・」 蒼雲「そもそも私、相撲もそんなに    好きなわけちゃいますし、    編み物とかお料理とか    もっと女らしい部分で    評価されたいって言うのに」 美穂   (こいつ・・・・・) 刀祢 蒼雲「筑井さんも私と同じような    タイプとちゃいますの?」

筑井「え・・?女らしく見られたい    ていうのはないけど・・」 筑井(もうちょっと男らしく     なりたいからな・・) 蒼雲「そうなんですか?    聞いとる限り試合の経験は    未來さんに勝ち星あげた    1試合のみと聞いとったから    試合自体あまりやる気のない方かと    思っとったんですけどね」 筑井「やる気がないのは否定しないけど」 蒼雲「それならやっぱり、気が合いそうですね!    ここで会ったのも何かの運命。    よかったら交換日記でもやりません?    あなたのこともっと知りたいですし」 美海「駄目ですよ!!    だいたい、学校違うのに    どうやってやるんですか」 蒼雲「あら、可愛らしい。    あなた槍薔薇の1年生ね。    あなたも一緒にやりましょうよ」 美海「絶対やらないです!!」

蒼雲「そんなに怒らんでも・・。    私は皆さんと仲良くしたいだけやのに」 美香「でも美海の言う通りよね・・。    私達って外に手紙出すことできるけど、    許可制だからまともに交換日記なんて    できると思えないけど」 雪鳴「そ、そうだね・・」 蒼雲「あら、みんな知らんの?    相撲部間だけなら自由に    手紙出しあうことできるんよ」 美香「へぇ・・そうなんですか・・」 美香(聞こえないように話してたつもり    だけど、ちゃんと聞こえてたのね・・。    この人、まあまあの地獄耳っぽい・・) 二崎「情報収集でもやるつもり?」 蒼雲「もちろんそうですよ!    お肌のお手入れやお料理の話とか    色々お聞きしたいと思いましてね」 寸道「私には、よく分からんな・・」

美海「それなら私ちょっとしたいかも・・」 美穂「美海やめときなさい!!」 美海「そ、そんな・・・」 蒼雲「永嶋さんほんま手厳しいわ。    そんな頑固にならんでも」 美穂「他の相撲部となれ合う    必要なんてないわ、さっさと帰って」 寸道「負けてイライラしてるんじゃ    お前も刀祢と変わらんな」 美穂「・・・・・・・。    そんなんじゃないって・・」 蒼雲「へそ曲げとったん?可愛ええなあ。    でも、そんなムキにならん方が    もっと可愛くなれますよ」 美穂「余計なお世話よ!!」 蒼雲「じゃあ、永嶋さんの言う通り    そろそろ戻らせていただきます。    監督を待たせとるんでした」 蒼雲「お相手してくれて、どうもありがと」

   そして、刀祢と蒼雲は    寮の方まで帰っていった。 美香「あの人来てから、刀祢さん    全然喋らなかったわね・・」 美海「本当は怖い人だったりして」 美穂「表裏絶対激しいわよあいつ」 美穂(蒼雲にしろ寸道にしろやる気ない    奴に限って強いのが、ほんと    気にくわないわ・・・)    話もひと段落し、みなが    海へ戻ろうとした時ちょうど    瑠璃がこちらに向かってきていた。 瑠璃「おーいみんなー!!    そんなとこで何やってんの?    今からビーチバレーやんだけど    みんなも一緒にやろうよ!」 寸道「ボールは先輩でいいか」 筑井「絶対あのこと反省してないだろ」    それから槍薔薇女子相撲部員達は    夕時まで海で遊ぶことに

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