巨大女子相撲部

筑井「えぇ~っと医務室は・・・?    あ、あったこれか・・」    玄関を入ってすぐに、この建物の    地図があったのでそれを    確認し医務室へ向かう筑井。    いくつかの無人の    部屋を通り過ぎた後、    医務室と思われる部屋の前に    到着したので扉を開け    早速、医務室内に入る。 筑井「すみません!怪我人の手当て    お願いします・・・」

??「あぁ・・?おおいらっしゃい」    中にいたのは40代と思われる    男性一人。おそらく彼が    この医務室お医者さんなんだろう。    暇してたのかどうかは分からないけど    寝ぼけまなこでこちらを見つめていた。        それにしても学校の保健室のような    雰囲気だし、女子相撲部の合宿先    だから女性の先生がいるのかと    思っていたけど男性だったのは    ちょっと意外だな・・。

??「ちなみにきみ誰よ・・?」 筑井「えっと、槍薔薇高校の筑井と言います」 ??「あぁ・・槍薔薇か・・・・・。    えっ・・!?槍薔薇!?」    なんでか分からないが    先生は驚いている様子だった。    でも、そんなことより今は    僕の腕が限界ギリギリの状態。    深いことを考えてる余裕などない。 筑井「あの、先生・・・・。    この子をまずベッドに・・・。    持ち続けてもう限界何です」 ??「んっ、そなの。んじゃ    てきとうなとこに寝かせちゃって    いいよ。全部空いてっから」    言われるがまま筑井は    一番近くのベッドに彼女を    寝かせることに。

   その後、先生が彼女の    面倒を見てくれている間    僕は待合の椅子に座り    治療が終わるのを待っていた。    外の様子が気になるものの    待っててほしいと言われたから    待っているだけだが・・。 ??「打撲と擦り傷ぐらいだな。    見た目はちょっとあれだけど    そんな大したことないよ。    10日もあれば治るだろ」 筑井「そうですか・・。    ありがとうございます」 ??「処置はこれぐらいにしとくか。    それより、ほんとに槍薔薇なの?」 筑井「はい」    そういえば、あの巨漢だらけの    集団の中に僕みたいなのがいるのは    おかしいか。そりゃ驚くよな。    まだ、槍薔薇って言われると    男子校の方をイメージしてしまう。

??「ほぉ~ん。君みたいな小柄な子がね。    入学条件とかあったはずだけど    どう見ても満たせてないのに」 筑井「槍薔薇って言えばそうなんですけど・・、    男子校の方の槍薔薇なんですよ、僕」 ??「どゆこと?じゃ、きみ男なの・・?    確かに見た目は男だが・・」 筑井「はい、そうです・・」 ??「完全に分離してると思ってたが    そうじゃなかったのか・・・。    合宿まで一緒に来るようになってる    なんて世の中変わったもんだ」 筑井「あ、えっと・・・・、    男女は完全に別高校扱いのままで    合宿も一緒に来てるわけじゃ    ないんですよ」 ??「は・・?」 筑井「色々あって僕、女子相撲部に入部    させられちゃって、それで合宿も    一緒に来るはめになってる    だけなんです・・」

??「なんだそりゃ・・。じゃ、きみは    男だけど女子相撲部に入ってるわけか」 筑井「はい・・。まあ成り行きで」 ??「前代未聞だなそんな話・・・。    一般との接触すら禁止のはずなのに、    女どころか男が入部までしてる    なんて普通ありえねえぞ・・」 筑井「旧校舎に行った時になんでか知らない    ですけど女生徒がいて無理やり・・」 ??「そういや男女別れる際どっちも    校舎新しく建ててたな。旧校舎は    未だに取り壊さずに放置されてんのか」 ??「ん・・ちょっと待てよきみが    男ならまさかそっちの子も・・」    治療し終えた少女を見て    先生は尋ねてきた。 筑井「か、彼女は女の子ですよ!    女子相撲部でもないですし・・。    僕も彼女が何者かは知らない    ですけど監督がここまで運べと    言ったので連れてきたんです」

??「今も監督は姉貴がやってんのか?    やりたい放題だからそろそろ    クビになってると思うんだが」 筑井(姉貴・・・・?) 筑井「姉貴ってまさか・・・?」 ??「あぁ、すまんすまん・・・。    そう言えば自己紹介がまだだったね」 則夫「俺の名前は藤崎ふじさき 則夫のりお。    藤崎ふじさき 美理央みりおの弟だ。よろしこ」 筑井(お、弟・・・!?嘘だろ・・。    全然似てないけどほんとなのか・・?    強いて似てるところがあるとすれば    白髪ぐらいなもんだが・・) 筑井「まさか弟さんだったなんて・・。    監督に兄弟がいたなんて話は    初耳だったんでちょっと驚きました。    こちらこそよろしくお願いします」 筑井「でも、弟さんってことは、    則夫さんもやっぱり・・・    監督みたいに強いんですか?」

則夫「んにゃ、俺は普通普通。    あんな馬鹿力じゃないよ」 筑井「そ、そうなんですね・・」 則夫「怯えたその様子から察するに    だいぶしごかれてるみたいだな」 筑井「そんなことないですよ。    優しい監督・・だと思います」 則夫「別に気使わなくていいから。    姉貴の性格の悪さは弟である俺もよく    知ってる。本音を聞かせてくれよ」 筑井「正直に言えばちょっと怖いです・・」 則夫「ま、そりゃそうだよな」 則夫「子供の頃は俺もよく    いじめられたもんだ・・    おやつなんて一度も譲って    くれなかったぐらいだし・・・・」 筑井「は、はあ・・」

則夫「そういうこともあって合宿にここ    使ってほしくないんだよ・・」 則夫「だいたい来る1週間前から憂鬱になる。    かと言って所有者は姉貴なわけだし    俺が来るなとも言えない。    困ったもんだよほんと・・・」 筑井「そうなんですか・・・」   (身内の人も振り回されてんだな) 則夫「用事を無理やり押し付ける時だけ    ここに顔見せんだよ、断っても暴力で    解決だし昔から全然成長する気配がない」 則夫「きみらにも、どうせそうなんだろ?」 筑井「違うとは言えないですね・・・」 則夫「ガキの頃からずっとああなんだけど    物理的力まで手に入れて    もう俺の力じゃどうしようも    ないとこまでいっちまった・・」

則夫「ここに俺が暮らしてるのも実は姉貴の    せいなんだよ。こんな誰もいない島に    強制的に単身赴任。唯一良かった    点と言えば給料がいいぐらいか」 則夫「人脈なんて簡単に作れる    だろうに、交友関係築こうとも    しないから、頼める相手いなくて    俺を無理やり住まわせてるって    ひどいと思わないか・・!    嫁も子供もいるっていうのに・・」 筑井「ほんとひどい話ですね・・」    昔からやってること    変わってないなほんと・・。 則夫「でも、世間的には神様みたいに    あがたてまつられてるらしいし    世の中理不尽と言うか何と言うか」 則夫「あんなの、力が強いだけの    くそババアだぞ、まじで」

則夫「おっと、すまん・・!    久々の来客でつい愚痴をこぼしすぎた。    今のは聞かなかったことにしてくれ」 筑井「・・・・・・・・」 則夫「一つだけアドバイスしておくが    ああ見えても、あの婆さん    コンプレックスの塊だから    死にたくなかったら    年齢の話は聞かない方がいいぞ」 筑井「はは・・・・・」   (コンプレックスの塊か。    それは前から知ってますよ)

則夫「それにしても、よく入部を許した    もんだな。姉貴は相撲部に対しては    それなりに厳格な方だと思ってたんだが」 筑井「そうですね、部員達の様子や    今までの実績を見ても    それは間違いないと思います」 筑井「それであの、則夫さん・・。    話題ちょっとずれちゃうんですが、    一つ相談に乗ってもらえませんか?    監督のことについてなんですけど。    入部が許された理由に関する    ことなんですが・・」 則夫「相談・・・?まあ、言ってみ。    解決できる自信はないけど    話せば少しは楽になるだろうし」 筑井「自分で言うのもあれなんですけど    なんか妙に好意もたれてるようで    束縛がひどいんですよね・・。    それとも、ただ遊ばれてるだけ    なんですかね・・・?」    すると、則夫さんが    固まっていた。

則夫「そんな話は初めて聞いた・・。    姉貴の色恋沙汰なんて    生まれてこの方聞いたことないぞ。    人間らしい一面なんてあったんだな」 筑井「えっ・・そうなんですか?    てっきり男性にはいつも    あんな感じだと思ってました」 則夫「あんな感じって・・・?」 筑井「なんかごはん食べさせようとしたり    名前で呼んでほしいとか、終いには    寝込みにキスまでされかけましたよ」 則夫「あがっ・・・!?嘘だろ・・・・・。    つか、そんな姉貴想像も    したくねえよ。きもちわりぃ」 筑井「ご、ごめんなさい」 則夫「こっちが話せって言ったから気にしない    でくれ。身内のそんな話し聞いたら    誰だって気持ち悪く感じるもんだろ」 筑井「そ、そうですよね・・」

筑井「ちなみに監督って昔は    モテてたりしてなかったんですか?    なんかカリスマ感ありますし、    浮いた話の一つや二つはありそうなのに」 則夫「んぅ・・・そうだな・・。    少なくとも一緒に暮らしてた時期は    そういう話はなかったな」 則夫「俺たち姉弟きょうだいの地元はこの島なんだが、    元々この島には小中一貫の学校だけあって    その時の姉貴には恋愛云々うんぬんの話は    なかった。まあ全員入学前から    知り合いみたいなもんだったし」 則夫「だけど、高校時代はモテてたらしい。    進学する為に本土に移住してたからの    話だから、風の便りで聞いてる程度だが」 則夫「でも、姉貴の性格上交際は    絶対にしてないと断言できる。    交際を申し込んだ著名人も    全滅してるぐらいだし」 筑井「でも、そしたらなんで    僕なんかが・・・・?」 則夫「さあね・・。まあ姉貴が本気なら    俺は応援させてもらうけど」

筑井「や、やめてくださいよ!?」 則夫「やっぱあの凶暴女は無理か    そりゃそうだよな・・・。    姉弟の身としてはさっさと    落ち着いてほしいもんなんだが」 筑井「そういうことじゃなくて・・。    どう考えても僕とは釣り    合わないじゃないですか!    監督だったらもっとすごい人と    一緒になるべきじゃないかって・・」 則夫「んぅ・・・・・・」 筑井「ど、どうしたんですか・・・?」 則夫「いや、なんて言うか    均衡きんこうのようなものだろ」 筑井「均衡・・・・?    どういう意味ですか・・?」

則夫「きみは高校生だと小柄な方だし    筋肉もあるようには見えない。    言っちゃ悪いが、この話では他の    人間よりも弱い体だとする。それに反し    姉貴は秀でた状態、つまり強い体」 則夫「弱いきみと強い姉貴。    二人が合わさることでちょうど    中和されるわけだ」 則夫「どこかが極端に変化しているケースは    それがプラスだろうとマイナスだろうと    後裔こうえいが環境に適応していくには    あまり望ましい状態とは言えないんだよ」 則夫「姉貴にとってバランスをとってくれる    遺伝子が筑井くんだったってわけさ。    本能の赴くままに選ばれたんだろ。    そうでなければ、姉貴の中の    サディズムがきみを選んだだけかもな」 筑井「そういう風に見られてたんですか、僕は・・」 則夫「いやいや、待て待て・・。    今の適当だから信じんな」 則夫「思い付きで話しただけだし。    男性としての魅力があったって    思っときゃいいんじゃないの・・?」

   バパァーーーーン!! 筑井「な、なんだ!?」    突然の発砲音にも聞こえる音・・    いったい何事なんだ!? 則夫「姉貴の癇癪か?」 筑井「それはないと思いますけど・・」 筑井(今の音・・美海達のとこからだ    何があったんだ・・・?) 筑井「ちょっと様子確認してきます」 則夫「分かった、気をつけろよ」    則夫さんに見送られ    僕は美海達の元へ向かう。 則夫「今年は変わり種が多いな・・」