巨大女子相撲部

   美穂が消えたことに4人が気がついた    丁度その頃、当の本人はビーチ端にある    岩陰を訪れていたようだ。    トレーニングの為にこの場所に    訪れたわけではなく誰かに呼ばれて    この場所に来ていた。 美穂「どうして・・あんたがここにいるの?    それに・・・・・その体・・」    美穂が向かった先には    一人の人物が倒れていた。 美穂「・・・・・・・・」 ??「・・・・・・・」    その人物は美穂の質問に対し    すぐに返答をすることはなかった。    しかし美穂は催促する様子もなく    ただ、相手の返事を待つ。    そうしなければいけないと    思わせる状況にあったからだ。    そして、やっとのことで    相手が口を開く。

??「これぐらいの傷、大した事ない」    一見、誰か分からない程に    変わり果てた姿であったが美穂は、    一目見てこの人物があの時72を    連れ帰った女だと理解した。    この女は偶然目に入った美穂に    小石を投げここまで導いたようだ。 美穂「ど、どこが大したことないって    言うのよ!ちょっと待ってて    助けを呼んでくるから」 ??「待て・・。呼ぶ必要はない」 美穂「必要はないってあんたが    判断することでは・・・」    美穂は、自分を打ち負かした    この女に対し憤りを感じていた。    彼女に完全な敗北を喫した    あの日から屈辱感を拭えずいたのだ。    そんな彼女が傷だらけの状態で    目の前に現れ動揺してしまっていた。

??「なら、言い方を変えよう。    呼ばれたらこちらとしては不都合だ」 美穂「だったら尚更呼んでくるわよ」     ??「この分からず屋が・・・!」 ??「今の私はお前らの敵ではない。    どう見ても仇なせる状態では    ないのはお前でも分かるだろ」 美穂「まあ、そりゃそうだけど・・。    でも、だったらなんで私を    呼んだのよ・・・?見られない方が    都合がいいんじゃないの?」 ??「説明するよりもこいつを    見てもらった方が話は早い」 美穂「・・・・・・・・・」    女が、大きな拳を前に差し出し、    軽く握っていた手を開き始める。

   その手の中には、小さな    少女が横たわっていた。    その体には彼女ほどで    ないにしても無数の傷跡が・・・。 美穂「・・・・・ッ?!」    眠っているだけのようだが    弱り切っているのは明らか。    無残に変わり果てた少女の    姿を見て、美穂の心中は    さらに、困惑する一方であった。

美穂「こ、この子はいったい・・・」    思いつく限りの精一杯の一言。    それ以上は何も言葉が出てこなかった。 ??「私の知り合いだ。わけあって    こいつを助けなくてはいかなくてな」 ??「これ以上、私の力だけでは    庇いきれそうにない・・。    だからお前達に預かって    もらいたいんだ・・」 美穂「・・・・・・庇う・・?    誰かに追われてるの?」 ??「まあ、そんなところだ。    念のため言わせてもらうが、今ここに    私達がいることはお前意外誰も知らない。    だから、公にさえしなければ    お前達に悪影響が出ることはない」 ??「仮にばれたとしても、そっちには    藤崎もいる。この子の身を考えても    私の元にいるべきではないんだ」 ??「無理を言っているのは承知している。    だが、こうする以外に手段を    思いつかないんだ・・」

美穂「無茶苦茶言わないでよ!    そんなこと急に言われても・・」    前に襲われた事実もあり    彼女に対し強い不信感を抱いていた    美穂は少女を受け入れる    ことに抵抗があったようだ。 ??「・・・・お前達の立場なら     引き受けれないのは当然だな。    気にするなダメもとで頼んだだけだ」 美穂「・・・・・・・」    葛藤する表情を見せる美穂。    正義感の強い彼女はどうやら    見過ごすことができずにいたようだ。 美穂「もう、分かったわよ!!」 美穂「預かればいいんでしょ!でも、    もしもこの子が原因でうちの部に    何か危険が及ぶようなら    その時は絶対許さないから」

??「絶対許さない・・それだけか・・。    お前はほんとに甘い奴だな、永嶋・・。    聞いてた通りだ・・・」 美穂「なんなのその態度・・?    そんなこと言うようだったら    預かってやんないわよ」 ??「嘘をつくな。    お前の目を見ればそれは    できないことぐらい分かる」    そう言って彼女は少女を    乗せていた左手を前に差し出して来た。 美穂「ほんと嫌な性格してるわね」    苛立ちながらも美穂は    その少女を丁寧に受け取った。 ??「軽く意識を失っているだけだ。    命に別状はない」 ??「急いで治療が必要な程やわな体は    していないはずだ。だから少し私の    話を聞いてくれ。大事な話がある」 美穂「大事な話・・・・?」

   彼女の呼びかけに反することなく    美穂は語り掛けに応じた。    それからしばらく    美穂は真西の話に耳を傾けた。

美穂「・・・・・・・・・・」 美穂「監督に向けてのメッセージってわけね。    その話の重要性が私には    よく分からないけど・・」 美穂「なんでそんなもの    狙ってんのかが全く理解できない」    彼女から伝えられた内容。    それは美穂の想像だに    しないものだった・・・。 ??「理由は私も知らないが    かなり特別らしいからな」 美穂「で、あんたこれからどうするのよ?    こっちに顔合わせる気はない    みたいだけど」 ??「しばらくはここで休む。    先のことはそれから考えるさ」 美穂「そう・・、分かった・・。    だったら私はもう帰らせてもらうけど    最後に一つだけ言いたいことが    あるから言わせてもらう」

美穂「さっきあんた言ってたでしょ。    追われてるって、今の傷も    その時についたものなんでしょ?」 美穂「だからそれ聞いた時は    正直、気分が悪かった」 ??「気分が悪かった・・・?お前の立場なら    むしろ清々すると思うんだがな・・」 美穂「そんなこと思えるはずない!    だって、私に勝っといて他の奴には    負けたってことじゃん!!おかげで    プライドが相当傷ついたわ・・」 ??「フッ・・・・・・・」 美穂「なんで笑うのよ・・!!」 ??「私もよく分からん・・・。    ただ、そんなこと言われたのは    生まれて初めてなもんでな・・・」 ??「それともなんだ・・?その程度の    実力でライバルにでもなったつもりか?」

美穂「たくっ・・余裕ないくせに    その減らず口は変わらないのね・・」     美穂「えっと・・・・」    急に言葉を詰まらせる美穂。    その姿を見て、何故そうなって    しまったのか女はすぐに察したようだ。 真西「真西だ・・、真西椿・・・」 美穂「椿・・・・。この子は絶対に    助けるから、その代わり怪我が    治った時、私と本気で戦いなさいよ!    その時、あんたに絶対勝つ!!」 美穂「今私より強いはずのあんたにひざまずかれ    てんのが、しゃくに障って仕方ないのよ」 美穂「跪くのは私に負けた時だけでいいの」 真西「・・・・・・・・・・」 真西「減らず口はお前の方だな・・」    そして、美穂は少女を連れ、    藤崎の元へ向かうのであった。

美海「あれっ?美穂先輩・・・?    急にどうしたんだろ?    あんな慌てた様子で・・・・」    埋められていた美海は    頭を頭上に向け美穂の様子を見た。    それに合わせて他の4人も    美穂に視線を向ける。 二崎「・・・・・・・」 筑井(ただのトレーニングって    わけじゃなさそうだな・・・。    向かってる方角は監督が    いるところ・・・・) 雪鳴「だいぶ慌ててるけど    何かあったんかな・・・?」 美香(これは事件の香り・・!)    皆が心配そうに眺める中、    二崎はあることに気が付ついたようで、    手を打つために会話をし始める。

二崎「先輩、そう言えば監督と美穂に    用事があったんじゃ・・・・?    ちょうど彼女も向かってるようですし    今から行かれてはどうですか?」 筑井(二人の元へ向かえってことか・・。    理由は定かじゃないけど    ナナのことと関係あるかもしれないし    行かない理由はないな) 筑井「そ、そういえば、肝試しについて聞か    なくちゃならないことがあったんだ。    悪いけど僕も彼女の元へ向かうよ」    そして筑井も急いで    監督と美穂の元へ走り出した。    2人の会話を聞いていた    美海もまた、あの日のことと    関係している何かだと思い    気を使って何も喋らずにいた。 美海(たぶん前のあれのことだよね・・。    浮気じゃないし、今回は    許してあげるとしますか)    そして美香は、当然のごとく    筑井の後に続こうとしたが    それは二崎に止められてしまった。

二崎「本当こういうの好きね・・。    ジャーナリストにでもなるつもり?」 美香「なりたくてもなれないから    今やろうとしてるんですよ」 二崎「とにかく、大事な話だから    あなたは行っちゃだめ。    野次馬根性もほどほどにしときなさい」 美香「・・・・・・・・。    分かりましたよ・・」 美香(二崎先輩は美海と私の    ストッパーとしてここに来た    感じみたいね・・) 美香(あれ?でも、なんで美海は    砂の中から出ないのかしら・・?) 美香(絶対おかしいでしょ。    美穂先輩のところに行く    先輩に声すらかけないなんて    普段の美海なら絶対ありえない)

美香(何か理由があるんだわ・・・・。    美穂先輩と筑井先輩の共通の何かを    知っているから止めに行かないんだ) 美香(だとしたらあの日のことしかない。    私が分からなくて美海だけが    知っていることなんてあの日の    ことぐらいしかないでしょ) 美香(いくら聞いても何もなかったを    通していたけど、間違いなく    美海は何か知ってる・・・)    美香、この時珍しく予想を当てる。 美香(でも、二崎先輩がいる以上    問い詰めるのは得策じゃない・・) 美香(とにかく今は気づいたことを    悟られないように気を付けなきゃ)    妙な緊張感に包まれた砂浜。    皆が手を止めて筑井の走る    姿を眺める状況が続いた。        そんなタイミングで雪鳴が    美海に話しかけ始めた。

雪鳴「先輩行っちゃったけど    美海ちゃん、いいん・・・?」    雪鳴もまた美香と同じようにあの日の    ことについて詳細を知らない一人。    筑井がいなくなってしまったことで    美海がショックを受けているん    じゃないかと思い声をかけたようだ。    この雪鳴が美海に声をかけたのは    美香にとっては幸運な出来事ラッキーなイベント。    この場で美海の心の内を    聞くことが自然にできる。 美海「え、いやだって・・砂もったいないし。    それに二崎先輩もいるから・・」    あの日のことを何度か尋ねては    いたが、美海は何もないの一点張り。    何か知っているとは思っていが    確証を得られるものが何もなかった。    しかし、筑井が加わることで    美海の反応に明確な変化が表れた。    幼少時代からの付き合いの美香が    それを見逃すはずもなく、美海が嘘を    ついていると、この時確信したようだ。