巨大女子相撲部

   向こうが構えをとったことにより    その存在に気付いた筑井 筑井「お、お前はあの時の    ストーカー・・・!?    なんでこんなところに?!」 冥瓦「お前がいるということは    やはり藤崎様もここに    おいでのようだな・・・」 筑井「遠くに飛ばしたって    聞いてたけど、よくここが    分かったな・・・」 冥瓦「・・・・・・・・・・」    急に浮かない表情になり始めた    冥瓦、今の質問は彼女にとって    都合の悪いものだったらしい 冥瓦「目が覚めたらここにいただけだ・・」    ただ気絶していたという事実を    恥じていただけのようだ。    僕からしてみれば生きているだけでも    奇跡みたいなものだと思うが・・。

冥瓦「それより私は飛ばされてここに    来てたのか・・・?!それなら、    この場所でお前と出会ったのも    偶然ではなさそうだな・・・」   筑井(まさか、監督は狙ってこの場所に    こいつを飛ばしたって言うのか・・?    偶然飛ばされた先がここでした    なんてこと普通ならありえないもんな) 冥瓦「やっぱり藤崎様は私のことを    気に入ってくださっていたようだな!!    だから私をここへ飛ばしてくれたのか!!    エセ婚約者とは格が違うようだな!」 筑井「エセ婚約者て・・・・」   (あってるんだけどね・・) 冥瓦「格の違いを証明するものは    ちゃんと手元にある」    そう言って、急にパンツの中に手を入れ    一枚の紙を取り出した冥瓦。    相変わらずおかしな奴だな・・。 冥瓦「この手紙にはこう書かれている」

   "筑井 細奈に相撲で勝利すれば、    彼との婚約を破棄し、    貴様との交際を検討してやる 。"     冥瓦「・・・・だとさ」 冥瓦「つまるところ、お前を粉砕すれば、    藤崎様は私のものとなる。    よってお前の首をいただく!」 筑井「な、なんだそりゃ・・・?!」 筑井(また勝手なことをあの人は・・・。    でも、相撲で負ければ自然に    監督と、距離を置けそうだし    それはそれで悪くないけど・・・) 筑井(でも、こいつと勝負ってなったら    絶対ただじゃ済まないぞ・・・。    首いただくとか言ってるし・・) 筑井(この申し出・・勝ち目ない    どころか殺されかねない・・・・。    何とかして戦いを避けなきゃ・・)

筑井「ま、まて・・・!!    相撲でと書いていたんだろ!    首をとってどうするんだよ」 冥瓦「・・・・・・・。    たしかにそうだが・・・。    お前が死んでも同じことだろ」 筑井「いや、だから・・・・。    あくまで相撲で勝ったら    僕の婚約がなくなって、きみとの    交際を考えるって書いてたろ・・」 筑井「首何てとってしまったら    その条件を果たせなくなるぞ!」 冥瓦「うん・・・まあそうだな・・。    だったら相撲を取った後に    首を取るとするか」 筑井(くそっ・・・・。    首を取らない選択肢は    ないのかよ・・・・・)    すぐに首をはねられることは    なくなったがそんなもの時間の問題。    相撲で倒されるのは確定だし・・。    このままだとまずい・・・。    あ、そうだ・・!

筑井「あれだよ、あれ・・!勝敗を証明    してくれる人を作らなきゃならない」 筑井「だってもし、きみが負けた時    嘘つくかもしれないじゃないか。    本人がいない状況でやるなら第3者の    一人は立てないと・・ねっ・・」 冥瓦「そんなことしなくても    藤崎様なら私の言うことを    信じてくれそうだが・・・・。    まあ、それも別に構わない」    冥瓦は寝ている美海のもとへ    向かい始めた。 美海「・・・・・・・・・」 筑井「も、もしかして・・・」 冥瓦「この女に見届け人になってもらう。    話を聞く限り槍薔薇の部員では    なさそうだからな。    証人としては適任だろ」    そして美海を起こすために体を    ゆすり始めた。

美海「ハっ?!ごめん寝ちゃってた・・!」 美海「て、先輩いつの間に!    もしかして、私を心配して    看病してくれてたんですか!」 筑井「そういうことでいいけど・・」 冥瓦「お前に一つ頼みがあるんだが    聞いてくれないか?」 美海「・・・?」 冥瓦「今から奴と私で相撲を取る。    その勝敗を藤崎様に報告しなくては    ならないのだが、奴が試合の証明    だのなんだのと言って第3者を    立てろと言うから、お前が試合の    見届け人になってくれないか?」 美海「見てるだけでいいの・・?」 冥瓦「そうだ」 美海「・・別にいいけど・・・」    やばい・・、このままじゃ    相撲を取る流れから逃れることが    できそうにないぞ・・。

   どう考えても、僕がこの4m強の    大女に勝てるわけないじゃないか。    監督は何をしたいんだ。    負けるに決まってるじゃん。    下手すりゃマジで死ぬぞ・・。    でも、やるとなってしまった以上    覚悟を決めなくちゃならない。    どうやって生還するかを考えないと。    自分から倒れるしかないか・・・?    いや、こいつを相手じゃ    そんな暇があるとは思えない。    はなから結婚の話は嘘と    言ったとしても、こいつは    監督のことを信仰してるようだし    僕の発言なんて信じないだろうな。    仮に嘘だと伝えれば    監督を悪人に仕立て上げようと    している僕に対して更に怒りだしそう    だし、言うわけにはいかないな。

美海「でも、なんで先輩とあなたが    相撲を取るのよ・・?    それに勝敗を監督に教えるって    よく状況が飲み込めないんだけど・・」 冥瓦「こいつに勝利すれば私が    藤崎様と交際ができるからだ」 冥瓦「そのままにしていると藤崎様と    こいつが結婚しかねない。    それだけは何としてでも    阻止しないといけないからな」 美海「・・・・・・・」    美海が僕に鋭い視線を向けてきた。    まあ、そりゃそうだよな・・。    美海が考えていることなど    分かり切っている。    まずは彼女の誤解を解かなくては。    美海もまた僕が何かを伝えようと    していることを理解したようで    僕の体をすぐに持ち上げてくれた。

美海「監督とまさか結婚を前提に    お付き合いとかしてないですよね?」 筑井「してるわけないだろ・・・。    監督が勝手に言ってるだけだよ    僕も困り果ててるんだ」 美海「信じていいんですね・・・」 筑井「も、もちろん・・」 美海「・・・・・・・」    筑井の説得もむなしく    美海の視線が緩むことはなかった。 美海「信じられないです。    私一度置き去りにされてるし・・」    もう気にしてないかと思ってたけど    やっぱり根に持ってたのか・・。 筑井「いやあれは、そのいろいろ    あって・・・」 美海「言い訳無用です!!!    男なら黙って戦うのみ!!」

   味方になってくれると    少しは思ってたんだけど    今までのつけが周ってきたようだ。     筑井「で、でも美海・・・・。    今回の勝負は・・・・・」 冥瓦「おいっ!お前ら    いつまでごちゃごちゃ話してる    さっさと始めるぞ!!」    監督ほどではないにしても    彼女もまた独特のオーラを    身にまとっていることが分かる・・・。    間違いなく彼女も強い。        それがどれほどのものか分からないけど    間違いなく言えることはタイマンじゃ    何が起ころうとも勝てる相手じゃない。    それに恨みももたれてるようだし    怪我する可能性も限りなく100に近い。    この状況から逃がれる手段はあるのか・・。

美海「さっさとやって    監督のために勝利をもぎ取って    くればいいじゃないですか!!    この浮気者!!」 筑井「いや、浮気者って・・・・・」    美海は筑井をゆっくりと地面へ降ろす。    怪我などを言い訳に逃げる    可能性を考慮してのことだろう・・。     筑井(なんでこうなるの・・・)        美海の立場なら、筑井が敗北    することで邪魔な監督と冥瓦が    交際をすることになるので    この試合を止める理由など、    どこにもなかった。     筑井(普段なら助けてくれそうな    場面だけど、今回は美海に    頼れそうにないな・・・)    観念した筑井は無事で    いられることだけを    願いながら冥瓦の前に立つ。

冥瓦「やっとその気になったな」 冥瓦「土俵がない今、    どちらか倒れた方の負け。    それで構わないだろ?」 筑井「・・・・・」 筑井「うん・・・」    ちびりそうなぐらい怖い。    だけど、まだ助かる道が何か    あるかもしれない・・。    諦めるな・・・・!    筑井は頭をフル回転させるが    彼女との取り組みを避ける術を    思いつくことができずにいた。    だが、急に冥瓦が何かを    思い出すように口を開く・・。 冥瓦「待てよ、そこの女。    たしかお前、監督に彼氏が    奪われそうだと言っていたが、    その彼氏ってまさか・・・・・」

美海「まさかって・・・・?    そこの彼が私の彼氏だけど・・・」 筑井「いや、ちが・・・・・・」    筑井はこの時、否定するのが    間違いだとすぐに気づき    発言を途中でやめた。 筑井(ち、違くない・・・。    いいんだよ、これで。    これなら窮地を脱することが    できるかも・・) 冥瓦「じゃあ、お前の監督の名は・・?」 美海「藤崎だよ」    筑井はこの時、心の内で歓喜していた。    美海を上手く利用すれば    藤崎との婚約設定が偽りで    あることを証明できると・・・。    冥瓦は筑井に敵意をむき出しに    している状態。筑井が嘘だと言っても    藤崎に対する強すぎる信仰心も    相まって、発言を信じることは    まずありえないだろう・・。

   しかし美海の場合はどうだろうか。    彼女の場合、今の状況を把握できて    いないのだから、嘘をつく必要は    ないものだと冥瓦も思っているはず。    ここで二人が真剣に交際していると    冥瓦に思わせることができれば    藤崎の婚約宣言が出任せだったと    彼女も考えるはずだ。       それに冥瓦が最初に言った    " エセ婚約者 "という発言。    これは、心の奥底では彼女も    婚約に関して信用しきれて    いないことの現れだろう。    上手く揺すれば崩れない    牙城ではないはず。    後は、美海と真剣に交際している、    だから、監督とは婚約なんて    考えていない。だったら相撲を取り組む    意味はないと言えばいいだけ。    二人が会話をしている間に    筑井はこの思考に至った。    それはまるで、走馬燈のように一瞬の    うちにしてその画を浮かべていた。    追い込まれたが故の馬鹿力である。

冥瓦「て、ことは・・・・」    冥瓦もやはり筑井と同じ    考えに至っていたようだ。    ダメ押しとばかりに筑井も喋りだす。 筑井「そ、そうだよ僕達は・・・!」 冥瓦「お前この女と二股かけていたのか!!    腐ったどんぐりみたいな頭の    くせしやがって、なんて野郎だ。    許せねぇ!!まじで許さねえ!!」 筑井「なんでそうなんだよ!?」 筑井(完全に誤算だった・・・。    より怒りを買っただけじゃないか・・。    美海も不機嫌だし誰も味方がいない・・)    自身の物差し一つで    物事を測ることの浅はかさを    痛感させられる筑井であった。    おそらく冥瓦は藤崎と    上手くいっている筑井が許せないだけ    なのかもしれない。    理由はどうであれ、筑井に危害を    加えれられればなんでもいいようだ。

冥瓦「もう怒ったぞ・・・・。    お前のような奴に藤崎様が    騙されていると思うと・・・・。    グっ・・・!!」 筑井(やばいよこいつ・・・・。    もう相撲じゃなくて完全に    喧嘩を始める気じゃん・・・) 美海(やっちゃえ、やっちゃえ。    これで先輩の浮気性も    少しは治るかな)    何もしていないのに    勝手に追い込まれていく筑井。    もうここまで来てしまえば    自身を憐れむことしかできない。 冥瓦「勝手に始めさせてもらう。    始めの合図を待っていられるほど    穏やかじゃない」

   冥瓦は思いっきり筑井に突進してきた。    あまりのスピードに筑井は    出発した瞬間を認識すら    できていなかった。    それほどの一瞬の間に何かが起こった。    ある出来事が・・・。

   巨大な影が現れたのだ。    その巨大な影が片手で    冥瓦を鷲掴みし数m先へ    放り投げたのだ。    その時筑井は恐怖により目を閉じていた。    1秒前後の時の間、何も起きないことを    不思議に思った筑井は自然と    目を見開いた。    その視線の先には    冥瓦の倒れる姿が・・。    何が起こったのか分からず    筑井は困惑するばかりであった。 美海「えっと・・・、あなたは・・」    今彼女の姿を正確に見ることが    できるのは美海のみ。    その巨大な影に向かって話しかけていた。    喋り口調から察するに    知り合いというわけではなさそうだ。

美海「誰でしたっけ・・・?」 ??「・・・・・・・」 寸道「寸法すんぽうすんみち寸道すどう。    寸道すどう 桂子けいこだ。    先輩のお守り役だから覚えてな」 冥瓦「なんだ・・・てめぇ・・・」 寸道「藤崎さんから4mくらいの    小さな女の子が来たら    先輩を守れって言われてね」 寸道「ただ、こんな早くお出まし    するとは思ってなかったから    ちょっと驚いてるけどね」 寸道「うちの”新大将”と戦いたかったら    まず私を倒してみろ」 寸道「今のお前の実力じゃ    先輩と戦う権利すらない。    これは藤崎さんからの伝令だ」

冥瓦「なるほどね・・・。    妙に条件が緩いと思ってたけど    目的地にたどり着くためには一つ    山を越えなきゃいけないようだな」 筑井「あ、ありがとう・・・。    おかげで助かったよ。    えっと、ずんどうさんだっけ?」 寸道「・・・・・ピキッ」 筑井(えっ・・・今、口でピキッって    言ったぞこの人…) 寸道「誰が・・・・」    すると寸道は筑井の体を    軽々と持ち上げ始める。

寸道「誰が” 寸胴 ”だ!!    ばかやろおおーー!!!」    寸道が叫ぶと思いっきり    手に掴んでいた筑井を    空へ投げ飛ばした。 美海「えええええっ・・!?」    急な出来事に美海と冥瓦は    愕然とするしかなかった・・。

冥瓦「あ、飛んでった・・・」 美海「ちょっと何やってるんですか!!    先輩死んじゃいますよ!!」 寸道「しまった!つい条件反射で・・・!    それより、これが藤崎さんに    ばれたら殺されてしまう!」 寸道「美海ちゃん、早く    先輩の死体を回収しに行くよ!」 美海「縁起でもないこと    言わないでくださいよ!    こんなんでよくお守り役を    任されましたね!!」    そして二人は筑井が投げ飛ばされた    方角へ急いで走りだした。 冥瓦「全く変わった奴らだな・・・。    変態とはああいう奴等の    ことを言うんだろうな・・」 冥瓦「それよりあいつらの後をつければ    藤崎様と会えそうだな・・・。    こっそり後を追うとするか」

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