巨大女子相撲部

??「ただいま戻りました・・」 ??「椿か・・・・・・。    No.72はどうした?    奴は一緒じゃないのか・・?」        椿と呼ばれたその女の正体。    それは、72をここまで    連れてきた女の名であった。    本名 真西まにし 椿つばき    超太重高校ちょうだかさなりこうこうの2年生である。    この超太重は女子相撲協会に    よって、直接管理が行われている。    新設されて、まだ間もない高校で    生徒数もそれほど多くない。

真西「72は現在意識を失っております。    口の聞ける状態ではありません」 真西「槍薔薇からの奪還直後、    まだ、少し意識はありましたが    すでに朦朧としていたので    あまり、情報は聞き出せていません」 ??「それは構わん。    聞いてる限る奴でも任務を    失敗したようだな・・。    そうなれば細奈は・・・・・」 真西「はい、アンダーの可能性が高いかと。    72本人に聞くまでは断定    できませんが、奴の様子を    見るに、ほぼ間違いないかと」 ??「そうか・・・・」 ??「フッ・・・・・・」

??「お前はどう思う・・・・?」 真西「・・・・・・・・・・・」 ??「わらわと細奈どちらが上か・・?」 真西「上・・・と申しますと・・・?」 ??「天に触れられるのは、    どちらかと問うとる」 真西「・・・・・・・・・」 真西「私めでは分かりかねます・・」 ??「フッ・・・・・」 ??「よう言うた椿・・・」 ??「実力の程も分からん相手と比べ    わらわの方が上だと抜かすようなら」 ??「殺しとったわ・・・・

??「久々に血がたぎる・・・。    細胞が肉を求めとるわ・」 ??「ハァ・・・・・・・    早ぉ・・・試合たたかいたい」 ??「この時間という概念に囚われている    己の弱さが、果てしなく憎いわ・・」    女子相撲の世界において    彼女程、闘争心の強い者はいない。    希望ある未来をその手に掴む為、    相撲に勤しむ相撲部員が大半の中、    彼女にとっての相撲は、戦闘を楽しむ    一つの手段でしかなかった。    途方もないほどの才能は、他の選手達の    努力と希望を一瞬にして薙ぎ払って    しまうものである。    身の丈は軽く百mを超え、    重量は天文学的数値に達する。

   そんな才の持ち主は    この世界において一人しかいない・・。    名を極剛力山 殺。    彼女が10歳に届くか届かないか程の    年の頃にはすでに、" 鬼喰らい "おにぐらいの    異名を携えていた。    しかし、今の彼女からすれば    その鬼すら、赤子と同然である。 真西「筑井細奈については今後    どう対処されますか?」 真西「会長殿がこの事実を知れば    何かしらの対処をなされるのは    間違いないはずです。    そうなれば、奴が試合自体に    出れなくなる可能性があります」  殺「椿・・・・・・・」

 殺「うぬ杞憂きゆうだ」  殺「力づくでそれをさせねば    いいだけのこと・・・。    具体的な対処など必要ない。    父上は力でねじ伏せる」 真西「・・・・・・・・・」 真西「奴と戦う為にはもう一点問題を    解決しなくてならないかと・・。    奴自身が出ない可能性・・・。    それも0とは言い切れません」 真西「経歴が一切ない以上、試合の確実な    実現の為にはその点も、考慮しなく    てはいけないはずです。    ですから、細奈自身に対しても    何かしら・・・・」  殺「椿・・・・・・・・・・。    何度名を呼ばせるつもりだ・・・」  殺「わらわを親身に思ううぬの気心。    よう分かる・・。が、・・    その心配はない・・・・」

 殺「奴は出る・・。絶対にな・・」 真西「・・・・・・・・・・・・」  殺「奴の存在が明確となった今    これ以上の情報はもういらん」  殺「戦闘は対等な条件下にあってこそ    最大の面白みを発揮する。    その一点を重視するならば    分を得る行為は愚と同じこと」  殺「今後、わらわの前で奴の名を口に    すれば、誰であろうと    命はないぞ・・・」  殺「おいっ・・・。    いるのは分かっている・・。    話していたこと全て父上に    伝えにいけ・・・」

13「さすが殺さん・・・。    ばれてないと思ったんだけど」    すると物陰から一人の男が現れる。 真西「 13 イーサンか・・・・」  殺「お前は情が謙虚に漏れ出しとる。    それを察知できぬわらわだと思うか?」 13「とんでもない・・、私が過信して    いただけのこと。 決して    殺さんをさげすんでいたわけじゃない」 真西(戦いへの欲求からか、最近の    殺様の研ぎ澄まされ方は人のそれを    完全に超えている・・・) 真西(相手にできるレベルの人間が    いなくて、むしろ良かった・・。    でなければ殺様はここまで強く    なられていなかっただろう・・・)    真西が彼女の力を敬うのには    ある理由があった・・・。

   年に一度だけ行われる    夏の全国女子相撲大会。    彼女達にとって最も重要な大会である。    その大会の方式として個人戦は行って    おらず、団体のトーナメント戦のみ。    1校あたりの出場選手は5人    先に3人勝利した高校が勝ち上がる。    この大会でどれだけ勝ち上が    れるかが、プロ入りの可能性に    大きく関わってくる。        そのシステムの関係上    一人だけが強くても勝ち進む    ことは難しい・・・・。    5人の質が問われる形式。    極剛力山 殺に関しては確実に1勝を    もぎ取れる、キーマン的存在。    真西が彼女のことを敬うのも    自身の将来に大きく影響する    ことが要因の一つであった。    

13「まあ、2人の声が耳に入っちゃった    もんで、つい気になってね・・」     13 イーサンと呼ばれる彼は怯える様子も    なく二人に近づいてきた。    まるで呼ばれるのを待ってたかのように    殺はナンバーどころか、協会の    人間すらも皆、恐れる存在である。    そんな彼女を前にして    顔色一つ変える様子はない。    隠すのが上手いだけなのだろうか?    真西は彼の、そんないけ好かない    態度にあまりいい印象を    持っていなかった。 真西(何故こちらに来る・・・?    さっさと伝達しに行けば    いいものを・・・) 13「真西さん・・・。    何も言わず聞いてくれ」 真西「・・・・・・・・?」

13「俺は一応止めたから・・」 真西(・・・・・・・・・)    何事もなかったかのように    彼は表情を緩め    殺の顔を見上げる。 13「殺さん、じゃあ会長に    伝えてくるんで、私は失礼します」    そう呟いたのち    再び闇の中へ消えていった。  殺「・・・・・・・・・・」  殺「いるな・・もう一人・・・」  殺「その様子から察するに・・・」

 殺「気を失っていたのも    あながち嘘でもなさそうだな」    殺「No.72」 真西「っ!?」 真西(抜け道を使ったか・・?    だが、今の奴が登れるはずは・・)  殺「何用でここへ来た?」 72「・・・・・・・・」 72「どうしてもあんたに伝えとかなきゃ    なんねえことがあってよ・・」  殺「細奈のことは、すでに聞き終えた    今以上の一報はいらん。    もし、話すようなら・・・・・・」 72「知ってる・・・」 真西「・・・・・・・・・」

72「知ってるけど話す・・」  殺「・・・・・・・・」  殺「人の申し出を理解できんのも    いつ以来か・・。なんだうぬは・・」  殺「死にに来たと・・    そう言いたげだな・・・」 72「別にそんなつもりで来てねえよ。    ただ、話があるだけだ・・・」 真西(72・・・何を    伝えに来た・・・・・?) 72「あんたはこの事実を    聞かなくちゃあならない・・」  殺「だったら、はよ申せ・・」    催促する殺をよそに、彼は    一度顔を伏せ一呼吸置く・・・。    そして憶する様子もなく口を開いた。

72「筑井細奈はアンダーじゃねえ」 真西「ッ!?」 72「あいつは普通の人間よりも、    むしろ弱えよ・・・、あんたの    期待してるような奴じゃない」  殺「・・・・・・・・・」  殺「・・・・・」  殺「フッ・・そうか・・・・」    天は暗く表情は見えないながらも、    彼女が怒りを覚えているのは    誰の目からも明らかだった。 真西「72ッ!?お前何を考えている。    適当なことを抜かすな!!    殺様・・・!今奴が申したことは    全てでたらめで・・・・」  殺「嘘だろうと、真だろうと    述べた事実に変わりはない・・」

 殺「それに・・わらわが絶対と言ったのだ。    奴がアンダーであろうとなかろうと    試合たたかう事実も動かん・・・」    殺は何よりも戦闘に重きを置いている。    仮に今の発言が事実なのだとすれば    計り知れないほど、残念な報告。    嘘だとしても、彼女の気を    逆なですることにしかならない。    最も楽しみにしている催しを    邪魔されたとあれば怒りを    覚えるのも当然の結果であった。    それでも絶対に戦うと断言をする殺。    意地なのか、それとも・・・。 72「真西・・、聞いてくれねえか」    殺には聞こえない程度の声で    72は、真西に語り掛けた・・・。 真西「・・・・・・・・」 72「こんなこと言うのちょっと    かっこわりいと思うんだけど」

72「俺、もう駄目なんだわ。    体が限界に来ている・・」 72「こことここだ・・・」    72は自身の頭と肺に    親指を当てた。 72「もうほとんど死にかけてる。    親に捨てられたのも、きっと    これが原因なんだろうな・・」 72「休み貰った程度で治るもんじゃねえ。    自分の体のことは自分が    良く分かってる・・・」 72「 74 あいつの足手まといにになんか、    なりたくねぇんだ、俺は・・・」 真西「・・・・・・・・・ッ」    苦悶の表情を浮かべる真西。    彼の様態と実情を知ってるから    こそ、気持ちも理解できてしまう。    返す言葉を悩まざる得なかった。

真西「だからって、死に急ぐことはない。    74がそれを望んだと言うのか・・?    少しでも長生きしてやるのが、    あいつの為になるんじゃないのか?」    殺に聞こえぬよう、彼女もまた    小声で72に語り掛ける。    だが、怒りを浮かべているはずの    殺に何も変化がない・・。    彼らの様子を黙って見つめる    だけであった・・・・。 72「・・・・・・・・・」 72「俺はお前が思ってるほど    強い人間じゃない・・・・」 72「 74 あいつの苦しむ顔見るのは、    死ぬことよりも辛い」 72「それに、・・準備は全部済ませた」 真西「お前が何て言おうと    絶対に死なせ・・・・!!」

   真西の視界が一瞬が暗黒に染まる。    気付いた時には、地に伏せていた。    殺によって蹴り飛ばされていたのだ。    本人も気づかぬほどの一瞬のうちに。  殺「もう、いいだろう・・・    それ以上喋っても」  殺「結果は変わらん・・・・」 72「・・・・・・・・・」    72は知っていた    殺が好んでいるものを。    それは死に際の人間の言葉。    大統領が世界に向けて発信する    スピーチや、偉人達の名言なんかよりも、    もっと価値があり、もっと重いものだと    殺は思っていた。    そのことを知っていたからこそ    会話を止めにこないことは予め    分かっていた。

   死にに来たと言えば、興ざめし    殺しを行わないかもしれない。    だから、その旨は直接言わなかった。    死ぬ時は即死・・・。    延命を行われればその間    自身を利用し74に何をする    かが、分からない。    彼は寝たきりの状態で協会側に    利用されるぐらいなら、すぐに殺され    た方がマシだと思い殺の前に立った。    ここまでが全て彼の計画の内。    その計画はずっと前から着々と    進められていたのだ。    ナンバー制度の穴・・。    それを理解していたからこそ    彼は自らの死を受け入れたのだ。

   片方が死ねば一時的に    もう片方は自由になる。    ナンバー達が任務中に逃走を行わ    ないのも、パートナーがいるから。    自分が抜け出せば、最愛の人が    苦しみ、そして恨まれる。    パートナー共々抜け出そうと    考えるナンバーも当然いるが、    抜け出すにも問題は山のようにある。    巨大な監獄内から抜け出せず、    抜け出せても巨人達に囚われる。    仮にそれらを超えたとしても    彼らには行き場所もなければ    外がどうなってるのかも    何も知らない。    抗うのは危険しか伴わない。    最低限の生活ができてる今、無理に    逆らおうとする者はいなかった。

   だが、72はその問題を    全てクリアしていたのだ。    槍薔薇という行先も作ってやった。    脱走の仕方も教えた。    そして、これが終われば    枷もなくなる・・・。    元々二人で脱出することも    頭にないわけじゃなかったが、    自身が病で倒れる姿を    見られたくなかった彼は    彼女に一人で出て行かせると    前々から考えていた。    外に出てまで自分に囚われて    欲しくないと思っていたのだ。    残りの余命が少なく潜入術を    心得ていた72だからこそ    できた唯一の救出プラン。    全ては 74 かのじょの夢の為。    外で自由な暮らしを与える為に    72は覚悟を決めた。

 殺「72よ・・・・・。    わらわは生を受けた時から    決めておることがある・・」  殺「嘘はつかん。    一応の忠告はしたはずだぞ・・。    命はないと・・」  殺「発言した以上    約束は守らねばならん。    うぬには消えてもらう・・・」  殺「これは見せしめだ。    悪く思うな・・・・」    悪く思うな・・・・。    むしろありがたい・・・。    容赦なく人を殺せるのは    あんただけだと、72は    むしろ感謝していた。

 殺「最後に・・・・」  殺「最後に残す言葉はあるか・・?」 72「!?」    彼の中では先ほど真西との    会話が最後だと思っていた。    なぜなら、会話していたにも    拘わらずその間待っていたのだから。    だが、その会話は彼女の耳    には届いていなかっただろう・・。    だとすれば、こうなることも    予想はしえたことであるが、    彼の予定にこの展開はなかった。    ここに来て初めて心が揺らぐ72。    でも、ここまでくればやる    ことは変わらない。    変えられない・・・。 72「最後・・・?    考えもしてなかったそんなこと・・」

真西「や、やめろ・・・・!!」    動かぬ体で制止を促す真西。    それが彼に対してなのか    殺に対してなのか、それは    分からない・・・・。 72「わりぃ真西・・・・。    約束らしいからな・・・」 72「・・・・・・・・・・」 72(約束・・・・・・)    彼の中で一つ心に    浮かんだことが・・・・。    それは懺悔の念である。    こういった時に出る考えとは    思いの外あっけないものなんだな    と、彼は不思議に思っていた。    こんなことを最後に言いたいなんて    何を考えているんだと・・。    でも、それを言わずには    いられなかった。

72「・・・・・・・」 72「こんなこと話すのも    誰も得しねえとは思うんだけど    一つだけ言いたいことがある・・」    その台詞の後、    彼は一瞬黙り込む・・・・。    発言を言い終えれば訪れる    避けられぬ死の運命。    本心は、まだ生きたいと願っている。    そんな彼が、自身のタイミングで    死する行為。 その恐怖は想像しうる    ものではないだろう・・・。    だが、彼は唾を飲み込む程度の    時経て、すぐに口を開く。 72「ちょっと前によ・・、いつも    みてえに 74 あいつがゴミあさってた    時の話なんだけどな・・」 72「そん中にあるもん入ってたんだよ。    それから 74 あいつの大好物に    なったものが・・・・」

72「ハンバーガーって言うらしい。    実物は俺も見たことねぇ・・」 72「ゴミん中に入ってんのは    くしゃくしゃにまとめられた紙屑」 72「誰もそんな紙屑なんて    拾っても食えねぇから    普通は取らねぇけど・・」 72「 74 あいつだけが    見つけると絶対拾うんだわ。    で、それ広げてさ・・・・」

72「おいしい、つって舐めてんのよ・・。    中にあるドロドロしたもん・・。    それが美味 うまいとか言って・・・」 72「たまに、しなびたきゅうり    みたいなのあったら    当たりらしいわ・・・・」 真西「やめろ・・・・・」 72「そんな姿見てたらよ・・」 72「自分が情けなくって・・。    なんでこんな惨めな思い    妹にさせちまってんだって・・」 真西「やめろと言ってるだろッ!!」 72「金なんか持ったことねぇし    どこで売ってるかも知らねぇのに、    いつも言ってたんだよ・・・、    買ってきてやるって・・」 72「希望持たせるためにずっと    嘘ついてた・・・・」 72「・・・・・・・・」

72「・・・・・・・・・ッ!?」    俺今・・何言おうと・・?    ・・・・・・・。    もしかして、今から言おうと    してることって・・・・?    俺の一番望んでたこと・・?    じゃなきゃ、こんなこと・・。    知らなかった・・・・。    夢なんてもん、ないかと    思ってたけど・・あったんだな。    俺にも・・・・・・

   ・・・・・・・・・・。    駄目だ・・・・。    そんなこと考えだしたら・・、    死にたくなくなる・・・。    無性にあいつに会いたくなる・・。    会いたい・・・・。    もう一度でいいから・・。    後悔がないように生きたつもり    だったのに、後悔しかねぇ・・    でも、決めたから・・    逃げねえ・・・・・    74・・・・・。    そして72は最後の    一言を喋りだす。

72「一度でいいからに・・・     74 あいつにハンバーガーを・・」

 殺「・・・・・・・・・・」  殺「つまらん・・・・・」  殺「最後に言うことが・・ハンバーガー?    72程の男なら、もっとマシなことを    言うと期待してたんだがな・・」 真西「ッ・・・・・・・」    72は今、殺の足の裏にいる。    兄は妹のために無事死ねたのだ。  殺「つまらなくはあったが、    72よ・・」    聞こえるはずもない    相手に向かい語り続ける殺。  殺「うぬの願い聞き入れてやる」 真西「・・・・・・・・・・」

 殺「おい・・・」    後ろに向け誰かを呼び出す殺。    奥は暗くその先を見ることは    できないが、その奥から    人の声がした。 ??「また勝手にナンバーを殺しやがって。    奴らのストックも無限じゃないんだ。    しかも、72程の男を・・」  殺「分かっておる・・・。    だが、約束は約束だからな」  殺「ナンバーを4人連れてこい」 ??「また殺す気だろ・・?」  殺「そうではない、さっさとしろ・・、    うぬを殺してもいいんだぞ?」 ??「チッ・・・・」  殺「74は必ず連れてこい。    後はどうでもいい・・・」

   彼が呼びに行ってから    言葉を発する者は誰もいなかった。    しばらくすると、先ほどの彼が    ナンバー4人を連れてきたようだ。    もちろんその中には74の姿も・・。 真西「くっ・・・・・・」    殺の足の裏にはまだ    72がいる・・・・・・。    そのことを真西だけが知っている。    74にその事実を    知られぬよう彼女は必死に74の    元へ向かおうとしていた。    もし、潰されて死んだ事実を知れば    彼女の精神は崩壊してしまう。        それだけは避けねばと    何とか体を動かそうとしていた。      殺「うぬらを呼んだのは他でもない・・。    食い物を踏み足裏が汚れてな」    そう言って殺は足を表に向けた。

 殺「挽き肉を挟み調理したもの。    ハンバーガーとか言ったか・・」  殺「うぬらに食わせてやる。    さっさと舐めとらんか・・・」 真西(ふ、ふざけんなッ・・・・!!)    全く原型を留めていない    72の凄惨な姿・・・・。    あまりの光景に言葉を失う    ナンバー達・・・・。    そして74は・・・・・・。    意識という意識は    もう完全になくなっていた。    髪の毛・・道具の残骸    そして微かに感じる彼の臭い。    足裏が表になりきる前に彼女は    それが72であることを    理解していた・・・・。

 殺「74よ・・・・・。    72が最後に願っとったぞ。    うぬにハンバーガーを食わせたいとな」  殺「自身が犠牲になることで、    その願いを叶えることが    できたのだから・・・」  殺「奴もさぞ、幸せだろう・・・」    3人のナンバー達はあまりに    杜撰なその光景に、涙を流し    嘔吐しかけるものまでいた。    だが、74だけは違った・・。    殺が話している際中には    すでに74は前へ歩き出していた。

   彼女の足元に膝立ちし    72の血肉を舐め始めたのだ・・・。    表情一つ変えずに・・・・・。    その姿は皮肉にも、大好きな    ケチャップを舐めとる姿を    連想させた・・・・。    そんな姿を呆然と眺める真西。    一人足裏を舐め続ける74の姿に    体の震えが止まらなかった。

真西「いい加減にしろよ・・・・!!」

   震える体を何とか起こし    殺の足元へと全力で    走り出す真西・・・・。 真西「うおおおおおぉ!!」    真西は号泣しながら彼らの元へ向かう。    その姿を殺は黙って見つめていた。    しかし、74は反応を    見せる様子もなくただ舐め続ける。    そして、真西は殺の足元に    いた74を掴み入り口から    外へ出て行った・・・・。 真西「くそっ・・・くそっ・・・・!!!」 真西「お前の兄貴はほんとに嫌な奴だ・!    私の考え全部分かってやがる・・」    そして真西は彼らの前から    姿を消すのであった・・・。

   そして残されたナンバー達。怯えていた    彼らであったが、真西の姿に影響を    受けてか、冷静さを見せ始めていた。    そして一人のナンバーが前に立つ。 87「あ、あんたは血も涙もないのか・・?    あんなもの見て何が楽しいんだ・・?」    震える声で彼は殺に聞いた。    自然と後ろ二人も前に出ていた。    彼らもまた怒りは同じであった。  殺「言われてみれば・・・・、    血も涙も流したことないな・・。    うぬの言う通りなのかもしれん」 91「あんたは生きてて良いような    生物じゃねぇ・・・・。    完全にいか・・・・・・」    再び殺は足を踏み下ろし    3人を一瞬にして亡き者とした。

 殺「チッ・・・・・・・・・」  殺「ハァ・・・・・・」  殺「また・・汚れたな・・・」