巨大女子相撲部

   言い包められた4人をよそに、    72の奪還に成功した    謎の女はというと・・。    拠点へと向かう帰路の途中であった。 72「・・・・・・・」 ??「相当消耗しているようだが    まだ、喋れるか・・・?」 72「あぁ・・」 ??「筑井 細奈について    先ず私に詳細を話せ」 72「なぜ、一部員でしかないお前に    話す必要がある・・・・?」 ??「私も来年大会に出場する身だ    奴のことについて、少しは    知っておきたいからな・・・」

72「あいつも出場んのか・・・」 ??「さあ、それは分からんが    奴が仮にアンダーだとすれば    九分九厘出てくるだろう・・。    奥の手を出さない理由はないからな。    今まで情報が全く出てなかったあたり    まさに隠し玉と言ったところか」 ??「それより、その言いぐさだとお前、    奴とは会うことができたようだな」 72「いや、会えてはいねぇ・・」 ??「・・・・・。そうか。    身なりや性格だけでも分かれば    良かったんだがな・・・」 72「・・・・・・・・」 ??「おい、聞いてるのか?」 72「あぁ・・・・・」

??(ここ最近の72こいつは明らかに    脆弱化ぜいじゃくかしていってるな・・。    協会側も雑に扱いすぎだ。    長期の休暇がそろそろ必要か・・) ??「今回の件については私から会長に    話す。 お前は帰ったら休め」 72「会長あいつに・・・・・?    ナンバーには、もうほとんど携わって    ないだろ。会長あいつの命令だったのか?」 ??「今回依頼を出したのは会長の    知人の方らしい。ご本人ではない。    私もその知人が誰かまでは知らん」 72「会長あいつに知り合いなんていたのか。    いるようには見えねえけどな」 ??「少し口を慎め」 72「っせえな・・・」

??「そういえば、もう一人伝えねば    ならん人物がいる。あの方・・・も珍しく    興味を示してたからな」 72「あの野郎か・・・。あいつなら    興味持たねえわけねえよな・・」 72「だったら、あの野郎には俺から    直接報告しに行く・・」 ??「それは駄目だっ・・・!    というより、あの方がお前の    話に耳を傾けるわけないだろ。    相手にすらされんわ」 72「どうだか・・・」 ??「とにかく私から話を    しなくてはならないんだ。    筑井細奈のことは分からずとも    他に発見がなかったわけではないだろ」 ??「状況からでも分析しうる    ことは沢山ある。さっさと話せ」

72「チッ・・・めんどくせぇ・・・、    分かったよ・・話してやっけど、    その前に一つ聞きたいことがある」 ??「お前の方がめんどうだな・・・」 72「もし筑井細奈の誘拐が成功してたら、    奴はどうなってたんだ?」 ??「そんなこと聞くなんて珍しいな。    任務外のことなどいつも    興味持たんくせに」 72「だいぶ特別みてぇだからな・・」 ??「おそらく、筑井細奈を人質に使い    藤崎を制御するつもりだったのだろう」 ??「協会に属しているにも拘わらず    あまりに身勝手がすぎるからな。    文明の利器で奴を抑えられん以上    こういったやり方以外にないのだろう」 72「それを会長あいつの知人が頼んだのか?」 ??「聞いてる限りはそうだな」

72「人質だとかどうとか、よくやるわ。    別に自由にさせときゃいいだろ」 ??「藤崎やつを信仰する団体や、逆に世界を    滅ぼす悪魔だと言う連中まで    現れている始末だ」 ??「良くも悪くも影響力は尋常なもので    はない。協会の今の体制が成り立って    いるのも奴の力と言い切って    いい程だからな・・・」 ??「そんな奴を放置し続ければ    どういった問題が起きるか    分からん以上、管理下に    置きたいのは当然だろう」 ??「それに、この誘拐が成功していれば    我々にも大きなメリットはあった」 72「悪かったな・・失敗して」 ??「別に攻めてるわけじゃない」

??「もし、成功していれば槍薔薇の    戦力と戦意を同時に削ぐことができ、    我々が優勝できる可能性を少しは高める    結果となっただろうな・・」 ??「手合わせして、それをする必要は    ないと分かったが・・・・大会の    ルール上アンダーがいても負けはない」 72「たかが相撲如きで・・・・・。    正気とは思えねえな・・・・」 ??「お前も知っての通り、ミドルが    真っ当な生活を送るには見世物・・・に    なるぐらいしかないからな・・・」

??「勝てば天国、負ければ地獄。 そんな    瀬戸際の中、相撲に身を投じている。    手段を選んでるようでは、届き得た    はずの栄誉も手に入らん・・・・」 72「見世物が天国ね・・・・。    そういうの聞いてっと、まだ    俺らの方が恵まれてるとすら思えるな」 72「まあ、20年もすりゃ、その見世物に    すらなれなくなるだろうが」 ??「そうかもしれんな。    だが、今はまだその権利がある」 ??「だったらそれを    掴み取るまで・・・・」

   それから、移動し続けること1時間。    その間に72は槍薔薇高校の    情報を彼女に話した・・。        筑井と会えていないと、    嘘をついていたので、    彼のことを語ることはなかった。    そして森を抜けた二人は    拠点へと辿り着いた。 ??「お前は部屋に戻ってろ・・」 ??「・・・・・・・・」 ??「いや、私も付いて行くか・・・」

72「俺はガキじゃねぇんだ。    一人で部屋ぐらい行ける」 ??「どうも今のお前が部屋に    戻るとは思えん・・・・・。    女の勘ってやつか・・?    長年の付き合いだから分かる」 72「お前女だったっのか・・?」 ??「ぶち殺すぞッ・・・」 72「お前になら殺されても構わねえよ」 ??「・・・・・・・・・。チッ・・。    めんどうな奴だ、一々おちょくるな」 72「へっ・・。ミドル馬鹿にすんのは、    ほんと気分がいいわ・・!」 ??「下が上を叩く典型的思考だな。    凡人の域に留まりおって」 72「出る杭にはなりたくないんでね。    凡人でむしろ、結構」

   そして72と女はナンバーが    収容されている部屋の前に辿り着く。 72「なぁ・・」 ??「・・?どうした?」 72「もし俺がしばらく休んだら    その間74・・はどうなるんだ・・?」 ??「・・・・・・・・」    72から弱気な発言を聞くのは、    彼女も初めてのことであった。    彼の状態がかなり悪いと悟るには    十分すぎる情報である。 ??「我々ミドルの内、誰かの    管理下に置かれることになる。    他のナンバーでも似たような    前例はいくらでも存在する」 72「やっぱそうか・・・・・。    だったら・・俺がいない間    お前に頼めねえか、それ・・・」

??「断る・・・・・・。    お前の指図など受けてたまるか」 72「言うと思ってたぜ。    ほんとお前ってちょろいな。    言うこと全部予想できちまう」 ??「だったら最初から聞くな    さっさと中へ入れ・・」    そして、女は巨大な扉を    開け、その奥に72を押し入れた。    この部屋に入るともう    彼らに自由はない・・・。    通常の扉とミドル用の扉の二つが    存在し、通常の扉は外からでしか    開かない仕組みとなっていた。    ミドル用に関してはナンバー達が    開くことが、そもそも不可能なので    鍵のようなものは存在しない。    彼女はミドル用の扉を少しだけ開け、    そこから彼を部屋へ入れるのであった。

   通常であれば、ポストぐちから    ナンバー達を投げ入れるのだが、    72の弱り切った様子を見た彼女は    それを躊躇ためらったようだ。    ポスト口の下には大量の    ゴミが捨てられており、    仮に数mの高さから落ちても    ゴミの山がクッションとなり    怪我をすることはない。    だが、クッションの役割を    果たすのが、ゴミが捨てられて    いる本当の理由ではない・・。    これがナンバー達の    食料なのである・・・。    協会や相撲部員達から捨てられた    ゴミの一部がここへ運ばれ、    それを食し彼らは栄養を補給する。

   ゴミの回収は、2日に1度    行われるものの、半日もすれば    臭いは相当ひどいものとなる。    この劣悪な環境下で    体を壊すナンバーも珍しくない。    この環境に加え厳しい訓練・・。    それらを耐え抜いた者のみが    仕事を与えられる。    72もまたこれらを耐え抜いた    ナンバーの一人である。    そして、中に入った彼は、まず    大量の視線を浴びることになる。    本来開くはずのない扉が開いたの    だから、中にいたナンバー達が    何事かと思い視線を向けていたのだ。 ??「に、兄さん?!!    帰ってくんの遅いって!!」    ナンバーの一人が声をかけてきた。 72「74セブンフォーか・・・・。    まだ生きてたのかよ、おまえ・・・」

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