全文表示 巨大女子相撲部

藤崎「ひどいッ!!!!!!!」

   悲痛な叫びを、実質一人になって    しまった部屋の中であげる藤崎。

   筑井の体は、どうやら彼女の料理に    対し拒絶反応を起こしてしまい、    意識を失うという最大の逃亡戦術を    決行してしまったようなのである。

   藤崎の頭の中では、名前を呼び合い    ながら、ごはんを食べさせ合う幸せな    姿を思い描いていたことだろう・・・。

   しかし、現実はガラスが散乱し、    部屋全体にはひびが入り、    悪臭漂うという凄まじい環境・・。

   地獄絵図というほかなかった。

美穂「監督ッー!!!」

美穂「無事なら返事    してください!!!」

藤崎(美穂か・・)

   二部屋あるうちの手前側の    部屋は藤崎が侵入すると    同時に破壊されていたので、    今は奥の部屋を一つ残した状態。

   そのおかげで、分厚い壁でも    声を届けることができていた。

藤崎(夫婦水入らずの時間に・・・)

藤崎(だが、なぜここに・・・?)

   ガチャッ・・

4人「うっ・・・・」

藤崎「何の用だ・・・?」

藤崎「そして、なぜここにいる?」

二崎「筑井先輩の警護を命じられ    ていたので、この部屋の近くに    偶然いただけです」

   二崎はこの質問が来ることを    予想できていたのか、彼女の    質問を即答で返す。

美穂「それで監督、私達はここに    変な物が入ってくるのを目にした    ので急いでやってきたのですが、    大丈夫でしたか・・?」

藤崎「変な者・・・・?」

藤崎「来たが、もう海の彼方に飛ばした」

瑠璃「さ、さすがは監督・・・    それより、先輩は!!」

美海「きゃぁああ!?!?

   先に部屋をのぞき込んでいた    美海がそのあまりの光景に    悲鳴を上げてしまっていた。

美海「先輩がし、死んでる??!!」

   美海の声を聞いた、    美穂と瑠璃もドアへ駆け寄り    中の様子を確認する。

美穂「う、嘘でしょ!?    なんでこんなことに・・・」

藤崎「寝ているだけだろ。    何を心配している」

瑠璃「膝立ちで白目向いて寝る人間が    どこにいるって言うんですか!!」

二崎「・・・・・・・」

二崎「監督・・・今ののままだと先輩が    危険だと思いますので、一度    部屋から出してあげた方が・・」

二崎「それに監督とお話したいことも    ありますし、二人とも出てきて    いただければ有難ありがたいのですが」

藤崎「・・・・・」

藤崎「手短に済ませろ」

   そして部屋の外へ出た藤崎と筑井、    そして美穂、美海、二崎、瑠璃の    6人は廊下で座り会話を行う。

美海「よかったあ、先輩まだ息があって…」ホッ

藤崎「用件はさっきの質問だけでは    ないんだろ。何が聞きたい?    大会の結果でも聞きに来たのか」

美穂「そ、そういえば、だいぶ早く    大会から戻られていますが、    もう終わったんですか?」

藤崎「・・・・・・」

藤崎「んっ・・んっ・・」チラッ チラッ

   目線の先を美海と瑠璃に    合わせる藤崎。

   こいつらがいるけど    どういうことだ・・?    まず、そう言いたげであった。

二崎「成り行き上、彼女達は    偶然この件を知って    しまっただけです」

二崎「私の不手際なので、    今ここに2人がいることは    許してあげてください」

藤崎「ふん・・・まぁいい」

藤崎「早く帰ってきたのは他でもない、    侵入者の一件が気になってな」

藤崎「大会が早く終わった    というわけではない」

美海(侵入者・・・・。    さっきの連中が来ること    監督は知ってたんだ・・)

藤崎「一応その話は筑井く・・・・    じゃなくて・・えっと・・・」

美穂「もういいですよ・・、    筑井君で・・」

瑠璃(ちょっ・・・・?!)

瑠璃(それ言っちゃいけないやつ・・!)

藤崎「うっ・・・・」

二崎「・・・・・・」 美穂「えッ・・・?」 瑠璃(可愛い・・) 美海「・・・・・・」

藤崎「・・・・・・・・」

藤崎「来てないって筑井くん・・・・    からは聞いたけど・・」

藤崎「美穂、二崎あんた達2人が、    追い払うか拘束に成功    したということか?」

藤崎「侵入者が来てないってことは    ありえない・・・・・はずだが・・」

二崎「それについては結果的に    追い払った・・。とでも    言うべきですかね・・」

藤崎「・・・・・・・そうか」

美穂「あの、監督・・・・。    いったい彼らは何者なんですか?」

藤崎「彼ら・・?複数だったのか。    単独とばかり思っていたが・・」

二崎「いえ、今回誘拐を行ったのは    筑井先輩と同体格の男1人だけです」

二崎「そして、その男の回収を    しにきた” ミドル ”の女1人を    合わせて計2名になります」

美海「ゆ、誘拐・・・???!!!」

美海「それにミドルって何ですか・・?」

二崎「私達みたいな体格の人の    言わば病名みたいなものよ」

二崎「ミドルが正式名称では    あるんだけど、差別的な意味合いで    使う人達も過去にいたから」

二崎「今じゃ世間でこの呼び名が    使われることはなくなったのよ」

美海「へぇ・・」

藤崎「美海の様子を見る限りあまり    この件について知らないようだな。    瑠璃はどうなんだ?」

瑠璃「私はひとみから詳細を    聞いています」

藤崎「他に知ってる者は?」

二崎「現状知ってるのは我々だけかと」

美穂「・・・・・・・」

   二崎と合図などを送りあわずとも    美穂はこの時理解していた。

   彼女の言う我々が意味するものは    今、話を聞いている連中だけだと。

   話の辻褄つじつまを合わせるために    筑井は、この件について知らない    ていで話を進めなければいけないと    そう考えていた。

   ただ、美海と瑠璃がこのことに    気が付いていない可能性が    大いにある以上、

   下手に彼女達に発言をさせては    いけないと美穂、そして二崎の2人は    お互い意識し合っていたようだ。

瑠璃(監督うまく話題すり替えるなぁ・・)

瑠璃(自分が質問されてた側なのに、    自然とそれが逆になってるし)

瑠璃(この2人だと慎重すぎる。    私がサポートしてあげないと!)

瑠璃「で、監督。結局彼らは    どこの誰なんですか?」

瑠璃「先輩を誘拐して何するつもり    だったのかとか、知ってること    全部教えてくださいよ!」

藤崎「どこかひとつめは言えない    誰かは知らない。    目的も言う必要がない」

瑠璃「いや、何も分からないじゃ    ないですか!それじゃあ!!」

二崎「いえ、充分です監督。    ありがとうございます」

瑠璃「はっ・・?」

二崎「あんた分かってないんでしょうけど、    何も知らない私達からしてみれば    今のも貴重な情報よ」

美海「二崎先輩どういうことですか・・?」

二崎「どこか1つ目目的3つ目の質問に    関しては監督は答えを    ご存知ということですよね?」

二崎「まあ、誰か2つ目の質問に関しては誘拐を    行うような人間ですから、正体を    バラすようなことはないでしょうし    知らなくてもおかしくはない」

二崎「ただ、こういう捉え方もできます」

二崎「裏で糸を引いてる人間か    今回誘拐を直接行った人間、」

二崎「瑠璃がそのどちらを指して    質問したか不明確だから    分らないと答えるしかなかった」

二崎「だから本当は今言った    誘拐犯か指示者どちらかを知っている    可能性があると私は考えています」

二崎「これらの情報のおかげで    かなり特定する要素を    狭めることができました」

美穂(話し相手としては最悪の部類ね。    友達できんわけだわ・・・)

藤崎「多弁な奴だ・・」

二崎「その言葉、誉め言葉として    受け取っておきます」

藤崎「一言だけ忠告しておこう。    あまり自慢げに話さないことだな」

藤崎「お前が知覚している範囲、    そしてどう行動するのかも    筒抜けてしまっているからな」

美海(何かよく分かなくなってきた・・)

藤崎「私も監督という立場だ」

藤崎「貴様らの身を預かってる    以上危険な目に合わせられない」

藤崎「この件に関しては忘れろ。    今まで通り部活に専念してくれ」

藤崎「他に問題が起こるようなら    私の方で全て処理する」

美海「で、でも心配ですよ!」

美海「実際にその誘拐犯が来てたんですよ」

美海「また来る可能性もあるでしょうし    今まで通りって言われても・・・」

美海「そうだ!警察に言うべきですよ」

藤崎「残念だが、この区域内には    警察さつとて介入は許されていない」

藤崎「警察やつらはあくまで法を厳守する。    ここで頼るのは筋違いだ」

藤崎「それに、話を聞く限りミドルも    絡んでるようだし、軍隊でも    引っ張り出さない限り、一般人が    どうこうすることはできない」

美穂「そうだ、監督!?」

美穂「さっきミドルの女が回収しに    来たと言いましたが逃げてから、    そう時間も経ってません!」

美穂「監督の力なら、まだ取り押さ    えることも可能だと思いますし    今からでも・・」

藤崎「追う必要はない」

美穂「えっ・・」

藤崎「誘拐も未遂で終わったんだ」

藤崎「それに、そいつらもこのんで    やっていたわけじゃないだろ」

藤崎「だったら無理に押さえる    必要もないと私は思うが」

瑠璃「て、監督この状況だと誘拐未遂じゃ    なくて殺人未遂のレベルですよ!」

瑠璃「毒ガスで攻撃されてるんですよ!」

藤崎「さっきから何訳の分からない    ことを言っている・・?    毒ガスだのなんだのと・・」

美穂「もしかして監督・・・    気付かれてないんですか・・?」

藤崎「あぁ」

二崎(毒ガスすら、もろともしないとは    本当に無敵なのね、この人は・・・)

   この匂いの原因がまさか    藤崎の料理にあるなどと    いったい誰が考えるだろうか?

   完全に殺人未遂の現場だと思い    込んでいた4人の中にある不安は    時が進むにつれ次第に強く    なっていくのであった。

   それから、しばらくしても    良い情報が出てくることもなく

   これ以上何かを聞き出すのは    難しいと考えだしていた4人は、    言葉を詰まらせてしまっていた。

   そんな不穏な雰囲気をそのまま    表現するかのように4人の表情も    悄然しょうぜんとしたものへと変化していく。

   そんな彼女達の心情を    察したのか藤崎が口を開いた。

藤崎「なんだその不安そうな顔は、    なにも心配することはないだろ」

瑠璃「で、でも・・」

藤崎「お前達はとっくに    分かっているはずだ」

美海「?・・・・・」

藤崎「私がいる限り、    万が一はないことを」

美海 美穂   「か、監督っ!!」 二崎 瑠璃

美海 美穂(いつもあんなに恐ろしいのに、 二崎 なにこの、すごい安心感・・) 瑠璃

   今の藤崎の一言だけで    彼女達に落ち着きの色が    見え始めていた。

   敵に回ると彼女以上に恐ろしい    人物はいないが、味方になると    これ程までに頼もしい人物も    他にいない。

   4人は心の中で同じことを    同時に考えてしまっていた。

藤崎「よしっ、話もひと段落した    ことだし、朝練をやるぞ」

藤崎「3年は優勝しているんだ。    お前達も負けるなよ」

美海「えっ優勝・・・!?」

美穂 瑠璃「え”えぇえぇー!?!?」 美海

二崎「ほ、本当なんですか監督・・?」

藤崎「当たり前だ。    私が嘘をつくと思っているのか」

二崎「申し訳ございません・・」

瑠璃「さ、3年ぶりの全国優勝    おめでとうございます!!」

藤崎「ふん、まあ嬉しくはあるが    この程度じゃ満足していない」

藤崎「私には昔からの夢がある」

美穂「夏の・・2連覇ですよね」

藤崎「あぁ、そうだ。だからこそ    来年は期待しているぞ、美穂」

美穂「は・・・はいっ!!」

美穂(まじでプレッシャー    なんだけど・・)

   完全に話題をすり替えられ    結局4人は詳しい話を聞けぬまま    この場を解散することとなった。

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