全文表示 巨大女子相撲部

   筑井達に監督が戻ってきた事を    伝えに来た美海・・。

   しかし、彼らはすでに移動していた為    その姿は見当たらなかった・・・。

美海「何あれっ・・・?!」

   上を見上げると、監督部屋付近が    爆発事故を思わせるほどに、    粉々に吹き飛んでいた。

   その原因が藤崎であることは    明々白々である。

美海「もう監督こっちに来てたんだ・・」

美海「先輩、大丈夫かな・・・・」

美海「それに美穂先輩達はどこだろ・・?」

美海「一緒に上に行ってるのかな・・?」

美海「状況だけでも聞きたいのに・・」

美海「怖いけど・・・、    監督の部屋まで向かわないと、    何も分からなそう」

   美海は現状を知る為に部屋まで    向かうことを決意する

   だが、昨夜侵入した窓も    閉められており、上まで行く    手段が存在していなかった。

   しばらく立ち止まり上を眺める・・。

   移動方法を考えるが何も思いつかない。

   策が浮かばないまま立ち尽くすこと    2,30秒、崩壊した壁の奥から    何やら垂れ下がってくるものが・・。

   数十mという高低差のせいで    垂れ下がってくるものが何か、    すぐには理解できなかった。

   気になった美海は、それを    確認する為に目を凝らす。

   注意深く見ることで、それが何か    把握することができた。

美海「あれって・・ロープ?」

   彼女が目にしたもの。    それは紛れもないロープであった。

   ロープが降りてきたということは    それを投げた誰かがいるということ。

   用途はおそらく脱出する為・・・。    でなければ、こんなロープの    使い方はしない・・・・。

   この時、美海にでも一瞬にして    予想しえる事象が一つだけあった。

   それは、奥にいる人物が誰であるかだ。

   ロープというアイテムが    そのヒントを与えてくれていた。

   まず監督ならば、ロープなど    わざわざ使わずとも降りられるはず。

   2年生達の場合は、    体重を考慮すると、ロープで    降りることなど、まずできない。

   その両者以外の誰かが、下りて    くるなら、筑井しかありえない!!

   美海はそう考えていた。

   しかし、予想とは裏腹に    降りてきたのは見覚えのない人影。

   距離はあるものの、筑井の姿を    幾度となく見てきた美海は    それが別人であるとすぐに分かった。

   その謎の人物は下りてくる    途中で一度下を確認した。

   その時、美海と目が合うも    特別な反応を示す様子はない。

   一方、美海はかなり困惑していた。    見た目は屈強でも中身は、いち女子高生。

   不審な人物を目撃すれば、それが    自分より遥かに弱い人間であっても    戸惑いはする・・・。

   そんな動揺とは裏腹に    体はロープの真下・・、つまり    彼の着地点へと向かっていた。

   その人物は動揺する様子も見せず    大地に弱々しく足を着ける。

   普通の人間なら、こんな巨人を前に    すれば多少の恐怖心を抱くだろうが、    彼を見る限り、その様な反応は    なぜか微塵も感じられない・・。

   美海も中学時代は、よく人々に    恐れられていたので、一般人が    どのような目で見てくるか    嫌という程知っていた。

   だが、それに比べ    彼は明らかに違う。

   その瞳の奥に感じられるものは    とても暗いイメージ。

   恐怖と言うよりも恨みを    連想させるような、そんな    眼差しを美海に向けていた。

   いつもなら、怯える側は    自分を見た人間達の方なのだが、    この時気圧されていたのは、    完全に美海の方であった。

72「槍薔薇の1年か・・・・」

72「一つ聞きてえことがあんだけどよ、    青髪と眼鏡の2人知らねえか?」

美海(青髪と眼鏡・・)

   それが美穂と二崎の    ことだと美海はすぐに察した。

美海「美穂先輩と二崎先輩のこと・・?」

美海「て、名前知らないんだよね・・・」

72「いや、名前に聞き覚えがある。    たぶんそいつらのことだ」

美海「それより、あなた誰・・・?」

72「俺のことはいい。お前もあいつらの    仲間なんだろ、居場所が分かれば    案内してくれ」

美海「仲間って言われれば、    そうだけど・・」

美海「悪いけど、私もその人達を    探してたところなの・・・・・。」

美海「先輩の安否が知りたくて    美穂先輩達を探そうと思ってた    ところに、あなたが来たわけ」

72「先輩・・・・・・?」

72「もしかして、筑井さんのことか?」

美海「えっ・・!? 知ってるのっ!?    今、先輩はどうなってるの?」

72「無事は保証する、    心配すんな・・・」

72「部屋の構造上、    怪我はねぇはずだ」

   その発言に何か引っかかる美海。

   部屋の構造を知っていたり    無事を保証するという発言・・・。

   あの壁を破壊したのは監督と    ばかり思っていたが・・・・

   もしかしたら、    彼がやったのでは    ないか・・?    その考えが脳裏をよぎる。

   そうでなければ、そんなことを    知っているのはおかしいからだ。

   ひょっとすると自分達に仇なす    存在なのかもしれない・・。

   美海は怯えながらも、彼に尋ねる。

美海「あの爆発の跡・・・    まさかあなたのせい    じゃないよね・・?」

美海「見たところかなり弱ってるし、    私から逃げ切る為に出任せ    言ってるようにも聞こえるけど」

   口にして初めて美海は    過ちに気付いた・・・。

   あの爆発は彼が原因ではない、    そう思い始めていた。

   何故そう思ったか・・    少なくとも彼の言動に虚偽と    思われる内容が無いから。

   理由はそれだけである・・。

   部屋の作りや強度から言って    通常の武器で、破壊できるような    ものではない。

   ”部屋の構造上怪我はない”    これに関しては揺るが無い事実。

   その事実が彼が発した言葉に    真実味を持たせ、危険人物では    ないと思わせる一因となっていた。

72「俺のことはどう思ってくれても    構わねえけどさ、今の俺じゃお前の    脅威にはなりえねぇだろ・・?」

72「不審な行動取ったらぶっ殺すなり    好きにすりゃいいさ・・」

72「とにかく俺は奴らと合流    しなくちゃならねぇ・・・」

美海「・・・・・・」

美海「さっきから言ってるけど    私も探さなきゃいけないのは    同じなの・・・・」

72「たく、でかい図体して    どこ消えやがったあいつら・・」

72「まあ、だが俺の仕事も済んだことだし    急いで合流する必要はねえか・・」

72「おい、1年」

美海「なに・・?」

72「お前も奴等に用があるとか言ってたな。    だったら一緒に探そうじゃねえか」

72「連絡手段もねえんじゃ、    別れても仕方ねえだろ」

美海「・・・・・・・・・」

美海「・・・・・まあ、いいけど」

   二人は会話を終わらせると、    周囲の捜索を始める。

   だが、まだ美海の疑心が    消えたわけではない。

   どこの誰かも分からぬ    相手の手伝いをしていいものかと    本心では思っていたようだ・・。

   にもかかわらず、本音を言い出せ    ないのは彼に対しての恐怖心とは    別にある理由があった・・・。

美海「あの・・・・」

美海「かなりヨタヨタしてるけど    私が運んであげよっか・・」

72「・・・・・・・・・」

美海「・・・・・・・・」

   美海が心配して声を    かけるも返事はない。

   あまり意識もハッキリ    していないようである。

   とりあえず今は    ”彼は怪しくないかも” という    直感を信じることにした・・。

   1,2分の間、捜索をしていると    急に72が足を止める・・・。

   何故彼が足を止めた    のかと言うと・・。

美海「ッ・・・?!」

??「何をしている・・・?」

??「72・・」

   2人の目の前に見覚えのない    女性が姿を現わしたのだ。

美海「えっ?!だれ・・・?」

   美海は彼女を見た瞬間、    上級生の誰かかと思ったようだが    それが間違いなのは、その雰囲気    からすぐ理解できたようだ。

   その人物の身長は    ここの2年生よりもやや高く、

   美海が真上を見上げても、    その表情をハッキリと見ることが    できない程の高さであった。

72「なんでテメェが、    ここに来やがった?」

??「日を跨いでも、    音沙汰がないからだ」

72「それだけでミドル・・・のお前が駆り出さ    れんのか。他にいける奴なんて    いくらでもいただろ」

??「お前が連絡付かないぐらいだ、    余程のことがあったと    協会側が思うのは当然・・」

??「そうなれば私レベルが動かされ    ても何も不思議なことではない」

??「まあ見たところ・・、ただ    ほついていただけのようだが」

??「死体と対面することにならず    良かったと言うところか」

美海「あ、あのこれどういうことなの?」

72「黙ってな・・・・。    関わってもろくなことねえぞ」

美海「・・・・・・うぅ」

   完全に場違いであることを    自覚しているが、離れようにも    怖くて動くこともできない。

   緊張感に包まれる寮の裏側で    今、美海にできることは    ただ危害を加えられぬよう    願うことだけであった・・。

??「後でここで見た全てを    話してもらう」

??「アンダーが2人・・いるやも    しれんこの状況。」

??「さすがの私でも相手をするのは    無理だ。気付かれてない今しか    帰るチャンスはないぞ」

72「・・・・・・」

??「・・・?」

??「どうした?」

72「あぁ・・・行こう」

美海「えっ・・・・えっ?!・・」

美海「ちょ、ちょっと・・・    まって・・」

   美海が謎の女性に忠告をするも    彼女はそれを全く聞き入れる様子も    なく一歩こちらに近づいてきた。

   その瞬間、周囲の木々が    大きく揺らぐ・・!

美穂「可愛い後輩が待てって    言ってんの聞こえてるでしょ?」

美海「み、美穂先輩・・・!」

??「・・・・・」

   茂みの中から    姿を現したのは美穂。

   72の回収を目論む、    謎の女を止めるべく、彼女は    二人の前に立ちはだかった。

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