全文表示 巨大女子相撲部

   部屋まで戻って来た    藤崎と会話をしていた筑井。

   思っていたよりも侵入者に    ついての情報を隠す気が    なさそうだと判断した彼は、

   更に食い入って質問を    してみることに・・。

筑井「僕の情報を手に入れる為に    侵入者を送ってきたと    言っていましたよね?」

藤崎「うん」

筑井「つまりそれって相撲大会に    向けて、情報を集めたいと    思った誰かが」

筑井「諜報員を送ったものだと    受け取れるんですが‥」

筑井「もしそうなら、その侵入者の    派遣元は女子相撲に携わる    人物なのは間違いないですよね?」

藤崎「だろうね」

筑井「じゃあ、その依頼を出した人が    誰なのかまで分かったりして    いませんか・・?」

藤崎「そういうのは全然聞いてない」

藤崎「私も忙しかったから、    ほとんど話もしていないし」

藤崎「聞けば、もしかしたら    答えてくれてたかもね」

筑井「そうですか・・」

藤崎「まあ、ここに来て    私も安心した」

藤崎「侵入者もどうやら来て    なかったみたいだしね」

筑井「あの・・・・・」

筑井「連絡を受けたって話に    ついて、もう一つだけ聞かせて    ほしいことがあります・・」

筑井「話を聞いてる限り連絡は電話越しで    受けてたようですが、その内容を    詳しく教えてくれませんか・・?」

藤崎「・・・・・・・・・」

   筑井がそこまで聞き終えると    藤崎は露骨に不機嫌な態度を    取り始めた。

   ほほを膨らませ、己の感情を    筑井に分かりやすく伝える。

筑井(しまった・・。調子にのって    掘り下げに行き過ぎたか・・)

藤崎「侵入者何て来てないんだからさ・・」

藤崎「別にそんな聞く必要ないよね?」

藤崎「もっと他に話すことあるでしょ」

藤崎「私の料理の感想とか・・」

藤崎「料理の感想とか・・」

筑井「・・・・・・・・」

筑井「あぁあーーッ‥!!」

筑井(そういえば完全に忘れていた・・⁉    ごはん食べるのを・・・・)

藤崎「・・・・・・」

藤崎「何が”あーっ”なの・・・・?」

筑井「あっ・・・⁉」

藤崎「・・・・・・」

   " 残したら許さないからね ”

   置手紙にそう書いてあったが    今の藤崎の表情からも全く    同じメッセージが感じられた。

筑井(これはヤバい・・!)

筑井(だって・・、一口も手を    付けてないんだぞ・・・)

筑井(せめて一食分だけでも    食べていれば、まだ許された    かもしれないけど・・)

筑井(丸1日経過して一切手をつけて    ないんじゃ、確実に雷が落ちる・・)

筑井(いや、この人の場合    雷どころで済むはずがない!)

藤崎「筑井くん・・・・・・・・・・」

筑井「ヒッ・・・!?」

   名前を呼んだ後、    彼女は左手の人差し指を    クイッと曲げる。

   すると、ポルターガイスト    現象かの如く、冷蔵庫の扉が    独りでに開いた・・。

   扉が開いたと同時に    あの地獄とも思えるような    悪臭が部屋を充満することとなる。

藤崎「・・・・・・」

藤崎「ひどい・・・」

藤崎「絶対食べてって    書いてたじゃん!!」

筑井「え、えっ~っと・・・・」

筑井「あの、その・・・・」

筑井「あっ・・・!」

筑井「め、目がさ、覚めたのついさっきで。    だからお腹・・空いて・・なくて」

藤崎「・・・・・・・」

   筑井の言うことを一切信用    していないと言わんばかりに    鋭い眼光を彼に飛ばす藤崎。

   腹減ってなくても食えよという    メッセージをその視線だけで    痛いほど理解させれていた。

藤崎「じゃあ、私が食べさせてあげる

筑井「え”っ・・・・!?」

   藤崎が不敵な笑みを浮かべた後、    最初会った時と同じように、再び    体の動きを止められてしまう。

   だが以前とは、一点だけ    違う点があった。

   それは口までもが動かせなく    なってしまったのである。

   先ほど「えっ」と発言した瞬間から    文字通り、開いた口が塞がらない    状態となっていた。

   そして、藤崎は目にもとまらぬ    早さで冷蔵庫に入っていた器を    自身の手元までもってくる。

筑井「あが・・、あがあ・・・」

藤崎「・・・・・・・」

藤崎「大丈夫・・・」

藤崎「見た目はちょっとあれだけど、    味は折り紙つきだから・・」

藤崎「先入観の問題・・」

藤崎「ウニやカニだって知らなきゃ    おいしそうには見えないでしょ」

筑井「グ・・、ぅ・・・」

藤崎「それじゃ筑井君・・・」

藤崎「あ~~~ん♡」

筑井「あがあああああああああ!!!」

   バリリィーーーン!!

   筑井が絶望の淵に立たされる中    突如、薄暗い部屋の中に一筋の    光明が差し込んできた・・。

   窓を粉々に割って侵入してきた、    その救世主の正体は・・、

   藤崎の後を追ってきた    冥瓦の姿だったのである。

藤崎「チッ・・・・」

   藤崎は、仲良くしているさまを    誰かに見られることにかなりの    恥ずかしさを感じるようで、

   冥瓦が入ってきた瞬間には料理を    一瞬にして冷蔵庫に戻し、何事も    なかったかのように振舞ふるまいだしていた。

   その影響もあってか筑井の    体の縛りも自然に解除される    こととなった。

冥瓦「藤崎様!大丈夫ですか!!」

筑井「だ、誰なんですか・・?」

藤崎「こいつはただのストーカー」

冥瓦「あの、ストーカーって言うの    できればめてくれませんか・・」

藤崎「断る」

藤崎「それより貴様、    どうやってここに?」

藤崎「臭い対策も途中から    してたはずだが・・」

冥瓦「確かに途中から臭いが消えて    捜索に苦労しましたが」

冥瓦「急にとてつもない激臭がしたもので    もしかしたらと思い、こちらに    跳んでまいりました」

冥瓦「でも、変だな・・。    臭いは残ってるけど    その元がどこにあるのか・・」

筑井(激臭って・・・。    料理のことだな、絶対)

筑井(だけど、彼女どうやって    ここまで来たんだ・・)

筑井(とんでって言ってたけど、    ここ高さ50m以上はあったはずだぞ)

筑井(まさかジャンプして    こんなとこまで来たって    言うんじゃないだろうな・・)

筑井(それに体も女子相撲部達みたいに    太ってはないけど、かなり大きいし、    何者なんだ・・・・?)

藤崎「ゲキシュウ・・・?    いったい何のことだ・・・?」

筑井「えっ・・・!?」

筑井(も、もしかして、この人    分かってないのか・・!?)

筑井(自分の料理がどれだけ    恐ろしいものなのかを・・・)

冥瓦「一言で言えば、あれは地獄の釜が    腐りきったような臭い」

冥瓦「嗅げばあの世へ行ってしまうのでは    ないかと思うほど、それは    ひどいものでした・・・・・・」

筑井(ほんと、ほんと・・・。    全て当たってるよ・・)

藤崎「んぅ・・!!」

筑井「ひぃ・・・⁉」

筑井「いっ、、いえ・・。    料理がひどいだなんて、そんなこと    あるはずないじゃないですか・・・」

筑井(な、なんで心の声が    分かったんだ・・・)

藤崎「何、当たり前のこと    急に言ってんの筑井くん?」

藤崎「誰も料理の話なんか    してないじゃん」

筑井「えっ・・・?」

筑井(じゃあ、今なんで    怒ったんだ・・?)

藤崎「臭いの元はきっと筑井くんの    おしっこでしょ」

藤崎「それぐらいしか考えられない」

筑井「・・・・・・・・ッ」

筑井(流し台で出したのバレてる・・・。    鼻がいいのか悪いのか    よく分からん人だな・・・・)

冥瓦「い、いや藤崎様・・」

冥瓦「自分のおしっこを    毒物と間違えるはずは・・」

藤崎「貴様のことじゃない・・」

冥瓦「と、とにかく、もしかしたら    藤崎様を狙う輩が命を奪うために」

冥瓦「毒ガスを用いたのではないかと    思い、ここまで・・・」

筑井「毒ガスって・・・・」プッ

藤崎「なんか言った・・?」

筑井「いえ・・、何も・・」

冥瓦「何を笑っているんだ無礼者!!」

冥瓦「藤崎様の命が危険    だったというのに!!」

冥瓦「この失礼な輩はいったい    何者なんですか!」

冥瓦「まさかこいつが暗殺犯か!!    許せん!!」

   そう言って冥瓦は筑井に手を    上げようと襲い掛かってくる。

   藤崎に遠く及ばないものの    彼女もまたとてつもないオーラを    放っており、その迫力に彼は    気圧けおされることとなっていた。

   だが、そんな彼女の強襲も    失敗に終わる。

   そもそも成功するはずがないのだ。

   最凶の女が隣にいるのだから。

藤崎「死にたいのか・・?」

   その一言を発すると、    建物全体が軋むような音がし、    部屋中に一瞬にしてひびが入る。

   その威圧感に圧倒されてか    冥瓦の動きは完全に硬直して    しまっていた・・。

   だが、彼女の変化は    それだけでなく・・・。

   股の間から滴るものまで    確認できた・・・。

筑井(あれだけの殺気をあびれば、    チビるのも仕方ないよな・・)

筑井(だけど、どことなく嬉しそう    なのはなんでだ・・?)

藤崎「私の部屋まで汚すな、たわけが」

藤崎「漏らしていいのは・・・・、    いや、なんでもない・・」

藤崎「だが、おかしいな・・。    この部屋は密閉されていたはず」

藤崎「なぜ、外まで臭いが・・・?」

冥瓦「密閉・・・?」

冥瓦「そんなことはないと    思いますが」

藤崎「・・・・・・」

藤崎「どういうことだ・・?」

藤崎「私が入る前にはすでに    窓ガラスは確かに割れていました」

藤崎「割れていただと・・?」

筑井「あっ・・・」

   冥瓦に割れていたという話を    聞いた後、藤崎は粉々になった窓を    見て、それがどのような状態に    あったのか分析を行う。

   窓下部分はまだ、先程までの    原形を僅かながらに残しており、

   2つの窓は重なり合うことなく    両側にきちんと設置されて    いたことを証明していた。

   それは、閉め切られて    いた事実を物語るもので、

   少なくとも窓を開けていた状態で    なかったということは分かる。

   しかし、冥瓦が臭いを感知できて    いた以上、空気の通り道は    確実に存在していたはず。

   閉め切られていた状態で    それを成すには、窓が割れていた    と考えるほかなかった。

   そこまで瞬時に理解し終えた    藤崎は窓を1秒前後見つめた後    すぐ、筑井の方へ視線を向ける。

藤崎「筑井くん、どういうこと・・・?」

筑井「えぇっっと・・」

筑井「つまりですね、それはその・・」

   ここでナナの存在について    語るのは絶対によくないと    考えていた彼は、

   ここで自分が犠牲に    なることを選ぶのであった。

筑井「ここから出たいと思って    割っちゃいました・・」

筑井「すみません・・・・本当に」

   これ以上は何も語るまい。

   こういった場面で言い訳が    通らないことは彼も理解していた。

藤崎「本当にそれだけ・・・?」

筑井「はい・・・」

藤崎「本当に・・・?」

筑井「・・・・・」

筑井「はい・・・」

藤崎「んもぉ・・・!!」

藤崎「なんで私を困らせることが    こう立て続くのかなぁ!!」

藤崎「嫌んなっちゃう!」

藤崎「絶対にこの責任は    取ってもらうからね!」

筑井「・・・・はい」

   友人を助けられたのだから    後悔など感じちゃいけない・・。

   むしろこの自分への不幸を    喜ぶべきなんだと、筑井はそう    自分に言い聞かせる。

藤崎「冥瓦・・」

冥瓦「初めて名前呼んでくれた!」   (はい…!!)

藤崎「・・・・・・・ハァ」   (逆だ、逆・・・)

藤崎「隣の彼について説明をして    いなかったから話をしておく」

藤崎「彼は私の婚約者になる人だ。    だから、貴様との交際も結婚も無理」

藤崎「分かったらさっさとね」

冥瓦   「・・・・・・・?」 筑井

冥瓦   「えええぇっ!?!!??」 筑井

藤崎「なんで、筑井くんまで驚いてるの?」

筑井「・・・・・!?」

   これがガラスを割ってしまった    ことの代償だと即座に理解できた    筑井は彼女の話に調子を合わせる。

筑井「いや・・・だって・・」

筑井「皆には内緒にしてた    じゃないですか」

筑井「あはは・・・・」

   ここまで乾いた笑いが    出るのかと驚くぐらい、    乾ききった笑いであった。

   砂漠の方がまだ潤ってると    感じる程のものである。

冥瓦「そ、そんなまさか・・・」

冥瓦「現在まで独身を貫き通して・・」

冥瓦「ゴッ・・・!?」

   冥瓦が喋っている途中何を思ったのか    藤崎が突然彼女に殴りかかった。

   あまりのパンチの威力に、冥瓦は    簡単に吹き飛ばされトイレの    ドアに激突することになる・・。

   あの難攻不落のトイレのドアも    まるで豆腐が崩れるかの如く    彼女の衝突により簡単に破壊    されてしまった。

   だがこれでもまだ    藤崎が手加減をしているもの    だと、筑井はなんとなくで    あるが理解できていた。

筑井「なんで殴ったんですか・・?」

   純粋な疑問をそのまま    ぶつける・・。

藤崎「相手するのが面倒なの!」

   彼女がそう言って左手を    上げると、そこに1枚の    紙切れが急に姿を現した。

藤崎「この際だから    さっさと消えてもらう」

筑井「えっ・・・!?」

   消えてもらうと言う発言に    底知れぬ不安を感じた筑井だったが    今の彼女を止める勇気など到底なかった。

   女子相撲部員ですらおそらく即死する    レベルのパンチを見た後なのだから、    怖気づいて意見ができないのは    仕方のないことである。

   だが、そんなパンチを喰らってなお、    まだ息がある様子の冥瓦にも凄さと恐    怖を同時に感じることとなっていた。

   そんな中、藤崎が急に自身の    指を傷つけ始めたのだ。

筑井「なにやってるんですか!?」

   いきなりの自傷行為。    反省の意でも示している    つもりなのだろうか・・・。

藤崎「んっ?これ・・?」

藤崎「今から冥瓦こいつにメッセージを    残そうと思って」

筑井「・・・・?」

   そして藤崎は指先を摘まみ    ソースを出すかのように血をしたたらせる。

   なんと、流血を利用して、    手紙を書きだしたのだ。

筑井「・・・・」

   そんな光景を見て筑井は、    あの置手紙もこのようにして    書かれていたものだと気付か    されることとなっていた。

藤崎「よし・・」

   メッセージを書き終えたのか    冥瓦のパンツの中にその紙を    押し込んでいく・・・・。

筑井(全てにおいて想像の範囲外へ    行ってしまうな、この人は・・)

   ポンッ!

筑井「!?」

   パンツの中に手紙を入れ終えて、    藤崎が冥瓦の体を軽く触れると    冥瓦の姿が一瞬にして部屋の    中から消えてしまったのだ。

   まるで世紀のマジックショーを    目の前で見たかのような衝撃に    筑井は見舞われていたが

   藤崎はこの一連の流れが    さも当たり前かのように何事も    ないといった様相で筑井の    いる方向を振り向く。

筑井「監督・・・・?    彼女はいったい・・?」

藤崎「遠くへ飛ばした・・・、    ずっとずっと遠くへね」

筑井「・・・????」

筑井(手で押し飛ばしたと    言うのか・・・?)

筑井(瞬き一つした覚えはないが    全く見えなかったぞ・・)

藤崎「もう、消えたあいつの    ことなんか気にしなくていいの」

藤崎「それより筑井くん!!!!」

筑井「は、はい!?」

藤崎「まだ、監督って言ってるの!!!」

藤崎「何度言えばわかるの?    私の名前は美理央!」

藤崎「監督って名前じゃないのよ!」

藤崎「結婚してからもそうやって    呼ぶつもりなのかしら、全く」

筑井「いや、さっきまでその冥瓦とか    言う人いたじゃないですか・・・」

筑井「一応、2人以外の時は呼ばない    ことになってましたし・・・」

筑井「それに結婚はその冥瓦を諦めさせる    為の設定だと思ってたんですが・・・」

藤崎「筑井君がその気なら    全然私はいいけど・・」

筑井「何言ってるんですが    いいとか悪いとか・・・」

藤崎「否定はしないんだね」

筑井「うっ・・・・」

藤崎「まあ、とりあえず下の名前を    呼ぶことと、料理を食べること」

藤崎「この二つはちゃんと    やってもらわないと。    だって約束なんだから」

筑井「料理に関しては一方的・・」

藤崎「て、もうここまで行くと    夫婦みたいなもんじゃん・・!」

筑井「えっ・・?」

藤崎「面倒だし、結婚しちゃおうか」

筑井「・・・・・ッ//」

筑井「考えときます・・」

藤崎「ふふっ・・。    ほんと単純なんだから」

藤崎「結婚をいきなりしようなんて    冗談でしか言わないよ・・」

筑井「そ、そうですよね・・・!」

筑井「ハハッ・・」

筑井(じょ、冗談か・・・。くそ・・)

筑井(ちょっと本気にしちゃってた自分が    恥ずかしいじゃないか・・)

藤崎「段階をちゃんと踏まないとね・・・」

筑井「え・・・」

   彼女が不敵な笑みを浮かべると、    筑井の体も不思議な力によって    浮かび上がらせられる。

   前にもされた、体の動きを    止めるあれを次は空中で    行われているようなそんな    状態であった。

藤崎「それじゃ、筑井くん」

藤崎「名前とご飯とお風呂、    どれからにします?」

筑井「いや、なに奥さんみたいな    こと言ってるんですか・・?」

筑井「それにお風呂はどこから・・・」

藤崎「練習だって。これも    段階を踏むってことだよ」

藤崎「まさか、人様の部屋の窓    割っといて謝るだけで    済ます気じゃないよね?」

藤崎「筑井くんが決めないなら    私が決めてあげる」

   彼女がそれを言い終わる前には    隣にあの毒物が姿を現していた。    

藤崎「それじゃあ、    ごはんにしてあげるね♡」

藤崎「はいっ!あ~~んっ!」

筑井「うわあああああ!?」

   それから筑井が地獄を    見たのは言うまでもない    ことである・・・。

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