巨大女子相撲部

   思っていたよりは今回の件について    隠し通す気はないらしい。    食い入って質問をしても問題ないかも。 筑井「聞いてる限りだと、その・・・    別の高校からスパイが送られて    きたように聞こえるんですが    それってどこの学校なんですか?」 藤崎「そういうのは全然聞いてない。    私も忙しかったから質問も全くしてないし」 藤崎「この手のいたずらも過去になかった    わけじゃないから、本気には    してなかったんだよね」 藤崎「念のために早く帰っては来たけど」

藤崎「見たところ何もなかったみたいだし    いたずらだったみたいね」    いえ、本当に来ました。    なんてことは言えない・・・。 筑井「その…電話越しで    喋っていた相手との会話を    もっと詳しく聞きたいんですが・・」 藤崎「・・・・・・・・・」    ほほを膨らませ露骨に    不機嫌な態度を取り出す監督。    掘り下げに行き過ぎたか・・・。 藤崎「いたずらって言ってんじゃん・・。    なんで、まだ聞いてくるの?    もっと他に話すことあるでしょ    私の料理の感想とか、料理の感想とか」

筑井「あぁああーーっ・・・・・!!」    そういえば完全に忘れていた・・⁉    ごはんを食べるのを・・・・。 藤崎「何が”あーっ”なの・・・・?」 筑井「あっ・・・⁉」 藤崎「・・・・・・」    " 残したら許さないからね ”    置手紙にそう書いてあったが今の監督の    表情からも同じものを読み取れる。    やばい…。ただただ、やばい…。    このうえなく、やばい?!    一口も手を付けてないのだから・・・。      せめて一食分だけでも    なくなっていれば言い訳もできるが    丸一日以上手をつけていないんじゃ    確実に雷が落ちる・・・・。    この人の場合は雷どころじゃすまないかも。

藤崎「ちいくん・・・・・・・・・・」    監督が左手の人差し指をくいっと曲げる。    すると、ポルターガイスト現象のように    ひとりでに冷蔵庫の扉が開く。    分かっていたことではあるが    あの地獄とも思えるような悪臭が    部屋に充満する。 鼻をつまみたくなったが    なんとか堪える。 藤崎「・・・・・・ひどい・・・」 藤崎「絶対食べてって書いてたじゃん!!」 筑井「え、えっ~っと・・。えっと・・。    あの、その・・・・あぁ・・・・。    あっ・・・!め、目がさ、覚めたの    ついさっきなんですよ・・!    だからお腹・・空いて・・なくて」 藤崎「・・・・・・・」    完全に信用されてない・・。    すごい眼光で睨みつけてきてる。

   腹減ってなくても食えよと    言ってるのはその視線で十分    伝わってますよ・・。    でも睨みつけられるのも    案外悪くないかも・・・。    て、何を考えてるんだ僕は…。 藤崎「じゃあ、私が食べさせる」 筑井「え”っ・・・・!?」    すると、この間のように    動きを止められ、身動きが取れなくなる。    「え”っ」と、言ってしまったせいで    口が開いたままになっていた。    そして監督は器を    目にもとまらぬ速さで自分の    手元までもってくる。    あまりに早すぎて僕からしてみれば    食べ物が瞬間移動してきた    ようにしか見えなかったが。

筑井「あが・・、あがあ・・・」 藤崎「・・・・・・・」 藤崎「大丈夫・・・見た目は    ちょっとあれだけど、味は折り紙つきだから。    先入観の問題。 ウニとかカニだって    知らなきゃおいしそうには見えないでしょ」 藤崎「それじゃ筑井君、あ~~~ん」 筑井「あがあああああああああ!!!」    涙目になりながら    恐怖を訴えるが、説得も空しく    毒を口の中へ運ぼうとする監督。    これが普通の食事なら    どれだけ幸せなことか…。    窮地に立たされてしまった僕は    諦めて死を受け入れることに・・・。

   バリりぃーーん!!    すると薄暗い部屋の中に    一筋の光明が差し込んできた・・!    窓を粉々に割ったその救世主は    女子相撲部員ほどではないにしても    明らかな巨体・・・。    いったい何者なんだ・・・・? 藤崎「ちっ・・・・」 藤崎(なんで筑井君との時間を過ごしていると    必ず邪魔が入るのよ・・・)    先ほどまでのような姿を見られるのを    極端に嫌う藤崎は、料理を一瞬のうちにして    冷蔵庫に戻し何事もなかったか    のように振舞うのであった。 冥瓦「藤崎様!大丈夫ですか!!」

   見知らぬ人物の登場により    縛りも同時に解けた。 筑井「だ、だれ・・・・?」 藤崎「こいつは私のストーカー」 冥瓦「い、いえだからストーカーではないと」 藤崎「それより貴様…どうやってここに‥‥    臭い対策も途中からしてたはずだけど」 冥瓦「確かに途中から臭いが消えて    捜索に苦労しましたが    急にとてつもない激臭がしたもので    こちらへ跳んできました」 冥瓦「へんだな・・臭いは残ってるが    その元がどこにあるのか・・」 筑井(激臭って・・・。    完全に料理のことだな・・・)

   そういえば、ここの高さは    60m以上はあったはず…。    ここに来るまでには”跳ぶ”というよりは    ”飛んで”こなければ侵入なんて無理だろ・・。    仮に跳んできているのであれば    どれだけの身体能力を有してるんだ・・? 藤崎「げきしゅう・・・?    いったい何のことだ・・・?」 筑井(も、もしかして、この人分かってないのか・・!?    自分の料理がどれだけ恐ろしいものかを・・・。    次の被害者を出さないためにも、この事実を    伝えた方がいいんじゃ・・・) 冥瓦「一言で言えば、あれは地獄の釜が    腐りきった状態と言っても過言ではありません。    嗅げばあの世を見てしまうのではないかと    いうほど、ひどいものでした・・・・・・」 筑井(ほんと、ほんと・・・。    全て当たってるよ・・)

藤崎「んぅ・・!!」 筑井「ひぃ…⁉いっ、、いえ・・。    料理がひどいだなんて、そんなこと    あるはずないじゃないですか・・・」   (とてもじゃないが    本当のことなんて言えねえ・・) 藤崎「何当たり前のこと    言ってんの筑井くん?」    監督は地獄耳までも特別製のようだ・・。    悪いことも考えちゃいけないな・・。 藤崎「臭いの元はきっと筑井君の    おしっこでしょ。    それぐらいしか考えられない」 藤崎(ベッドの上で出してくれても良かったのに) 筑井(流し台で出したのばれてたのか・・・。    鼻がいいのか悪いのか    よく分からん人だな・・・・) 冥瓦「自分のおしっこを毒物と間違えるはずは・・」 藤崎「お前のことじゃないから」

冥瓦「と、とにかく、もしかしたら    藤崎様を狙う輩が    命を奪うために毒ガスを用いたのではないかと    思い、ここまで・・・」 筑井「毒ガスって・・・・」プハッ 藤崎「なんか言った・・?」 筑井「いえ・・、何も・・」 冥瓦「何を笑うか無礼者!!    藤崎様の命が危険だったというのに!!」 冥瓦「この失礼な輩はいったい何者なんですか!    まさかこいつが暗殺犯か!! 許せん!!」    そう言って、こちらに向かって    襲い掛かろうとしてきた女    監督ほどではないにしても彼女も    とてつもないオーラを放っている。    それを止めるために監督が    僕の前に立った。 藤崎「やめないと・・・殺すぞ・・・」

   殺気がすさまじすぎて    部屋全体にひびが入ってるし・・・。    空間が歪んだようにすら思える。    この人はほんと何者なんだ・・・。    向かって来ようとしていた    彼女の方を見ても動きが完全に硬直している。    よく見ると股の間から下たるものまで。       まあ、あれだけの殺気を浴びれば    ちびるのも仕方ないよな・・・。    だけど、どことなく嬉しそうなのは    気のせいか・・・・? 冥瓦(藤崎様ぁ…!ありがとうございます…!)ジョボッ 藤崎「私の部屋まで汚すな、たわけ。    漏らしていいのは・・・・、    いや、なんでもない・・」 藤崎「でも、おかしいな…    この部屋は密閉されていたはず    なぜ、外まで臭いが・・・?」

冥瓦「密閉・・・?    窓ガラス割れていましたが・・?」 藤崎「えっ割れてた!?」    藤崎が窓の方を見る。    粉々に破壊されてはいたものの    どのような状態であったか    把握するのは難しいことではなかった。    2つの窓は重なり合うことなく    両側にきちんと設置されていたはず。    つまり。閉め切られた状態。    この状態で外に臭いが漏れ出す    ということは、窓ガラスが割れていたと    考えるほかなかった。        それに筑井一人の力では    窓そのものを、動かせないのは    もちろん理解している。    仮に空気の通り道を作るのであれば    窓ガラスを割る以外に手段が存在しないのだ。

藤崎「筑井くん、どういうこと・・・?」 筑井「えぇっっと・・    つまりですね、それはその・・」    ここでナナの存在について    語るのは絶対に良くない。    後々、会う時が来るだろうしその時の為にも    印象を少しでも良い状態にしておかなきゃ・・。 筑井「ここから出たいと思って    割っちゃいましたすみません…」    これ以上は何も語るまい。    こういった場面で言い訳が    通らないことぐらいよく分かっている。 藤崎「ほんとにそれだけ・・・?」 筑井「はい・・・」

藤崎「んもぉ・・・!!    なんで私を困らせることが    こう立て続くのかなぁ!!    いやんなっちゃう!」 冥瓦(これが素の藤崎様か・・・。    かわいい・・。 カメラもってきて    なかったのが悔やまれる・・・。) 藤崎「絶対にこの責任は取ってもらうからね!」 筑井「・・・・はい」    僕は友人をやっと助けられたんだ・・。    後悔などするな・・・。むしろ喜べ!    この自分への不幸を…!    そう強く心に言い聞かせていた。

藤崎「冥瓦…」 冥瓦「初めて名前呼んでくれた!」(はい…!!)    ピチョッ 藤崎「・・・・・・・はぁ」(逆だ、逆・・・) 藤崎「彼は私の婚約者になる方だ!    だから、あんたとの交際も結婚も無理    分かったらさっさと死ね!」 冥瓦   「えええええええええっ!?!!??」 筑井 藤崎「なんで、筑井くんまで驚いてるの?」    そりゃそうだろ…。    リアクションをとるなって言う方が    無理がある。        これがガラスを割ってしまったことの    代償といういうわけか。    今は受け入れるほかなさそうだ。    それを察しろと言わんばかりに    こちらに殺気をむき出しにしているし…。

筑井「いや・・・だって・・、    皆には内緒にしてたじゃあないですか    あはは・・・・」    ここまで乾いた笑いが    自分でも出るのかと驚くぐらいの    乾ききった笑いだった。    砂漠の方がまだ潤ってる。 冥瓦「そ、そんなまさか・・・    現在まで独身を貫き通して、ごっ・・・!?」    冥瓦という人物が喋っている    途中何を思ったか藤崎が    彼女を殴りつけた。    この部屋の壁は強度が    凄まじいものなのだろうが    それに思いっきりひびが入る。    だが分かるこれでもまだ    手加減してる方だと…。

筑井「なんで殴ったんですか…?」    純粋な疑問であった。 藤崎「これ以上相手するのめんどくさい!    こいつにはさっさと消えてもらう」 筑井「・・・・・・・」    人を殴るような人とは思っていなかったが    まさかこんな一面まであるとは    しかしあの勢いで殴られれば    おそらく女子相撲部員でも即死・・・。    だけど、冥瓦にはまだ息があるようだ。    彼女もまた化け物レベルに    強いんだろうな・・・。    それから監督が左手をあげると    急に1枚の紙が手元に降りてきた。    いったいこれで何をするつもりなのか…。

   監督が急に自身の指を    傷つけ始めたのだ!? 筑井「なにやってるんすか!?」    いきなりの自傷行為。    反省の意でも気絶してる人間の前で    示してるつもりか・・・。     藤崎「んっ?これ?    今からこいつにメッセージを残そうと思って」 筑井「・・・・?」    そして監督は指先を摘まみ    ソースを出すかのように    指先から血を滴らせ始めた。 筑井「・・・・」    思い返せば字が汚いのも    赤ペンであったことも、こうやって書かれて    いたのだとすれば納得がいく。

藤崎「よし、書けた!」    そういうと冥瓦のパンツの中に    その紙を押し込んでいく・・・・。    全てにおいて想像の範囲外へ    行ってしまうな、この人は・・。 藤崎「よいしょっ」    監督が冥瓦に手を触れると    一瞬にして冥瓦の姿が消えた。 筑井「えっ…!?監督…彼女はいったいどこへ?」 藤崎「遠くへ飛ばした…、ずっとずっと遠くへ」 筑井「・・・????」    手で押して飛ばしたと言うのか・・・?    瞬き一つした覚えはないが    全く見えなかった。    そんなスピードで飛ばしたら    大気圏外に飛ばされそうなものだが    大丈夫なのか・・・・・?

藤崎「それより筑井君!!!!」 藤崎「まだ、監督って言ってるの!!!    何度言えばわかるの私の名前は美理央!    監督って名前じゃないのよ!」 藤崎「結婚してもそうやって    呼ぶつもりなのかしら全く…」 筑井「いや、さっきまでその冥瓦とか    言う人いたじゃないですか・・・。    一応、2人以外の時は呼ばない    ことになってましたし・・・」 筑井「それに結婚はその冥瓦を諦めさせる    為の設定だと思ってたんですが・・・」 藤崎「筑井君がその気なら全然私は    いいけど…」 筑井「何言ってるんすか    いいとか悪いとか・・・」 藤崎「否定はしないんだね」 筑井「うっ・・・・」

藤崎「とりあえず    下の名前を呼ぶことと    料理をちゃんと食べてくれること    この二つはちゃんとやってもらわないと。    だって約束なんだから」 藤崎「て、もうここまで行くと    夫婦みたいなもんじゃん・・!    めんどうだし、結婚するよ」 筑井(否定したいが、怖すぎる・・・) 筑井「考えときます・・」 藤崎「ふふっ・・ほんと単純なんだから。    結婚をいきなりしようなんて    冗談でしか言わないよ・・」 筑井「そ、そうですよね・・・!」ハハッ・・   (じょ、冗談かよ・・・。くそ・・。    ちょっと本気にしちゃってた自分が    恥ずかしいじゃないか・・)

藤崎「段階をちゃんと踏まないとね・・・」 筑井「えっ・・・」    体が浮き出し空中で固定される。    前にもされた空気を圧縮する    あれじゃないか・・。 藤崎「それじゃ、筑井君名前とごはんとお風呂    どれからにします?」 筑井「いや、なに奥さんみたいな    こと言ってるんですか…。    それにお風呂はどこから・・・」 藤崎「練習だって    これも段階を踏むってことだよ」 藤崎「まさか、人様の部屋の窓    割っといて謝るだけで終わらせる気    じゃないよね?」 藤崎「筑井くんが決めないなら私が決めてあげる。    それじゃあ、ごはんにしてあげるね♡    はいっ!あ~~んっ!」    それから僕が地獄を    見たのは言うまでもない・・・。

NEXT