巨大女子相撲部

   そして時は同じ頃、移動した    2年生達は倉庫から100m程離れた    場所で会話をしていた。。 美穂「ひとみ‥、首元にいるんでしょ。    昨日の奴が‥?どういうつもり    なのか説明してくれる?」    美穂が質問をすると、    襟元から72が姿を現す。    二崎としては隠しておけるので    あれば隠し通そうと考えていた    ようだが、出てきてしまった以上、    持ち出した事実を認めざるを得ない。    それから、彼女は観念したかの    ように語り始める。 二崎「私達は彼をここから逃がすと    決めたわ。だから、道具倉庫まで    訪れた。その事実は認める」 二崎「あなたが考えていることも分かる。    けれど、この状況じゃ誘拐も    続行不可能なわけだし、もう見逃して    あげてもいいんじゃない‥?」

美穂「何で逃がす必要があるのよ!    ここでただ逃がせば、また何か    あった時どうするの?その時    ちゃんと動けると思う‥?」 美穂「無理矢理にでも、そいつから何か    吐き出させないと、駄目よ!    部の為にも私達にできることは    全部やらないといけないはずよ!」 72「悪いが、お前ら如きに口を    割るようなヘマはしねえよ」    72のこの発言を、二崎は彼が    こちらの味方だということを間接的に    教えてくれているものだと解釈した。 瑠璃「美穂、何もそこまで考えなくても‥。    監督がいないからこいつが来てるだけで    戻ってくれば、もう大丈夫だって!」 美穂「それで監督は何か話してくれるの?    どうせ何も話してくれないんでしょ!!    監督から話を聞けないならそいつから    聞くしかない!そうじゃないの!?」

二崎「監督を信じて黙って従えばいい。    私達が首を突っ込みすぎて    いい問題ではないはずよ‥」 美穂「二人共、何甘いこと言ってんのよ‥。    これから部活を支えていかなければ    いけないのは私達なのよ‥」 美穂「監督に任せる…?そんな    他力本願な気持ちで部を支えて    いけるわけないでしょ!」    美穂がどれだけ真剣に相撲部と    向き合ってきたか、それを二崎は    痛いほど理解している。だからこそ    彼女を信頼し後押しをしてきていた。    彼女の意思を否定することは    心苦しくあったが、本人の為だと    思い美穂に対して本音を伝える。 二崎「この際だからハッキリ言わせてもらう。    美穂じゃこの問題はどうにもできない。    だから、監督は何も喋らなかった。    それぐらい分かってくれるでしょ‥?」 美穂「・・・。でも・・・・」

??「ちょっと待って!!」    突然地面から声がする。    4人が揃って下を見下ろすと    そこには筑井の姿が‥。 瑠璃「先輩ッ‥!?」 72「・・・・・・・・」 美穂「せっかく見逃してあげたのに、    自分から来ちゃったんですね」 二崎(見逃す‥?)    美穂が今朝、一人で72の元に向かって    いた理由‥。それは一連の会話から    彼の情報を聞き出す為だと二崎は    理解していた。    その際に筑井も一緒にいたものだと    想像できるが、何故彼女が見逃すと言う    選択をとったのか疑問に思っていた。

筑井「いろんなことがありすぎて    冷静さがかけていた・・。    でも、今はちゃんと答えが見えてる」 筑井「彼をここに残してほしい。    僕はそれを伝えに来た」 瑠璃「な、何言ってるんですか先輩!    さっきまで逃がしてあげた方がいいって…    それにここに置いておくのだって    こいつの仲間が来る可能性があるんですよ」 筑井「それはもちろん分かってる・・・。    ただこれは僕の身勝手な気持ち・・・。    それ以上でもそれ以下でもない。    とりあえず話だけでも聞いてほしい」    筑井はこの時美海達の    行動に影響されていたのだろう。    何かを守とうと思った時それを自身の手元に    置いておきたい。その至極当然の心理が    彼の結論となったようだ。 72「・・・・・・・・」

筑井「このまま彼を返してしまえば    僕を誘拐できなかったってことで・・、    責任を取らされることだよね・・・」 筑井「本当の目的は誘拐だったのかも    しれないけど、僕の願いを聞いてくれた    恩人に変わりはないんだ」    筑井がこう思うのに根拠がないわけでは    なかった、現に彼はナイフを所持しており    筑井を盾にすれば、美穂から    逃げ切ることも可能だったはずだからだ。    それをやらなかったのは少なからず    彼の中に情があったことを証明していた。     筑井「そんな彼が帰ってからも    仕打ちを受けるとしたら・・・・、    さすがにほっとけないって言うか・・。」 72「勝手な妄想ばかりだな。    願い何て聞いた覚えはこちとらねえよ。    余計なお世話だ・・・・」

筑井「だから、最初に言ったはずだよ。    これはただのわがままだって・・!」    このような言い方をしたのには    72の為ではなく筑井自身の為だと    思わせた方が意見が通りやすく    なるかと思ってのことだ。        しかし嘘をついているというわけ    ではない。あくまでありのままの    本心を伝えたことに変わりない。    だからより心に響くはず。    筑井はそう思っていた。 72「・・・・・・・・」 二崎「確かに作戦失敗で責任を取らされるのは    当たり前の話ですけど、仮にも彼は    あなたを誘拐しようとした男ですよ?」 二崎「今後ここに置いておくのは    瑠璃の言う通り他の女子相撲部員も    危険に巻き込みかねない‥‥」     二崎「監督もいない今、そんな彼を    先輩の気持ち一つでここに    残すわけにはいきません」

筑井「二崎さん、言ってたよね。    監督から僕と彼を接触させるなと。    それ以上の命令は受けてないって」 筑井「ここに置いておくか、逃がすか。    その選択は任されたんだ。    試されてるってことでしょ。    この状況でどうするかを・・・」 筑井「女子相撲部にとって、危険人物    なのは分かってる・・・。 でも、    監督のことだからその選択を与えたの    にも意味があると思うんだ・・・」 筑井「このまま何も知らずに終わるより、    多少のリスクを踏んででも、    真実を知るために彼を残す価値は    あるんじゃないのか?」 美穂「ひとみ・・・」 二崎「なによ美穂…」 美穂「あなたが考えていることも    長い付き合いだからなんとなく分かる。    監督が帰ってくるまでは私も彼に    何もしないし、何も聞かない。」

美穂「それに、ひとみの言う通り、    私一人の力じゃ、こいつからも    監督からも今回の件についての    詳細は聞き出せないと思う」     美穂「でも、こいつを監督の前に出せば    監督もある程度のことは話して    くれるかもしれない」 美穂「それに、もしもこいつの    仲間って言うのが相撲部を    襲撃するようなことがあれば私が    絶対に止めて見せる!    次期、主将の名に懸けて」 美穂「これなら彼をここに    残しておいても問題ないでしょ」 瑠璃「そうよ、美穂がいれば    侵入者何てイチコロ、イチコロ」 二崎「・・・・・・・」

二崎「はぁ・・・・まさか    筑井先輩までそんなこと言い出すとは・・。    分かったわ、もう構わない」 二崎「ちなみにあなたはどうしたいの?    筑井先輩が身を案じてるみたいだから    できるだけあなたの意志の    尊重はしてあげるけど」 72「めんどくせえからどっちでもいい・・。    捕まった以上逆らえねえしな。    身の安全は保障しねえぞ」 筑井「ふぅ・・・よかった・・・・」 二崎「急な話で申し訳ないですが、    話もまとまりましたし、先輩には    部屋に戻っていただかないと・・ 」 二崎「今日監督が帰ってくると思うので・・、    もし、私たちと一緒にいるところを    見られたら、変な誤解されかねませんし」     筑井「そりゃ、そっか・・・・」 筑井(正直嫌だけど、よく考えればこのまま    外にいても危ないし、仕方ないか‥。    問題はトイレと食事だけど1日なら    まだ、なんとか)

筑井「ちなみになんだけど、僕と彼は    会ってないことで口裏合わせてほしいな。    そっちの方がまだ、怒り買わずに済みそうだし」 瑠璃「そうですね・・。監督がもし    誘拐されかけたこと知ったら    想像しただけでも恐ろしいですし・・」 二崎「先輩には失礼ですが彼はしばらく    ヘルメットの中に閉じ込めさせていただきます。    監督が帰ってくるまでの留置しなくては    いけませんし・・」 瑠璃「結局のところはこいつの    処分は監督次第ってわけか…。    ひとみ的には不本意だろうけど    仕方ないよね、先輩の頼みだもの」 瑠璃「にしても、先輩のお人よしも    ドが過ぎるというか    よく彼にここまで感情移入ができますね」 筑井「・・・・・・・。    誰にでも、こうってわけじゃないけど    なんか他人って思えないんだよね」 72「・・・・・・」

二崎「一応監督も今回の件については    認知してるし、昼か夕方に返ってくる    可能性も十分にあるわ。    あまり、ゆっくりしてられない」 瑠璃「えっと、その・・・大変申し上げ    にくいのですが、いろいろあって    出てきた時に使ってたであろう    ロープを引きちぎっちゃいまして。    先輩戻す方法って今あるの・・?」 二崎「たく、あんたはほんとにろくなこと    しないわね・・・・・」 瑠璃(そう言う、あんただって    そのロープで先輩を繋いでたくせに!) 美穂「でも、今の筑井先輩と、    こいつのけがを見る限り    あそこまで登るのは難しいと思うけど。    私たちも扉を開けれない以上    元の部屋に戻せないし…」 72「道具を返してくれるなら、    始めに侵入してきたルートで    部屋に戻すことは可能だ。    筑井さんの体重なら今の体力でも    ギリギリなんとかなる」

   このまま筑井を外に連れ出していると    監督の怒りを買うことは    まず間違いなかったので何とか    部屋にもどしたいと皆が思っていた。    しかしそれを可能とするのが    72しか今はいない。 美穂「それ以外に方法はないようね…。    分かったわ、部屋までの誘導は    あなたにお願いするしかなさそうね。」 72「案外あっさり受け入れるんだな」 美穂「今はあまり悩んでる時間もないし    筑井先輩がこれほど信用してるもの。    先輩が信用してるなら、私も信用するわ」

二崎「先輩を部屋に戻したら    あなたもさっさと降りて来なさいよ。    その後はヘルメットの中だから」 72「あいよ」 瑠璃「また、戻んのか・・・    さっき走ってきたばっかなのに…」 美穂「さっきから気になってたんだけど    なんであんたが3年寮から    戻ってきてんのよ?」 瑠璃「えっ・・・まあ・・    どうでもいいじゃん!!    そんなことより、さっさと行こ!!」 美穂「・・・・・・・?」    こうして2年生達と筑井、72は    3年寮へ戻ることに…。    そしてその頃美海達はと言うと…

美海「あ”ぁ~やっぱりあっちの方角は    3年寮の方じゃん!!    一瞬だけの儚い再開・・・・。    うわぁ~~ん!!!」 美香「でかい声で泣くな!バカッ!」 雪鳴「距離はあるし大丈夫やない・・」    彼女達は2年生がいた場所から    50m以上離れた位置にいたため    会話の内容を全くと言っていいほど    聞き取れていなかった。    72の姿もどうやら見えていな    かったようで結局何も分からず    じまいで終わってしまっていた。    すると突然、雪鳴の背後から    ただならぬ気配が・・・・。 ??「なんのキョリがあるって?」 雪鳴「え、だから・・てっ・・・えぇ!!?」    背後から聞き覚えのある声がしたので    振り返り返事をする雪鳴。しかし    その声の正体は美海でも美香の    ものでもなかった・・。

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