全文表示 巨大女子相撲部

瑠璃「美穂‥‥。おはよう」

   美穂が現れて戸惑った瑠璃は    咄嗟に挨拶をする。

   しかし彼女はそれを完全に無視。    何も言わず二崎に視線を送っていた。

   完璧に状況は理解していないにしても、    この2人がここにいる理由を察せられ    ない程、彼女も抜けてはいなかった。

美穂「ちょっと二人共、外に出て」

   明らかに不機嫌な態度の美穂。

   そんな彼女の誘いを断れなかった    二人はやむを得ず後に続く。

二崎(ここを黙ってついて行けば少なくとも    一年に72かれの存在はバレない‥。    先輩は今は仕方ない‥)

   それから、2年生3人と72は    道具倉庫から姿を消す。

   そして残された1年生と筑井‥。

   美香と雪鳴はただならぬ    上級生達の迫力に完全に怯えていた。

美香「なによあの威圧感‥‥。    美穂先輩怖すぎなんだけど‥」

美海「せんぱ~い!!♡♡♡」

雪鳴「美海ちゃん全然気にしてないね‥」

美香「ちょっと美海‥!?あの2年生達の    様子を見て何とも思わないの?」

美香「昨日からどう考えても普通じゃ    ないでしょ!絶対何かあるって!!」

美海「どうでもいい」

美香「えっ・・・?」

美海「もう会えたんだからどうでもいい」

   筑井が見つかったことにより彼女達の    考えに行き違いが発生していた。

   美香は昨夜からの一連の流れの謎を    知りたがっていたが、

   美海は端から筑井と会うことを    前提に動いていた為、2年生達に    関心など抱いていなかった。

雪鳴「・・・・・。」

美香「まあ、あんたはそうよね・・」

美香「でも美海、先輩の問題はこれで    解決してはいないのよ」

美海「手元に帰ってきたんだから万事解決!」

美海「これ以上あのデブ眼鏡達と    関わり合いになりたくないし」

雪鳴「美海ちゃん・・・」

雪鳴「二崎先輩は昨日先輩の見張りを    任されてたんだよ・・?」

雪鳴「このままうち達に奪われたままって    ことはないと思うけど‥」

美海「でも、今あれじゃん!」

美海「先輩への用事がもうないから    取り返さなかったんじゃないの?」

美海「だからもう、大丈夫だって!」

美海「用事って言ったらやっぱり    あれよね・・・夜の・・・・・・」

美海「・・・・・・・・・・・」

美海「ハッ・・!?まさか・・・!?」

   恐ろしい予感がした美海は筑井の    ロープをほどいた後、目を覚まさせる    為に彼の体を揺らし始める。

美海「せ、先輩!!2年生達に    変なことされてませんよね」

筑井「ッ!?み、美海ごめん!!

   体を大きく揺すられ目を    覚ます筑井。

   だが、なぜか彼は起きた直後    美海に謝罪をしていた・・・。

美海「や、やっぱり…!?    そ、それじゃあ先輩のはじめては‥」

   謝られたことに予感が    的中したと思い込む美海。

   顔を青ざめさせて    しまっていた・・。

筑井「え‥、えっ?あ、待って‥?」

筑井「何の話・・・?」

   筑井は気を失っている間、    昨晩の夢を思い返していたようだ。

   美海に挟まれたことにより    その記憶が蘇っていた。

美海「2年生達に" 童貞ドウテイ "    奪われちゃったんですね・・」

筑井「いや、奪われてないよ!?」

筑井さっき奪われそうにはなったけど・・・)

雪鳴「先輩童貞だったんですか‥」

筑井「そこは別にいいでしょ‥」

美香「まさか、雪鳴の口から童貞    なんて言葉がでるとはね‥」

雪鳴「あっ・・‥‥」ポッ

美海「良かったぁ‥‥。先輩の初めては    私じゃないといけませんからね」

筑井「勝手なことばかり言うなよ‥」

美海「でも、だったらなんで    さっき謝ったんですか?」

筑井(しまった‥。見捨てたことを    思い出してたなんて言えないしな‥)

筑井(本人はそのこと気にしてるかは、    分からないけど、この2人もいるし。    ちょっと返事を考えないと‥‥)

筑井(そうだな‥。ここは彼氏の設定を    ちょっと利用させてもらうか)

筑井「丸一日、顔合わせられなかったじゃん」

筑井「だから、寂しかっただろうと    思ってね・・・・」

美海「先輩・・・・・」

美海「私寂しかったです!!」ギュッ

筑井「ウぐっ・・・⁉

雪鳴「それにしても、どうやって    先輩を助け出せたんやろ‥?」

美香「最後に後ろに回った時    隣の部屋の電気付いてたじゃん」

美香「私達じゃ3年のドア開けれなくても    二崎先輩なら開けて入れるだろうし    きっと隣から侵入したんじゃない?」

美香「て、先輩いるんだし直接    聞けばいいか・・・・・」

美香「ちょっと先輩!のびてない    でしっかりしてください」

筑井「‥‥・・んっ?」

筑井「あ、ありがと・・」

美香「単刀直入に聞きますけど    昨日はどうやって部屋から    出れたんです?」

筑井「部屋から…て、あっ・・・・」

   その発言でやっと72について    思い出す筑井。2年生達の姿も    いつの間にか消えてたことに今気づく。

美香「・・・・・・?」

美香「どうしたんですか‥?」

   ナナを今すぐに助けに行きたいと    思っていた筑井だったが、    さすがにこの状況・・・。

   訳を説明するわけにもいかない為    抜け出すことは困難だと瞬時に    悟った。

筑井「僕の口からは説明できない…」

   あくまで嘘は付かず、    喋れないと言うこと‥、

   それだけをしっかりと    美香に伝える。

美海「無理に話を聞く必要もないって。    出て来れたんだからもういいじゃん」

美海「美香って絶対、彼氏の    携帯とか見るタイプでしょ?    やめた方がいいよ、そういうの」

美香「うっさいわね!」

美香「見ると思うけど気になることを    聞いて何が悪いのよ!?」

美香(くそっ‥。隠されたら却って気に    なる‥。出て来れた方法もそうだけど、    一番肝心なのは監禁の意図よ‥‥!)

美香(部員達と接触させないだけにしては、    妙に違和感あるのよね。わざわざ    ばれるような見張りも立てて)

美香(先輩からそれらを聞き出すのは    無理そうだけど他の角度から攻めて    みれば何か分かったりしないかな‥?)

   監禁の意図が気になった    美香はすぐに実行に移す。

美香「そしたら先輩、2年生の方達と    何しにここに来たんですか?」

美海「また美香は‥しつこいよ!」

美香「これが最後だから」

筑井「それはさっき話してたでしょ。    断食ヘルメットだっけ‥‥?    それを取りに来ただけだよ」

美香(断食強制ヘルメット・・・。    さっきまでそっちに向かってたし    それはまず間違いなさそうね‥)

美香「そ、そうでしたね‥、ごめんなさい」

雪鳴「ちなみに美海ちゃん、先輩を    これからどうするつもりなの?」

美海「どうするって私達の部屋に    連れ帰るに決まってるじゃん」

雪鳴「それはさすがにまずいと思うけど‥」

美海「そりゃ一緒にいるところ見られたら    どうなるか分かったもんじゃないけど」

美海「大会がいつも通り進むなら、監督も    まだ帰って来ることはないはずだし、    その間ぐらい、いいじゃん!」

雪鳴「大会ってたしか3日ってことに    なってはいるけど、ほとんど    1,2日で終わるよね‥?」

雪鳴「今日中に帰って来ることも十分あり    得るし、あまり外に出しておくのは‥」

雪鳴「それにうち達じゃ監督の部屋に入れ    ないし戻すこともできないでしょ‥?」

美海「部屋に戻す時は2年生に    お願いすればいいじゃん」

美海「それまで、ちょっとの間    預かってるってだけだから!    心配しすぎだよ。雪鳴は」

雪鳴「少しの間なら、まあ‥‥」

美香「監督だけなら今の流れで    問題ないだろうけど」

美香「最初に雪鳴が言った    通り2年生達が奪いに来るわよ」

美香「何で、先輩をそのままにして外に    出たか。その明確な理由は分から    ないけど、それでも分かることも    ありはする」

美香「それは先輩よりも優先しなきゃ    いけないことが今あったと    いうこと」

美香「もし、その優先しなきゃいけない    何かが終われば先輩を取り返しに    くるはずよ」

美海「う、うん・・・・」

美香「2年生達が奪い取りに来る前提で、    話をするけど、もしそうならそんなに    一緒にいられる時間なんてそもそもない」

美香「だから、その対処として    一旦先輩をどこかに隠すのが    ベストだと私は思うけど」

美海「それだったら、やっぱり    私達の部屋に・・・」

美香「それは論外だって」

美香「私達の部屋だと他の連中に見ら    れるし、チクりでも入れられたら    一瞬で終わりよ」

美海「そうだね・・」

   この時、美海と同様に    美香もまた筑井をこちらの手元に残して    おきたいという思いだったようだ。

   監禁の意図を確かめられる唯一の    情報源である筑井をむざむざ手放す    ような真似はしたくないと    考えていたのだろう。

美海「んぅ‥‥。でも、だったら    どうしようか・・・」

雪鳴「ちょっと思いついたこと    あるんやけど・・・」

雪鳴「いや・・、やっぱりめとこうかな…」

筑井「きみら、本人の目の前でいろいろ    話しちゃってくれてるけど・・」

筑井「僕のこと少しは気にかけて    くれないわけ・・・?」

   美香も美海も筑井を手元に残して    おきたいと思っており、

   雪鳴もまた美海を応援する立場に    いたので彼女も二人の意思と同じで    あった。

   この場において、筑井の意思を    尊重してくれる人物・・、

   味方となってくれる人間は    誰もいないようである・・・。

美香「す、すみません先輩・・」

美香「でも、美海だって離れたくない    でしょうし、もう少し待ってて    くれませんか?」

   彼氏設定を見抜いていた    美香は筑井を逃がさんとばかりに    存分にそれを利用する。

美香「そういえば雪鳴、何か言おうとして    たけど何?言うだけ言ってみて」

雪鳴「う、うん‥‥。さっきさ、    ヘルメットの話してたでしょ?」

雪鳴「その中にしばらく先輩に隠れてもらう    のがいいんじゃないかなって‥‥?」

美海「ちょっと、雪鳴!    先輩をなんだと思ってるのよ!!」

雪鳴「うぅ‥‥。ごめんなさい‥」

雪鳴「でも隠すってだけならあれ以上の    場所はないと思うけど?」

雪鳴「美海ちゃんも先輩もバラバラに    なりたくないだろうし‥‥」

雪鳴「それが一番いいんじゃ‥‥?」

美海「そりゃそうだけど‥‥。    でもあれ、臭い凄いじゃん」

美海「そんな中に先輩を‥‥。    あぁ!!どうしよう!!」

筑井「・・・・」

   だんだん彼女達が72に    近づいているような気がして    筑井は少し不安になっていた。

美香「断食強制ヘルメットか‥‥」

美香(そういえば…2年生はなんで    断食強制ヘルメットを持たずに出て    きたのかしら‥‥?)

美香(先に準備しにきたって言ってたのに    持って出てこないなんて    おかしくない‥?)

美香(もしかして‥、別に目的の物が    あったのかしら‥‥?)

美香(それで、それがなかった    からそのまま‥‥)

美香(いや‥、もしかしたら欲しいものを    手に入れたから出てきた可能性も‥)

美香(んっ‥‥。だとしたら‥。    そうよ・・⁉筑井先輩よ・・・!)

美香(なんか普段より元気なさそう    なのもヘルメットの中に丸1日    いたというなら説明がつく)

美香(二崎先輩が昨日、監督の部屋の前に    いたあれは、きっとミスリード)

美香(先輩が部屋の中にいると思わせる為の    作戦だったってわけね‥!)

美香(そしてさっきの美穂先輩よ‥)

美香(なるほど‥。ちょっと話が見えて    きたかもしれない‥!)

美香(きっとこの作戦は本来    美穂先輩対策のものだったんだわ!)

美香(今回の監禁について監督から話を    聞いていたのは、おそらく性欲が    あまりなさそうで賢い二崎先輩と)

美香(どういう理由でかは分からないけど    瑠璃先輩だけ‥‥)

美香(美穂先輩に任せればレ〇プする    可能性があるから監督の指示で    隠してたってとこかしら…)

美香(先輩が寮生活するという話の時も    一番最初に一緒の部屋と言い出した    のは美穂先輩だったはず‥‥)

美香(監督がマークしていないはずがない)

美香(でも、性欲が強いというのも、    あくまで監督の妄想‥‥)

美香(責任感の強い美穂先輩は自分に先輩の    見張りを任せてもらえないことを    悔いてたのかもしれない‥)

美香(そしてそれが怒りに変わって    二崎先輩の管理能力のなさを見せつける    ために先輩強奪を考えたのよ!)

美香(どこかに先輩を閉じ込めて    見張りをしている。それはきっと    美穂先輩も分かってたんだわ)

美香(だけど、昨日はどこにいるかまでは    分からなかったんでしょうね)

美香(美穂先輩ちょっと抜けてるとこあるし)

美香(だとしても、場所を特定するだけなら    そんなに難しいことじゃない)

美香(二崎先輩の後ををつければいいだけ    それだけのことだし)

美香(きっと美穂先輩はそうしたに違いない。    だからちょっと後に入ってきたんだわ)

美香(先輩がどうやって脱出したのか言えない    のもヘルメット内に隠れていた    事実があるから・・・)

美香(隠し場所として今後使えなく    なっちゃうし、言いたくても    言えるわけがない)

美香(二崎先輩達が先輩を    無視して出て行ったのも美穂先輩に    先輩の存在を隠すためね、きっと)

美香(そうだとするならヘルメットの    中には隠せない。もう一度見られる    可能性がかなり高い‥!)

   一人で壮大な妄想を    続けた美香。

   それが終わると彼女は筑井を    これからどうしていくか    自分なりの答えを話し出した。

美香「雪鳴、ヘルメットの中はそんなに悪く    ないと思うけど、もう一度取りに来る    だろうしそれは危険だわ」

美香「ちょっと考えなおしたんだけど    万が一隠してたのがバレたら大目玉    喰らうからさ」

美香「もう先輩の意見聞いて    あげていいんじゃない?」

美香「今は私達の元に置いておくべきじゃ    ないと思う」

美香「こっちで勝手に話を進めすぎてた    ところもあるしそれでいいでしょ?」

   予想が合っているか確かめたかった    美香は質問に答えてもらえないなら、    筑井自身に動いてもらい様子を    見たいと思ったようだ。

   手放すリスクはあるが美穂と    接触するのを避けているのであれば    2年生達の元へは向かわないはず。

   彼女はそう考えていた。

美海「い、嫌だよ!せっかく会えたのに!!」

美香「美海たまには彼氏の言うことも    尊重してあげたら?」

美香「携帯を見なくても    束縛ばっかりしてたんじゃ    携帯見るよりたちが悪いわよ」

美海「で、でも‥先輩だって一緒に    いたいはずですよね?    ちゃんと答えてください!」

筑井「・・・・・・」

   72や美穂、色々なことを    考えなければならない状況。

   すぐに答えを出すことを    筑井はできずにいた。

筑井(どうにも考えがまとまらない・・)

筑井「・・・・・・・・・・・・」

筑井(だけど、自分がどうした    いかは分かっている)

筑井(だったら今は    それを優先しよう・・)

   行動するしかないと思った    彼は美海の質問に答える。

筑井「僕は‥‥2年生達の元に向かうよ」

美海「っ・・・・・・・」

筑井「監督も後々帰ってくるんだろ?    だったら、僕はできるだけ早いうちに    部屋に戻っておかなければ    いけないはずだ」

筑井「それを成すには2年生達かのじょたちの力を    どうしても借りなくちゃいけ    ないはずだろ?」

筑井「あまり勝手なことができる    状況じゃないんだ」

筑井「分かってくれるよね、美海?」

美海「・・・・・・」

美海「はい・・・」

筑井「2年生の元へは僕一人で向かう。    君達はここにいてくれ」

美海「お、お見送りぐらい・・・」

   すると、美香が美海の前に手を    かざし制止しに入る。

美香「美海っ・・・!」

   ただ察しろと言わんばかりに    それ以上美香が何か口に    することはなかった。

美海「・・・・・・」コクッ

筑井「それにしても、美香があんなこと    言い出すとは思わなかったよ」

筑井「ありがとう!行ってくるよ」

   そして筑井は開いた扉から    外へと飛び出していった。

雪鳴「行かせて良かったの?    美海ちゃん・・?」

美海「し、仕方ないよ。先輩も私のこと    考えてのことだろうし…」

   平気なふりをしていたが本心は    少し悲しくなっていた美海。

   最後に礼を言ったのが自分では    なく美香に対してだったからだ。

   しかしその美香はさっそく    腑に落ちていなかった。

   なぜなら彼女の予想では美穂と筑井が    接触するのはまずいはずなのに、彼は    自ら美穂の元へ向かっていったからだ。

   その後、3人の口数が減る中    そこでも最初に切り出したのは、    やはり美香であった。

美香「先輩の後をつけるわよ…」

   気になりだしたら    止まらない美香のさが

   真実を確かめるべく筑井の    後をつけると決める。

   もちろん美海と雪鳴も    彼女の後に続いた。

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