筑井「えっと…、・・・」    ガバっ!! ??「しっ!美穂に気づかれるでしょ」    おそらく2年生の子なのだろうが    女子は1学年に100人はいる。    顔は見たことはあっても名を    知らない子がほとんどだ。    今僕を胸で包み込んでる彼女も    またその一人…。    優しく押し付けてくれているおかげで    まだなんとか息はできていた。 ??「もう、大丈夫かな…」    無駄に長いこと拘束されていたような…。    まあ、その点はどうでもいいや。

   人見知りの性というやつか    彼女の名前を知りたいけど    もう7月の頭、さすがに知らないと言うのは    失礼だと思い聞き出すことができない。    このまま会話を進めてもいいが    いつか知らないのがばれそうで、ちょっと怖い…。    話しててそのあと「知らなかったんですか」    みたいな空気になる方が嫌だし    まあ、こういう時結局聞かないで乗り切るけども…。    どうせ今後話すこともないだろうし ??「昨日から美穂の様子変だなと    思って後をつけてみたけど    ちょっと面白いものみちゃったな。    誘拐ってなんかすごいことになってたんですね」

筑井「誘拐に関しては僕も初めて知ったよ    名前はナナって言うらしいけど    詳しい素性は話せないって言ってた。…」 ??「ふ~ん女の子みたいな名前してんだね」 ??「私ここからずっと見てたんだけど    とても誘拐犯って感じには見えなかったなぁ。    先輩のこと見失っちゃうのに別々に    逃げてるのも変だし」 筑井「美穂さんを油断させるための    嘘だったのかもしれない・・。    いや、もしかしたらほんとに逃がして    くれただけなのかも・・・」    彼の言葉を思い返していた筑井    さきほどまで述べられたセリフや    一連の行動を振り返ってみても    とても誘拐をするようには思えずにいた。

筑井「・・・・・    美穂さん…、彼のことどうするんだろ?」 ??「さぁ、美穂の性格考えれば    ただですまないのは、確かね…    ・・・・・・・・。    て、先輩もしかして・・・」 筑井「うん、やっぱり彼のことは    ほっとけないよ…    自分は助けてもらって    そのまま逃げるなんてできるわけない」 ??「あ、そうなんですね!    てっきり先輩、彼のこと愛してしまったんだ!    とか、言い出すのかと思って    ひやひやしましたよ」 筑井「言うわけないだろ!」

??「だって先輩これだけ女の子に    囲まれてるのに、何ていうんですか    全然…、男っぽい部分がないって言うか    エッチな気分になってる様子ないじゃないですか」 筑井「僕はただ人見知りなだけだよ    女の子に興味ないわけじゃないって」 ??「えっそうなんですか!!    ちなみに今好きな子とかいます?」 筑井「んなこと今聞くなよ!!    誘拐犯が誘拐されてんだぞ」 ??「ちょっと、話題そらさないでくださいよ!    ここの問題私にとっては一番大事なんです!」 ??「それに、彼についての処分も    今すぐにということはないと思います。    独断で判断できるなら    すぐに何か手を加えてますよ」

筑井「いや、確かにそうだろうけど…」 ??「美穂もそこまで簡単な女じゃないですよ    なんだかんだ部のことを一番に考えてるのは    私も知ってるし、彼が部にとって    危険な存在なら、いくら先輩の頼みと    言っても聞いてくれないかもしれません」 ??「ここは情に流されず冷静に    なって助ける方法を考えるのが    賢明じゃないですか」 筑井「・・・それもそうだね    まさか、女の子にそんなこと言われるとは」    感情的にならないように    日ごろから気を付けていたが    自分でも気づかないうちに    情に流されていたようだ…。 ??「で、好きな人は誰なんです?」 筑井「言わないって!僕の性格考えれば分かるだろ」

??「・・・あ~っあ…。2回もチャンスやったのに    結局言いませんでしたね。    ”美海”が好きだって」 筑井「あっ・・・・」    そういえば今付き合ってる設定だったんだ    完全に忘れていた。 ??「まあ、皆分かってると思いますけどね。    大丈夫ですよ別に私言いふらしたりしないんで」 筑井「・・・・・・・。    はぁ・・。参ったよきみの前じゃ    嘘ついてもしょうがなさそうだし    その点は認めるけど」 ??「あ、認めちゃいましたね!    一連の会話も全部録音しちゃってるんで    もう言い逃れできませんよ」 筑井「あ、このやろ・・・」    この子を敵に回したら・・・やばいな

   というより、すでに情報を与えて    しまったからこれってまずいだろ…。 ??「先輩心配してるかもしれないですけど    これを脅しの道具に使ったりはしませんよ。    というより、なんで先輩が    美海と付き合ってることになってるのか    私はそれが気になるんですよね」 ??「せっかくですし教えてくれませんか?    少しは楽になるかもしれませんよ」    脅しの道具に使わないと言っていたが    すでにこの質問に利用してるようなもんじゃないか!    情報を漏らされたくなければ    こちらに情報をさらに提供しろと…。    直接的には言ってないけど    そういうことなんだろ…    それから僕は彼女にいろいろ聞き出された    その際、3年生のこと、監督のこと    留年の話、そして昨夜の話も

??「先輩もいろいろ苦労してるんですね    噂では大将にプロポーズされてるとは    聞いてましたが、まさか本当だとは…」 ??「でも安心してください!    私は先輩の味方ですから」    だから安心できないんだけど・・・。 ??「じゃあそろそろ、本題に戻りますか    例の彼についてですが    どうなってるかは、分からないですけど    行き先ならなんとなく予想できます」 筑井「えっ本当?    それはどこなの?」 ??「たぶん道具倉庫だと思います!    普通の部屋に閉じ込めても    もしかしたら脱出されるかもしれないですし    念には念を入れるのかも」

筑井「道具倉庫?    その部屋は特別なつくりになってるんだ」 ??「そういうわけじゃないですけど    ちょっと前に道具倉庫に猫が    入り込んだことあったんですよ。    その時美穂が捕まえる為に    ある道具を使ってたの思い出して。    たぶん、それを今回も使うと思います」 筑井「道具?まさか拷問器具とかじゃないよね…」 ??「んぅ…、それに近いものですね…。    用途は全く違うんですけど    ”断食強制ヘルメット”って物です」 筑井「ヘルメット…?それをどう使うの?」 ??「宇宙服のヘルメットを想像してください    見た目はそんな感じです。    頭に装着すると首のサイズに合わせて    挿入口が閉まる仕組みになってます    監督が罰を与える時に稀に使うんです。    私たちにとって1日ご飯を抜くのは    何よりつらいですからね」

??「3年生用のヘルメットなら    一般人は余裕で中に入ると思うので    おそらくその中に閉じ込めるのかも…。」 ??「首がない状態で”閉める設定”にすると    完全に底面が閉まるようになってましたし。    それは猫を捕まえた時に確認済みです」 ??「底面の開閉はヘルメットの後頭部部分に    スイッチがあるので、一応自分で    外せるようになってます。    万が一ってこともあるのでその為ですね」 ??「監督に言われてつけることしかないんで    ヘルメットを着けてる人がこのボタンを    押すことはないですけど」 ??「もしも中に人が閉じ込められれば    まず自分の意志で底面の開閉は不可能。    後頭部部分にボタンがあるので当たり前ですね」 ??「つまりヘルメット内にいると脱出は不可能。    もしも底面が開いていたとしても    地面に置いてしまえばヘルメットを    持ち上げでもしない限り脱出はできないですけどね」

??「猫を捕まえる時に上からかぶせるように    置いたんですがそれだと持ち上げた時に    隙間から逃げられるので    試しに閉めてみたらうまくできたんです。    ちなみに開閉ボタンを押すと酸素の供給も    ちゃんとされます」 筑井「使い方は全然違うみたいだけど    閉じ込めるにはもってこいの道具だね…」    監督もそんなことしてたんだな…    怒らせるとやっぱりやばそうだ    勢いで外に出ちゃったけど    やっぱり部屋にいた方が良かったんじゃ・・・。 ??「他に誰も来ない部屋もないでしょうし    ヘルメットを使って閉じ込めたら    そのまま道具倉庫に置いておくか美穂の部屋に    連れていかれるでしょうね」 筑井「美穂さんの部屋はないと思うけど…    3年生のヘルメット持って歩くのは目立つだろうし    道具倉庫に置いてたとしても    3年生がいないならそもそもそのヘルメットに    誰も手を触れないと思うし」 ??「言われてみればそうですね」

筑井「きみがいてくれないと    居場所の特定もまともにできてなかったよ    ありがとう」 ??「さっきから、きみきみって言ってますけど    先輩っていつも人のことそう呼んでましたっけ?」 筑井「うっ」ギクッ⁉ ??「そういえば美海を呼ぶときは美海    美穂を呼ぶときは美穂さん、だったような」 筑井「・・・・・」 ??「もしよかったら、私の名前呼んでくれませんか」 筑井「う、うん…」 ??「うん、じゃないですよ…!    もしかして名前、覚えてくれてないんですか」 筑井「ごめん・・・」   (覚えてるわけないだろ)

??「まあ、2年生だけでもいっぱいいるし    覚えてないのは当然って言えば当然ですけど…」 ??「でも、知られてなかったのは乙女心が    少々傷ついちゃいましたよ」 筑井(この話方は……定番の流れじゃ…) ??「美穂のことも話して    相談にものってあげて、この仕打ち…。    自分で言うのもあれですが私ってほんと可哀そう…    完璧なまでの悲劇のヒロインって    奴じゃないですか?今の私は…?」 筑井「いや、ぜんぜん…」 ??「ぬぅっ・・・・💢    寛容な私でも許せないですね…⁉    純情な乙女心弄んだ罪は償って    いただかないと、気が収まりません」 ??「わたしと、せっ・・・・    て、あああぁあ!!!!」    すでに筑井は逃走をはかっていた    美穂が歩いた方向に。

筑井「情報提供ありがとう!    この情報は無駄にしないよ…(汗)」    だが、彼女もあきらめたわけでなく    全力で走って追いかけてきた。    捕獲するためか僕とナナさんが    降りるときに使用したロープを    引きちぎり、こちらに向かってきたので    スタートはだいぶ出遅れたようだ。    しかし、筑井もこの部活で    ”逃げる”速さは鍛えられたのか    走る速度が入部前と比べ、はるかに上がっていた。    曲がり角をうまく利用し彼女との    距離を徐々に広げていく。    追いつけないと思った彼女は結局 ??「先輩!!!この録音したもの    校内放送で流してもいいんですか!!!」 筑井「あ、卑怯だぞ!!    さっき脅しには使わないって…」 ??「しょうがないじゃないですか    だって先輩が逃げるんだもん」ハァ ハァ

??「先輩も分かってると思いますけど    私たち欲求不満なんですよ    正直皆いつ爆発してもおかしくない状態    彼に同情するなら私たちに同情    してくれてもいいじゃないですか!」 筑井「同情って…別に卒業してからでも    そういうことできるでしょ…    別に今すぐやらなくても…少し我慢すれば…」 ??「できないんですよ、私たちは…」    お互いすでに足を止めて会話をしていた    そして彼女は悲しげな表情で語りだした ??「この情報は一般には公開されてないんですが    私たちの病気だと一般人と生活が    許されるの中学校までなんです!!    高校生になってから男性との出会いなんて    ないですし・・・・」 ??「それに、ここを卒業してしまえば、ほぼ全員    一般社会とは関わり合いになることはありません    肉体労働を一生行わせられるだけです。    行ってしまえば奴隷…。    でも、それはちょっと前までの話で……」

??「今は、藤崎監督が私たちみたいな病気の人のために    全国に専用の高校を作ってくれたり    相撲で結果を残せれば日の目を浴びれる    チャンスを、人権を、与えてくれました・・。    本当に感謝しかないです・・・」 ??「ですが、それだって狭き門・・。    それに、相撲取りになれても生活に制限が    あることには変わりないんです。    少なくとも後世にこの病を残さないために    私たちは子供を作ることを禁止されています」 ??「これ以上大きくなってしまえば    まともにセックスもできないですし    みんなにとって筑井先輩は最後の希望なんですよ!    だから・・・・・だから・・・!!」 筑井「・・・・・。    そうだったのか・・・。    何も知らずに偏見をもってしまっていたよ    ごめん・・・・」 ??「じゃあセックスしてくれるんですね!!!!」

二崎「こら!瑠璃!!」    後ろから二崎がきていたようだが    二人とも気づいていなかった・・。    普通なら地面が揺れるはずなんだが    ここら一帯の地盤はかなり丈夫なようだ。    それに名前をまさか本人以外の口から    聞くことになるとは思わなかったが    瑠璃(るり)と言うのか 二崎「同情させてセックスしようとは    この不届きもの!」 瑠璃「なんであんたがここにいんのよ…!?    デブ眼鏡…!!!」 二崎「で、デブ眼鏡…!?    ・・・・・・。」 二崎「あんたの墓標はここに    作ってほしいそうね・・・」 筑井「ちょっと、二人とも落ち着いて・・、    ちなみに二崎さん、今の話って本当なの・・?」   (うぅ・・・こわ・・・。    話題戻さないと・・・。)

二崎「ちっ・・・・・、えぇ~っと・・。    確かに私たちは肉体労働の    ケースが多いのは事実です。    性行為に関しては子供を作らなければ、    結婚も性行為も一応認められてはいます」 二崎「私たちの居住区決められているので    男性と出会える機会はほぼないと思いますが・・」 二崎「でも、奴隷という    わけではないのでご心配なく」 瑠璃「デブ眼鏡しねよ・・・・」 二崎「・・・・・。」     二崎「それより先輩、あなた    監督の部屋にいたはずじゃ…?」 筑井「あぁ・・・いや、いろいろあって    出てこれたんだ…」 二崎「そうですか。    無事が確認できただけでなによりです」

瑠璃「せ、先輩!!とりあえず    道具倉庫に向かいましょう!    ”私たちだけ”の用事を早くすませないと!!」 二崎「私たちだけの・・・用事・・・?」 二崎「あなたたちを二人っきりにするのは    今はすごく危険だわ    私もついて行かせてもらいます」 瑠璃「えぇ~!!来ないでよ!    二人だけのお楽しみなんだから!」 二崎「先輩もちろん、いいですよね?」 筑井(瑠璃も美海と同じタイプだな    いちいち引っかき回してくるのがやっかい…。    これなら、二崎さんと一緒の方が    確かに安全そうだし…) 筑井「えぇ、いいですよ    今回のことを何も知らないわけじゃなさそうですし    時間もあまりないので    詳しいことは話しながら説明します」    こうして僕たち3人は道具倉庫へ向かうことに

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