巨大女子相撲部

   美穂と二崎がさった数時間後・・・。    時間は深夜のことだった。        彼は痛みで気を失っていたわけではなく、    酸欠で気絶していただけのようだ。 72「はぁ・・・はぁ・・・    死ぬかと思った・・・。    あんなんだから、デカ女共は    嫌いなんだよ・・」 72「この防護服も奴らの前には意味を・・。    なさなかったわけでは、なさそうだな…」 72「一瞬で壊れたようだが    クッションの代わりをなって    なんとか生き残ることができた…」 72「天は俺を見放していなかったようだ。    俺に生きろと言っている、    目的を果たせと・・・・!    こうなれば、なんとしてでも    やり遂げるしかねぇな・・」

72「奴らの失敗は勝利を確信し    情報をべらべらと喋っちまったこと。    悪役がよくやるやつだろ、そいつは」    いくら強く縄で縛ろうとも    所詮は素人がやったもの。    潜入を幾度となく行ってきた    彼からすれば抜け出すのは    たやすいことであった。    縄から抜け出した72は    暗くなった部屋の中で    何かを探し出した。 72「あった、あった… 」    しばらく探すうちに    そのなにかを見つけたようだ。    

   その細さを見るに”糸”という    表現が正しいだろう。    保険として彼はロープと一緒に    透明なロープを垂らすようにしていた。    この透明ロープの意図は    敵に通常ロープが見つかった時の保険。    本来、通常ロープは囮のようなもので    それを奪われることは彼にとって    むしろ都合の良いことであった。    天井までの移動手段である    通常ロープを奪い、それを使って    拘束まで行えば普通なら油断をする。    相手にもう脱出が不可能だと    思わせることで、その後の活動が    通常よりも遥かに容易になる。

   ロープを垂らしたままにするという、    何気ない行為にも意味があり、    これはロープで拘束を促すためである。        侵入されたことを悟らせない為に    こういった証拠はできるだけ    隠しておくのが基本だが、    すでに来ることを認知されている    状況ではいくら見つからずとも    相手が警戒し続ける為    行動に制限ができてしまう。    まず、偽りの勝利を相手に与え、    油断をさせることが最善だと    彼は今までの経験で良く分かっていた。       最初に美穂の存在に気が付いて    いない素振りを見せていたのも    全てこの隙を作る為の芝居であった。

   幸い外傷はひどいものの    体はまだ動かすことはできた。    その細くて安定しない透明なロープも    72の卓越したスキルで    なんとか登りきることに成功。    そして彼女達が話してしまった    筑井のいる部屋へと向かうのであった。    空調設備内の一番端まで行き、    その床を抜けば藤崎の部屋の    天井裏まで辿り着ける。    彼を完全に舐め切っていた驕り。    それが72の作戦成功への    糸口となってしまった 72「俺を舐めてかかったのが運の尽き。    おめえらが悪いんだぜ・・・。    調子に乗ったおめえらのせいで    筑井 細奈は攫われちまうんだ」

   この天井裏に、女子相撲部員が    足を踏み入れることはまずないので    耐久性は一般のものと同じように    作られていた。        美穂たちが回収していった    道具は彼が身に着けていた道具だけ。    天井裏に残していたロープ類と    ナイフだけは無事だったので    それらを使い下に移る準備を始める。        彼は上手く天井のパネルをき    もう一段下にある天井裏へと移る。    もちろん通常の天井裏と藤崎の部屋の    天井裏でも高低差が10m以上あるので    ロープを垂らしておく

   監督の部屋の天井裏についた72。    しかしこの天井裏には穴がないので    部屋の様子を確認する    ことができなかった。     72「天井の材質は…」トントン 72「ここも普通だな・・・。    侵入は問題なくできそうだ。    だが、中の様子を確認    することができねえのは    ちと、めんどくさいな・・。    どうすっか・・・・・・」 72「そういや、あの眼鏡の女が    藤崎の部屋は二重構造だと    言っていたな」 72「だとすれば筑井がいる、    手前の部屋はもぬけの殻のはず    まずはそっちに降りて    状況を確認するか」

   廊下側に穴を開け    下の様子を確認する72。    予想通り彼が覗いた先に    見えた部屋は誰もいない手前の部屋。    あるものは窓とドアだけで     見た目だけなら廊下のような    作りとなっていた。        パネルを切り抜きそこから    いつも通りロープを垂らし    慎重に降りだしたが・・・、    体が負傷していたこともあり    途中で手が離れてしまい    転げ落ちてしまった。    その壮大な転落音は分厚い壁を    抜け筑井の耳にしっかり届いたようだ。

   戻って筑井はと言うと・・・、    先ほどの物音の正体が72    だということも知らず、    一人怯えていた。 筑井(ついに場所が割れたか・・?    時間は部活が終わったぐらいだろうか。    だとしたら、美海・・・・?    それとも美穂さんあたりか)    ドアの前で様子をうかがう・・・。    しばらく待っても、何も変化はないが、    それでも警戒心を緩めることはない。    もし女子相撲部員であれば彼の    貞操の危機に瀕しているのだから。    しかし、それから30分以上経っても    物音一つ起きない。 警戒心の強い    筑井であったが、さすがの彼も    緊張の糸が切れてしまったようだ。    そのせいもあってか彼に    別の問題が起き始めていた。    トイレだ。    緊張感の解放からか一気に    尿意がこみ上げてくる。

    筑井「や、やばい…。どうしよう」    彼は部屋を一周見渡すが    尿を出せるような容器など    見当たらない・・・・。    どうするか必死になって試行錯誤した末、    唯一の排尿先を発見した。    それは流し台であった。    排水溝になら出しても問題ない    はずだと彼は考えたようだ。 筑井「小さいほうは何とかなりそうだ    大きい方は…これも排水溝にながして    何とかするしか」    跳ね返りを気にしていた彼は    誰もいないので全裸になり、    流し台の上に急いで登る。

   なにも食べていなかったので    便意は今のところそこまでひどく    なかったようだ。    大きい方は臭いも気になるので    小さいほうだけ済ませることに 筑井「あぁ"~♪すっきりぃ~」    この時筑井は    久々に幸福感を味わっていた。    人間の大半は簡単に得られるこの    排尿感をここまで幸せに    感じれる日が来ようとは・・。    当たり前の生活がいかに幸せだったか    彼はこの時思い知らされていた。    そんな余韻に浸りながら    しばらく水滴を落としていると    突如、天井から何かが落ちてきた!?    突然のことに呆然とする筑井。    その落ちてきた何かに目をやる。

   正体はもちろん72。    筑井が服を脱ぎきる前に中を    確認し室内に侵入する準備を    そこから始めていた。 72「いってえ・・・・。    もうまともに着地もできねぇ」    そして動揺する筑井と    痛みに悶える72は同時に    お互いの姿を見て驚愕していた。 筑井   「な、なんだお前・・・!?」 72    ランプの明かりだけという    こともあり中の様子がはっきりと    見えていなかった72。    だが、誘拐を行うには    条件はそれほど悪いものではなかった。    薄暗い環境に小柄な体格    それに加えて相手は隙だらけ。    その様子を見た彼は間違いなく    奇襲は成功すると確信し部屋への    侵入を試みたが結局それも    失敗に終わった・・・。

   全裸で落ちてきた72    全裸で洗面台に座っている筑井    お互い目の前にあるものの異様さに    驚きを隠せない。        そしてすぐに筑井は    自身の姿の異様さに気づき    恥じらいを見せ始める。    全裸で見つめあう二人    妙な間が生まれていた。    口を先に開いたのは72。     72「あ、あんたが筑井 細奈か?」 筑井「えっ・・・そうですけど…」      この時筑井は全裸であることを    スルーしてることに戸惑っていた。    一方、72の方は今回の任務に    ついて思い返していたようだ。    ターゲットの名前が筑井 細奈と、    性別がどちらか判断しづらいもので    あったため、女子相撲部の人間だから    女性だと思い込んでしまっていた。

   しかし、予想を反しまさかの男・・。    それを”証明するもの”が目の前にある。    彼は性別の理解が違っていたことにより    先に筑井 細奈 本人であるかを確認    せずにはいられなかったようだ・・。    困惑していた72は一度考えを    整理するために周りを見渡す。    この状況から察するに筑井細奈が    自力で部屋から出ることができずに    いたのは容易に想像できる。    それならば彼女・・、ではなく彼は    部屋から外に出たいと思っているはず。    はじめは力づくで連れて行くことも    考えていたが、体力が限界に近かった    彼は無理やり連れだすのではなく    言葉で誘導して連れ出そうと    決めたようだ。        助けに来たとでも言えば    信じるだろうと彼は踏んでいた。

72(ちんこは全然小さくねぇな。    名前のわりに・・・・) 72(それにこいつ・・・・・。    いや、今はそれはいい・・・) 72「どうも初めまして・・・。    あんた、そう筑井さん!    俺はあんたを助けに来たんだよ・・!」 筑井「え、いや、その    あなたはまず誰・・・?    それに助けるってどういうこと?」 72「俺のことはナナとでも呼んでくれ。    素性は訳あって詳しくは話せねえが、    あんたをここから連れ出しに来たんだ。    ここから出たがってんだろ、あんた」 筑井「それは本当ですか!!    よかった・・・・。    用もまともに足せなくて    困ってたんですよ!!」    その発言を言い終えると涙ぐむ筑井。 72「っ・・・・・?」

筑井「トイレ使えないからちょうど    洗面台に小便を・・・・・・。    いつもこういうやり方で    やってるわけじゃないですからね!」 72「あ、あぁ…」   (こいつはこいつで苦労してんだな・・) 72「だが、扉は二つあるぞ・・。    一つはトイレじゃないのか?」 筑井「扉が硬すぎて開かないですよ。    監督用だから」 72(力が強いわけではないのか・・・。    監禁されてたってことは    何か特別な理由があるんだろうが    いったいなんだ・・?    弱々しいチビにしか見えねえが) 72「まあ、あれだ。    ここに居ても仕方ねぇし、    さっさと出るぞ!右腕怪我してる    ようだからサポートはしてやるよ」 筑井「す、すみません・・」    こうして二人は部屋からの    脱出を試みるのであった。

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