筑井「あー暇だ…」    外はもう夜、どれだけの時間が経ったのだろうか・・?    体感時間だと二日以上に感じる。    人間何もやることがないというのが一番つらい。    部屋の照明を消し、隣に置いてある    ランプの明かりだけつけていた。    さすがに、見ず知らずの部屋で照明を    全部消すのは抵抗がある。    なぜ、照明をつけないかと言うと、光が外に    漏れてしまうからだ。ランプの明かり程度なら外に    漏れないことは、確認している。    弱い明かり一つだけの、この状態。    眠りにつくには、ちょうど良い明るさだ。    時間を消費するために眠りにつこうとするが、    しばらく目を閉じていても全く眠れない・・。    眠れないので、何度も寝返りをうつ最中、    ぼーっと隣にある、机に目をやる。    手紙が置いてあった机だ。    引き出しはあるが、どうせ    開かないんだろうと思い触っていなかった。    ものは試しだ。そう思い    引き出しの取っ手に手を伸ばす。

   どうやら、この引き出しは    通常の設計で作られていたようだ。        筑井の力でも普通に開いた。 筑井「んっ?雑誌・・・?    全国女子相撲誌・・・。    こんなもの売ってるんだ」    中には、女子相撲の特集雑誌。    何もないこの状況には、願ってもない贈り物。    これで暇をある程度潰せそうだ。 筑井「これ今年度の発売か・・・。    て、販売日1週間前⁉ 最新じゃん。    ここのことも載ってるのかな・・?    かなり厚みもあるし、監督が買っているなら    掲載されてるだろうな」 

   最初のページをめくる。    ページの印象を色づける大事な見出し。    一番注目を集める記事が掲載される箇所。    どういった記事があるのか、多少は気になる。 筑井「おっ!部長の記事じゃん」    全国紙で最初のページを飾るは    この高校の部長の記事。 筑井「そういや、部長の名前って聞いたことないな。    なんていう、名前なんだろう?」    婚約どうのうこうのと、迫られたが    言われてみれば彼女のことは、何も知らない。    さっそく記事の内容に目を通す。

   太内田 美来(おおうちだ みらい) 18歳    身長5,743㎝ 体重9,131,180㎏(9,131t)    愛称:大将    全国トップレベルの巨漢を有し    ※槍薔薇厳衛高校(やりばらげんえいこうこう)の部長    ( ※筑井の通う高校名 )    技術・パワー・スピードどれを    とっても最高レベルの選手。    かの、藤崎美理央の教え子ということもあり    今年の注目度はNo.1。槍薔薇厳衛高校の    大将として出場予定。 筑井「数字で見るとあらためて    恐ろしさを感じるな・・・」    しばらく読んでいるとこのような内容も・・。

  どうやら,、彼女は婚約者が   決まっているらしく   高校卒業時にその男性と   結婚するとのこと。 筑井「・・・・・・・・・    ・・・・・・・・・・」 筑井「えぇ~っと・・、次のページは、と・・」    今のページは見なかったことにしよう。 筑井「注目の2年生・・・?    相撲大会、間際の記事なのに    2年生の紹介してるのか。    この人も出場するのかな?」       写真が載っているが確かに、強そうな面構え。    2年生で注目記事が作られるだけあって    とんでもない選手なのだろう。    内容に目を通す。  

筑井「極剛力山 殺・・・。    なんて物騒な名前してんだ…」    極剛力山 殺(ごくごうりきざん あやめ)16歳    身長11,863㎝ 体重375,642,910kg(375,642t)        来年の注目度No.1選手!!    プロ選手も圧倒する体格!歴代No.1の巨漢!        だが、一番の武器はその体格にあらず、    残虐なまでのプレイスタイル。    勝ちにそこまで執着しているわけでは    なく弄び葬るのが彼女のスタイル。    当本人に取材したところ    「とにかく強い奴と戦いたい     倒してくれる相手がいるなら     ぜひ倒してほしい、とのこと。」    賛否両論のある選手ですが、    女子相撲界を色んな意味で賑わしている選手です。    彼女の言う”自身を倒してくれる”選手は    はたして現れるのでしょうか!?    来年の大会にも乞うご期待。

筑井「いろいろとぶっ飛んでる選手だな・・。    今年部長たちと当たらなくてよかった・・・」 筑井「いや、でも来年出場ってなると、    美穂さんたちと一緒になるのか・・。    大丈夫かなぁ・・・」    そんなことを思いながら    ページをめくり続ける。    他人事というわけでもないので、    案外読み込んでしまっていた。 筑井「なんか、このページの端っこだけ    折り目ついてるな?」    新品同様にきれいだった雑誌に    1ページだけ折り目のあるページが・・。

筑井「えっ・・・・。」    そのページを開くと、なんと    僕の特集まで組まれているじゃないか⁉    いつ写真を撮ったのか分からないが    写真も結構載ってるし。 筑井「なんで僕まで紹介されてんだよ…⁉    女子でもなければ相撲だって、    ほぼやったことないって言うのに・・・。    いちおう、相撲部に入ってることに    なってるとはいえ許可ぐらい取ってくれよ…」    さすがに、怒りも少々覚える。    というよりこれ誰が撮ってたんだ・・?    全然撮られてた記憶はないんだけどな・・。    とりあえず記事の内容を    確認してみる。

   筑井 細奈(ちい さいな)??歳        その他、プロフィールも不明            槍薔薇厳衛高校の期待の超新星‼        藤崎美理央が最も押す、注目選手!!    小さいながらも太内田 未來を    入部してすぐ、倒すほどの実力者!!        槍薔薇女子相撲部の間で    注目の的となっている。    また、彼女についての詳細は    まったくの不明ですが、    藤崎監督曰く、来年の試合に    出場するということなので    期待が高まるところです!    槍薔薇女子相撲部の切り札!    はたしてどんな活躍を見せてくれるのでしょうか!

筑井「む、無茶苦茶だ・・・。    突っ込みたいことが多すぎる・・。    そもそもこの記事書かれた頃なんて    監督と会ってすらいないだろ・・・?!!」 筑井「それに”彼女”って・・。    完全に性別に関しても嘘ついてるし」 筑井「しかも、部長は倒したって言うよりも    勝手に負けただけだし・・。    勝ってはいない・・・・・。    しかも来年出場ってことは    留年する前提じゃん・・!!」 筑井「んっ・・・。 言われてみれば    留年の話を持ち掛けられた時、    何かを思い出す仕草だった気が・・・。    もしかして、この記事と辻褄を    合わせるために言っただけじゃ・・・」     年齢とかのデータもないから    名簿見て絶対てきとうに話してるだけだ!!    あんまりだろ・・・!!?

筑井「そういえば・・・、    1年たちに体重や身長測られたのって、    この記事に載ってないからか・・・。    ちょっと待てよ・・!!」    一つの憶測がよぎり    ページを一気にめくる…     筑井「やっぱり、あった」    40Lサイズのビキニって    言っていたが、普通の雑誌にそんなもの    載っているはずがない。        そう思い、この雑誌を調べたところ、    確かに彼女たちが見せてきた    ページと同じものが載っていた。 筑井「ページの中身だけ見せてきて    そういや表紙とかは見てなかったな。    て、ことは・・・」

   ここで雑誌が同じだったことで    一つ気になる点が出てきた。    仮に、この雑誌を皆が手に取り、    僕の記事を読んでいたとすれば    留年の話は皆知ってたのか・・?         現に来年出場って書いてるし・・・。    いや…、文章もそれほど大きくないし    気づいてないだけかも・・・。    それに、はじめに留年の話を監督が    持ち掛けてきたときのリアクションを    見てもとても知っていたようには・・・。    ・・・・・・・・。            いや……待てよ、待てよ・・・。    あの時周りの2年生たちは知らないって    感じだったけど美海は・・・。    少なくとも知ってるだろ雑誌見てるんなら・・。    自分で言うのもあれだが、美海が    僕の記事を見逃すことなんて、ないと思うが・・。

   理由は分からないけど    2年生にはこの雑誌を得られない理由があった・・。    いや、1年生だけが雑誌を得られる    理由があったって言う方が正しいかな・・。        この時、学校の女子の”決まり”について思い出していた。    この高校の女子は一定以上のサイズがないと    入学ができない。 そして、女子全員は    寮生活と決められている。    女子は学校に通っている間、許可なしでの外出禁止。    理由は簡単、彼女たちが    一般人と同じ環境で暮らせないから。        女子校舎の購買部には行ったことはないが    普通に考えれば高校の購買部に    ビキニの情報が載った雑誌が、売られるだろうか?    普通そんなことありえないだろ・・。    風紀を乱すことにしかならないだろうし。    メジャーは買えても    体重計は売ってないような購買部。    あくまで購買部として普通の形態は守られてるはず。    いくら女子相撲が盛んだといっても    雑誌の販売はされないはずだ。

   この雑誌を手に入れるには、    外から物資の供給を行ってる人間がいて    それを受け取ることができる生徒…、    あるいは監督とよほど    強い繋がりがないと難しいんじゃ・・・。    いや、考えすぎか…。    2年生だって知ってたかもしれないけど    目の前でそういう話をされて    驚くのは別におかしくはない。    雑誌だって監督が彼女たちに    読ませるために持ってきてる可能性もあるし。    今まで考えてきたことは不確定な要素が多すぎる。    それに、監督とつながってる1年が    いるからなんだって話だ・・・。    暇だと変なことを考えてしまうな。

筑井「まあ、いいやこんなこと気にしても仕方ないし…」    そういえば、さっき流し見した際に    もう一か所気になるところがあった。    もう一度そこを見ることに。 筑井「なんでここだけ…」    1ページだけ破られているページがあった。    前後のページを見てみると    各高校の監督紹介の欄だということは分かる。 筑井「これ藤崎監督のページか?    自分で破ったのか…?    何のために…」    ドンッ!! 筑井「!?」    入口から大きなもの物音が・・?!

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