全文表示 巨大女子相撲部

   土煙が晴れ、監督の姿が見えると    筑井はその姿に衝撃を受けていた。        なんと女子相撲部の監督は    彼と同じぐらいの体格だったのだ。

美穂「か、監督ちょっと1年の間で    問題がありましてそれで・・・・」

監督「聞いてない」

美穂「はいっ!」

筑井(あれだけの巨人を一括    するなんてなんて人なんだ・・・。    完全に周りもビビりあがってるし)

監督「新入部員はどこにいる?」

美穂「は、はい‼1年美海が    掴んでいる生徒です」

監督「へぇ‥さっさと降ろせ・・」

美海「す、しゅいまシェんッ‥!!」

   とっさに話を振られ驚いたのか    急に手を離した美海。    そのせいで彼は盛大に尻もちをつく。

筑井「いって・・・」

   筑井は着地した瞬間、    反射的に目を閉じていた。    その間1秒もないだろう。

   20m以上、監督かのじょとの距離が    あったはずなのにもかかわらず        目を開いた時にはすでに    彼の目の前に立っていたのだ。

監督「藤崎ふじさき 美理央みりお。よろしく」

   そう言って手を差し伸べてきたので    それに合わせて彼も手を差し出す。

   そして、彼女の指先に触れた瞬間    とんでもない衝撃が体を突き抜ける!

筑井「い"っ・・・!?ぅぐっ・・・

   高熱のマグマ、それとも雷、あるいは    絶対零度ともいえるような超感覚。        言葉では表現できないが、とにかく    今まで感じたことのないような衝撃。    痛すぎて脂汗が止まらない・・・。

藤崎「あわわっ!?ごめんなさい!!?    やっぱりこうなるか・・・」

   監督は小さな声でそう呟いた。

筑井(いってぇ・・・・・・。    僕にいったい何をしたんだ・・・・)

筑井「いろいろ聞きたいことあるんですが、    まず、腕を今すぐ冷やしたいです‥」

藤崎「えっ…えぇ。わ、私がつ、付いていく。    お前達はさっさと道場に戻っていろ」

   先ほどまでの、ざわつきは何処へ    いったのやら・・。小さな返事と共に    彼女達はその場から姿を消した。

   この部活の監督というから    どんな大巨人が出てくるのかと思えば    僕と同じくらいの小柄な女性だし    それに未知の能力まで有している。

   小柄な体格であの謎の力、    神格化されてるのも    なんとなく分かった気がする。

   結局あの場は監督が    来てくれたおかげで難を    逃れることができたものの、    美海の爆弾発言を消化不良のまま    終わらせてしまったし何より美海を    裏切ってしまった事実に関して    謝罪も何もせず終わってしまっている。

   先延ばしになっているだけで    状況は何も好転はしていない・・。

藤崎「手は大丈夫そう・・・ですか?」

筑井「まあ、なんとか・・・・」

   とは言ったもののぱんぱんに    膨れがってる右手・・。    正直めちゃくちゃ痛い。

筑井「その・・、気になってたんですが    何で敬語なんですか・・?」

藤崎「男性に慣れてないというか、    何て言うか・・・・・。    と、とにかくいいじゃないですか!」

筑井「僕は別に構わないですけど、    それだと他の部員たちに    示しつかないんじゃ」

藤崎「ご、ごめんなさい」

筑井「謝らないでくださいよ・・!    相撲部の監督ともあろう方から    謝られるとやりづらいですし・・」

   それから監督と筑井は話をするために    近くの階段まで行き腰を掛ける。

筑井「そのさっき僕に何をしたんですか?    この腫れ方普通じゃないと思うんですが」

筑井「ほんの一瞬、いやそれ以下かも・・・。    こんなことが分かるのもおかしいとは    思いますけど、僕個人としては    皮一枚しか触れてないんじゃないかって    ぐらい触れた実感がないんですよね・・」

筑井「それなのに、こんなになるって    いったいどうなってるんですか・・?」

藤崎「それは・・・何て言うか・・・その    私、人より少しだけ力が強くて・・・    そのせいで・・・・・」

筑井「まさか、握ろうとする微かな動作だけで    人の腕を破壊しかねない力があるって    ことじゃないですよね・・・?」

   今まで3年生の中には気迫だけで    窓ガラスを割るような人もいたし    ありえない話ではないのかも    しれないと思い尋ねてみた。

藤崎「正確には触れるだけで・・・・。    てっ、ちょっと!! 人の腕を破壊    しかねないって、ひどい・・!!!!」

筑井「ひぃっ!?」

藤崎「そんなに怯えなくても    私だって好きでこんな力    身に着けたわけじゃないんですよ!」

筑井「ご、ごめんなさい・・」

藤崎「筑井くんは謝らなくていいですよ!    悪いのは私ですし・・、それにそんな    調子じゃ後輩達に示しつきませんよ。    男ならもっとどうどうとしないと!」

   あんなことされれば誰でも    ”怖気づいて”謝るっての・・・・。

筑井「すみません・・・」

藤崎「また、謝ってる。 可愛いですね」

筑井「ぅっ・・・//」

   これまでの反応にそこまで    気難しそうな人ではないと思った筑井は        他にも気になることが多々あったので    恥ずかしがる様子を隠しつつ    彼女に質問をしてみることに。

筑井「えっと藤崎・・監督でしたっけ?    さっき好きで力を身に着けた    わけじゃないって言ってましたけど、    何かきっかけがあって今の    力を手にしたんですか・・?」

藤崎「分からない・・」

筑井「えっ・・?分からない?」

藤崎「この力、高校生の頃に急に身に    着いたんだけど、検査受けようにも    体が強すぎて、まともに調べることが    できないままでいるの・・・」

藤崎「色々な方法で原因の究明を図っては    みたんだけど結局何も分かっていない。    体に害もなさそうだし今はそのままの    状態で生活送っているんです」

藤崎「私生活で困ることは沢山ありがすが    この力のおかげで過去に相撲の    全国大会で準優勝までいけましたし    いろんな人とも出会えました」

藤崎「辛い時の方が多いけど、昔よりは前向きに    この力と向き合えてる・・・・・かな」

筑井「藤崎監督ほどの力で準優勝か・・・。    上には上がいるんですね…」

   僕のその一言を最後に監督が    急に黙り込んでしまった・・。

   決勝戦で負けたことを気にしてたのかと    思い少々申し訳ない気持ちに    勝手・・になってしまっていたが    理由はどうやら違うようだ・・・。

藤崎「…っ……理央・・・・・」

筑井「えっ・・?な、なんですか・・?」

藤崎「美理央・・・下の名前で・・・・    呼んでくれませんか?」

筑井「いやッ・・・いやいやいや・・⁉    色んな意味で無理ですよそれは‼」

藤崎「い、色んな意味って    どういう意味ですか!?」

筑井「いや、その、そこは    今はいいじゃないですか」

藤崎「よくないです!!!」

筑井「じゃ、じゃあ敬語やめてください。    だったら僕も下の名前で呼びますよ」

藤崎「分りました・・・、じゃなくて分かった!    それで呼んでくれるなら・・!」

筑井(人見知りかと思ってたけど適応力    高いなこの人…。 こんなすぐ    変えてくるとは・・・・)

筑井「それじゃあ改めて    よろしくお願いします。    み、美理央みりお監督・・・・」

藤崎「あ”ああぁーー!!!    全然分かってない!!」

藤崎「監督もつけなくていいの!!    たまには私だって女の子らしく    扱われたいんだから!!」

   そう言うと筑井を押し倒し、上から    顔を覗き込ませるような形をとる。

筑井「ちょっ・・何を・・・」

藤崎「いいから言って」

筑井「い、いや、さっきのが限界・・!    最大の譲歩ですよ!!    さすがに監督まで外すのは    ちょっと・・・」

藤崎「・・・・・・・・・・・」

藤崎「ほんとは私だって恥ずかしいけど    勇気振り絞って言ってんだから、    答えてくれたっていいじゃん」

藤崎「普段はどこへでかけても男扱い・・。    いやそれ以上かも男の中の男って    感じでしか見られないし。    立場上そういう風に振舞わなきゃ    いけないのも分かってるから・・・」

藤崎「それに男性と話をする    機会なんて筑井くんとぐらいしか    ないわけだし・・・」

藤崎「千載一遇のタイミングを    取り逃がすような、    真似だけは絶対にしない」

藤崎「悪いけどその意志だけは    昔から変わらないの」

   大会準優勝だったり、この部の監督を    やってるだけあって、いざという時は    胆の据わった人物だと思わされる筑井。

   人見知りだから今までまともに    顔を見てきていなかったけど    よく見ると結構可愛らしい    顔立ちをしているな・・・。

   この状態でいるのは僕から    したらたまったもんじゃない・・。

筑井「わ、分かりましたよ!    僕が折れますって!」

筑井「でも、二人きりの時だけですからね!    それ以外の場所では監督って    呼びますから」

藤崎「ブぅーーッ、けちっ! まあ、いきなり    人前で呼ばれたら私も恥ずかしいし    それでいいけど」

   あくまで僕にとっては恥ずかしさ    ではなく他の部員達がどうなるか    分かったものじゃないから、そういった    制約をつけたまでのことではあるが

藤崎「じゃあ今二人っきりだし    一回呼んでほしいな・・」

筑井「えっいや・・・、    別に今呼ばなくてもいいんじゃ」

藤崎「いくじなし」

筑井(こんなかわいい子・・・?    そういや年はいくつなんだろ・・・)

筑井(年上なのは間違いないだろうが、    どちらにせよ、名を呼ぶという    行為は僕からすれば恐ろしく    勇気のいることだ・・・)

筑井(そもそもが、あんな巨大な    女子生徒達に囲まれる生活を    送ってきたんだ)

筑井(普通の女の子がきただけでも    正直好きになりそうなのに    好みの容姿ともなれば動揺もしてしまう)

   そして彼は、もう一度藤崎の顔を見る。    視線を逸らさず、彼女はずっと筑井の    顔を見つめ続けていた。        男性に慣れてないというのはなん    だったのかと、疑問に思いつつも    その圧に耐えかねてか、固く閉ざされて    いた口をやっとのことで開くと決心した。

筑井「フゥ―――…。み………」

美海めえぇェェ!!!?!

   その巨体をどこに隠して    いたのか、いきなり美海が    僕達に飛びかかってきた。

   ある意味安堵・・・。    残念な気持ちがないわけではないが    今は助けが来たって気分だ・・。

藤崎「道場に向かえと言っていたはずだが?」

美海「そんなこと関係ないです!    監督だからって先輩に    手を出すのは許しませんよ!」

藤崎「聞く耳持たずか・・・」

   美海が向かってくるのに対処するためか    藤崎は腰を上げ、人に静止を促すかの    ように右の手のひらを前に出した。

   すると30tもの体重がある美海が    空中でピタッと止まる・・。    普通じゃありえないのだろうが    風圧で止めたのかもしれない・・・。

藤崎「さっきまでの会話どこまで聞いてた?」

美海「遠くて会話は聞こえてませんが、    監督が脅して先輩に無理矢理    いやらしいことを、しようと    してたのだけは分かります!」

藤崎「・・・・・・・・」

美海「私が彼女なんですから    勝手は許しません!!」

筑井「誤解だよ美海!    別に変な話はしてないから    心配しなくていいよ・・・!!」

藤崎「彼女・・・・?美海・・・・?」

藤崎「ちょっとなんで、美海こいつは下の名前で    呼んでるのに、私の下の名前は    呼んでくれないのよ!!!!」

筑井「いや、ちょっと・・監督・・・・・・、    話がややこしくなるんで、今そのことは…」

美海「ややこしくなるってどういうことですか、    先輩…!? それに下の名前って!!!!??」

筑井「いや、だから・・それは・・」

??「ちょっと…美海!!」

   危機的状況の中、更に    別の声が加わってきた・・・。

美香「付き合ってるなんてどうせ嘘なんでしょ!」

   声の正体は美香。    その後ろに大量の2年生達が    並んでこちらに近づいてきていた。

美香「あんた先輩に何か吹き込んで付き合ってる    "設定"にしてもらってるだけのくせに!    あんたも脅してるのと一緒じゃない!!」

美海「美香・・!!それに先輩方まで・・。    てっ・・、私は嘘…なんか    ついてないってば!!!」

美穂「監督!命令に背いたことは    深く反省しています。    罰を受ける覚悟もできてます!」

美穂「ですが どうしても話をしておかなければ    いけないことがあるので、皆ここに残る    覚悟を決めました!!どうか少しだけでも    話を聞いていただけないでしょうか?」

藤崎「チッ・・なにっ・・・?」 (こっちはそれどころじゃないのに💢)

美穂「見て分かる通り、筑井先輩は    今の女子相撲部のモチベーションを保つ    一つの礎になっています」

美穂「真意は定かではありませんが    今日この美海が筑井先輩の彼女だと    我々一同の前で宣言しました」

美穂「ですが、今までのこの二人の関係を    見ていても正直誰も交際してると    思えるような状態ではなく    交際については皆信用していません」

美穂「しかし”今は”それを証明する手立ても    ないので疑惑の念だけが残り    今後相撲部の活動に支障をきたす    可能性があると思われます」

藤崎「で、何が言いたいの・・?」

美穂「2人が退部を申し出た際、それを容認しない    でいただきたいです。今回、問題起こした    責任として退部するのが彼らの    目的かもしれないので」

   美穂はおそらく美海の考えていた    ことをなんとなく察していたようだ。        今後部活動に残り続けていれば    何かしらボロが出ると踏んでの    提案でもあるだろう。

   追い込み・・、 明らかに美海を    追い込む為の提案である。

藤崎「つまり監視するために辞めさせるなと?    このまま消えられてもスッキリしないし」

美穂「えぇ・・・そういうことになります」

藤崎「それは別に構わない。    少なくとも私は筑井くん・・・、    じゃなくて彼らが恋愛を理由に    辞めるなんて絶対に認めない。    相撲部の看板に泥を塗ることになる」

美穂「ありがとうございます・・」

藤崎「えっと…、ちなみに彼はまだ男子寮?」

美穂「え、そうですが、それが何か?」

藤崎「じゃあ今日から女子寮で生活してもらう」

筑井「・・・・・???」

筑井「はっ・・・?」

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