そしてその頃美海と筑井は校内から脱出していた。    放課後誰も使用していないプールに向かい    身を隠すようだ。 美海「作戦大成功!やっと二人っきりになれましたね先輩」 筑井「さっきの涙は嘘だったのか…。心配して損したよ」 美海「涙は本当ですよ私だって女の子ですし    あんな人がたくさんいる場所で先輩に    体重知られるの嫌に決まってるじゃないですか!」 美海「それより、先輩私のこと心配してくれてたんですね    ありがとうございます」 筑井「そりゃまあ…、心配してないって言ったら嘘になるけど」 美海「先輩そういう時はっきり言ってくれても    いいじゃないですか!心配してたって。」 筑井「ごめん」 美海「体も気も小さいですね先輩は    私はそういうところが心配になっちゃいますよ」

   一歩、歩みを進めるごとに    ズシンッズシンッと轟音がなる。    この音で場所がばれそうな気がするが    仮に他の女子が追ってきていたとしても    彼女たち自身も揺れを起こしているだろうし    揺れで気づかれることはなさそうだ。 筑井「で、僕を連れ出したけど何をするつもりなの?」    そろそろ悪い予感がしてきたから先に聞いてみた。 美海「別に何もしないですよ。    先輩が部活に入ってから二人だけの    時間が減っちゃったから一緒にいたいなあって、    本当にただそれだけです」    神妙な面持ちで彼女はそう語った。    体格は化け物じみてて誤解をしていたが    中身は普通の女の子よりも純粋なのかも…。 美海「ほんとは一緒にいる時間増やしたくて    部活にさそってみたんですけど    結果失敗しちゃいましたね…」 美海「私の身勝手で先輩に迷惑ばかり    かけちゃってますし今になってはほんと後悔してます」

美海「今回の件で私みんなに嫌われちゃったと    思いますしこの際一緒に部活辞めちゃいませんか?」      なんだいきなり…?    確かに部員に嫌なことされて    一時的にやめたくなるのは分からなくはないが    正直この流れでこの発言は何か引っかかる…。    何と言うかスムーズすぎる        もしかしたら…、ここまで    美海の計画だったのか…?    部活内での自身の信用を犠牲にしたのだから    その覚悟に応えてほしいといったところだろうか。        それに僕も本心を語ればこの部活に    身を置くことは恐ろしいことだしやめたいと思っている。        仮に、やめようとすればどういう目に合うかも分からない。    そう簡単にやめるなんてことはできなかった状況の中    一緒に辞めてくれる仲間がいるだけでも    その決断を実行しやすくなる。    おそらく、それもちゃんと理解したうえでの提案    僕の予想よりもずっと賢い子なのかもしれない。

   だけど、この提案を受けると    出し抜かれたような気がしてあまりいい気はしない。    全てにおいて負けたくないというか    男としての意地が受け入れさせてくれない。        ここで「一緒に辞めよう」と言えれば    楽になれるのにそれが言えないでいた。 美海「先輩…?」 筑井「え、あ、ごめん…」 美海「いきなりこんなこと言ってすみません…!    やっぱりさっきのは、なしでお願いします」    僕が考え込む様子を見て    何かを察したのか急に要求を取り下げてきた。

筑井「まあこれで辞めさせてもらえるとも    思えないしね」 美海「そ、そうですよね…」 筑井「たぶんみんなも心配してるだろうし    今からでも戻った方がいいよ」 美海「それは嫌です!明日謝りに行きますから    今日だけ許してください!」 筑井(これ以上言っても    たぶん動きそうにないな) 筑井「分かったよ、でも明日はちゃんといきなよ」 美海「やっぱり先輩優しいですね…。    ありがとうございます」 筑井「僕の力じゃ無理やり連れてくこともできないし    今ここでもめても仕方ないからそう言っただけで    優しさとかじゃ…ないよ…」    あまり好感もたれても    こちらの本意ではないのでちょっと    きつめに言っておくことにした。

美海「先輩例えばなんですけど    私がここで先輩のこと襲ったらどうなると思います?」    きつめに言った反動のせいか    彼女は突拍子もないことを言い出す。 筑井「な、なにをいきなり言ってんだよ⁉    それにさっき何もしないって言ったばかりじゃん」 美海「例えばって言ったじゃないですか    私はどうなるかを聞いてるんですよ。」    この場面では慎重に答えないと    まずい状況になりかねなさそうだ。 筑井「・・・・。」    今までは周囲に人がいたり、泣かされたりと    いろいろできない条件があったが    今はひと気のない場所で二人きり…。    気分の一つも変わってもおかしくないだろう。

筑井(リスク高いかもしれないけど    これでいってみるか…)        ある一つの妙案…、いや奇策と    言った方が賢明か。    窮地を脱する一つの方法を思いつく。     筑井「きみは本心から襲いたいと思ってるの?」 美海「はいっ!」    即答も即答…。    ここまで迷いがない返事もそう聞くことは    できないだろう。   筑井「そこまで僕のことを思ってくれてるのは    本当に嬉しく思うよ    僕もモテた経験なんて今までなかったし…。    でも、やっぱり襲われるのは嫌だよ」 美海「……、襲われる時は先輩の意思は関係ないです」    目が本気だ…。 筑井「なにも”やりたくない”とは言ってないんだ…。    ただ襲われるのは不本意だって言ってるんだよ」 美海「……?」

筑井「僕の方から攻めさせてくれない?    こういう言い方でいいのか分からないけど…」        美海にとっては一番予想だにしなかった答えだろう    完全にあっけにとられている。 美海「せ、先輩ほんとうにいいんですか⁉    まさかそんなこと先輩の方から言ってくれるなんて‼」 筑井「これが僕たちにとって一番いい形だと    思うんだけどそれでもまだ僕を    無理やり襲うつもりかい?」 美海「いえいえ、襲うわけないじゃないですか⁉    むしろそっちのが本望です!    夢でも見てるみたい。」    ここまで計画通り…!    むしろことがうまく運びすぎて少し怖いぐらいだ。

筑井「それじゃあ四つん這いになって    後ろ向いてくれるかな…」 美海「は、はひっ!」フッー! フッー!    完全に興奮しきっている彼女    今まで言うこと聞いてくれなかったのが    嘘のように言葉一つで自由に    動いてくれるようになった。 筑井(ここまでくればもう大丈夫かな…。) 筑井「ちょっと…、まだ高いかな…。    なんか台替わりになるものを持ってくるから    そのまま少し待っててくれるかな?」 美海「わ、わかりました…!!」フッー! フッー!    そして僕はその場を走って抜け出す。

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