一方その頃、2年生たちは…、 美穂「さて、私たちは稽古の準備でも始めようか」 二崎「もうそろそろ戻ってくる頃でしょうしね。」    3年生は今、夏の最後の大会のため会場に移動中    あまりの巨体と人数から下級生は    応援に行くことすらできず学校に残っている。

   それから2年生たちは稽古を始めていたが    しばらくたっても戻ってくる気配がない。 美穂「なかなか来ないわね    先輩でもだめだったのかしら」 二崎「というより、”先輩だから”だめだったんじゃないの? 美穂」 美穂「え、そうなのどうしてよ」 二崎「相変わらずあなたって少し抜けてるわね。    あの子たちの性格考えれば分かるでしょ」     二崎「先輩と試合した時もそうだけど    考えもなしにいろいろ言いすぎなのよ    煽りにしかなってなかったわよ、あれ…」     二崎「まあ、私はあなたのリーダシップ性を    評価してるんだから    そういうところもしっかりしてほしいわ。」     美穂「・・・はいはぃ」

美穂「あ、そうださっき連絡がきたんだけどさ    監督今日一回こっち来るらしいよ」     二崎「え?」 二崎「今大会に行ってるはずよね監督?」 美穂「なんか忘れ物あるとかなんとか言ってたけど    たぶん新入部員入ったって聞いたから    顔を拝みに来るとかそんなんじゃないかしら」     美穂「確か大会までの間、場所がなくて    練習できないから1日だけ    時間空いてるらしいし」     二崎「へぇ、知らなかった。    よく考えなくても全国から    あれだけの巨体が集まれば    練習場所もあるわけないか…」     二崎「にしても、わざわざ戻ってくるなんて    ご苦労なことね。」     美穂「監督の性格なら3年生たちとプライベートまで    一緒にいたくないだろうし    そういう理由もあるんじゃないの」     二崎「確かに…」

二崎「て、それが分かってんなら    なおさら1年早く連れて    こないとまずいでしょ!?」     二崎「監督にこんなところ見られたら    新キャプテンとしての示しもつかないわよ!」 美穂「そういえば監督怒らせるとやばいんだった…。    いつも3年生の所にしか    いないから忘れてたけど」     美穂「仕方ない、みんな!!    ちょっと集まって!!」    稽古をしていた2年生たちを招集する。     美穂「監督が来るまでにここに1年生を連れて    来ないと私たちの身が危ないわ!    総力を挙げて1年生たちを探し出すわよ!!    急いで!!」        その合図で2年生達は1年生の捜索を開始する。    教室にいることを考えればさほど    時間はかからないだろうが、はたして…。

   戻って1年女子たちは…。     美海「手の大きさも比べっこしましょ先輩」    手をこちらに持ってきたので        それに僕も合わせる。 筑井「うわっ⁉でかっ!」    正直僕も彼女たちの大きさを    マジマジと見る機会は中々ない。    だから大きさ比べに興味が    ないわけではなかった。    さきほどまで彼女たちが言っていた    ”人の大きさが気になる理論”は    僕も同じである。    手の大きさを見てみれば差は一目瞭然    指の関節まで全く届かない。

   なにより大きさを実感させられたのは    ”手の厚み”だ…。    相撲の稽古で鍛えられたものなのだろうが    僕の10倍以上はあるのではないか…? 美海「でかっ⁉じゃないですよ!    先輩が小さすぎるんです。    2,3年の相撲部の皆さん    見ればわかりますよね。」     筑井「いや…、そりゃ確かに    彼女たちと比べれば君たちは普通・・・・?    んっ・・・?    あれ、よく分からなくなってきた…。」    感覚がだんだん麻痺してきている…。    今じゃ1年女子はあまり大きく感じないと言うか    可愛らしくすら感じる。    本来そんなことは絶対ないはずなのだが        部位での比較は行ったことがなかったので    さっきのような反応が出てしまったが。

美海「それじゃあ次は体重を測りにいきましょう!」 筑井「測りに行こうって、体重計は準備してないのね」 美海「私たちも寮生活なので部屋に体重計までは    おいてないですよ。    とりあえず保健室で測りましょう」     筑井「とか、言いつつ本当は    重すぎて量れる体重計が    売られてないだけとか…」ボソッ    その発言をした瞬間恐ろしく冷たい視線が    僕にふりそそぐ。 筑井「ごめんなさい…」    それから彼女たちに囲まれながら    保健室まで移動することに

美海「ここが女子校舎の保健室です!    学年で平均身長が大きく変わるので    1年生専用ですが。」    外観は普通だがサイズがどれも桁違いだ 筑井「体重計もめちゃくちゃでかいけど    これ僕がのって反応するのかな」 美海「こう見えても1㎏単位でちゃんと計測    できますよ。最大で500tぐらいだったかな?    それだと3年生は全然測れないらしいですけど」 筑井「じゃあ3年生はもっとでかい    体重計使ってるってこと?」 美海「そうらしいですけど    専門の機関じゃないと    計測できないみたいです。」    一度、目の前で3年生を見ているから    分かることだが確かにこの程度の    大きさの機械では量ることは到底不可能だろう。    という僕も3年生だけど…。

美海「それじゃあさっそく…」    後ろから抱きかかえ上げられ    体重計の上に乗せられる。 美香「えぇ~と体重は…、    さ、34㎏!?軽すぎでしょ!?」 美海「こんなに軽いんじゃ風で    飛ばされそうで心配です…」 筑井「飛ばされるわけないだろ!!」    3年生女子と相まみえた時は    風圧で飛ばされたが…。 美香「だいたい30㎏なんていったら    私が一口で飲む水の量より少ないし」 美海「先輩、ちゃんとごはん食べてますか?    この部に入った以上はお米一石以上は最低でも    食べないと体もたないですよ。」 筑井「お米、一石…?    何合とかって言ってくれないと    よく分からないんだけど…」

美海「先輩珍しい単位使ってるんですね    体重測るときに㎎で量るようなものですよそれ    普段使わないからよく分からないな~…。」 美香「たぶん…、千合とかじゃなかったっけ?」 筑井「せ、千合…!?」   (0.5合食べるのもやっとなのに    彼女たちは2000倍は最低でも食べてるのか…。    そりゃこんな体になるわけだ…) 美海「なんでそんなに驚いてるんですか?」 美海(恥ずかしいからちょっと少なく言った    つもりだったけど…まだ多かったのかな    0.5石って言っとけば良かったかも…) 筑井「い、いや、まあ    きみたちならそれぐらい食べても    おかしくないよね……、ハハハッ…」

筑井「せっかくだし    美海達の体重も知りたいなぁ    僕だけ一方的にやられるのも    あまりにも理不尽じゃないか?」 美海「ちょっと先輩!?女の子に体重聞くなんて    失礼なことぐらいさすがに分かってますよね」 美香「まあいいじゃん美海    ここまで無理矢理、計測しといて    先輩の言うことは何一つ聞いてあげません    なんてさすがに可哀そうでしょ」    「そうよ美海、量りなさいよ!」    周りの女子たちも美香の意見に同調する。 美海「ちょっと、みんなして卑怯よ!    だったらあなたたちが量ればいいじゃない!」 美香「もともとこの計画の発案者は美海    なんだし、美海も先輩の役に立ちたいでしょ」       (本当は先輩の前で恥じかかせて    やりたいだけなんだけどね)

美海「うぅう……。分かったわよ!?    量ればいいんでしょ量れば‼」 美香「よっ!さすがは我らの美海ちゃん!」    周りからは拍手が起きる。 美海「先輩は後ろ向いててください!    結果は口で教えるので!!」 筑井「う、うん」   (ちょっとかわいそうなことしちゃったな…)    同調圧力というやつか    周りが盛り立てたせいで取り消し、    し辛くなってしまった。       こういう時にしっかり言えない    自分がかっこわるくて嫌になる。

   僕が後ろを向いた後    息をのみながら美海が体重計に乗る。    後ろを向いていても    体重計がきしむ音が聞こえてくる    まさに悲鳴を上げているようだった。 美海(昨日量りにはきていたけど    ちょっと減ってればいいなあ…)    女子たちがメモリに注目する中    針の動きが止まった。 美海(34523㎏…⁉昨日より    500㎏だけ増えちゃってるな…    ごはん牛2頭分で我慢してたんだけど…) 美香「美海、先月より1000㎏痩せてんじゃん!    ダイエット頑張ってるのね」 美海「ちょっと、美香やめてよ…⁉」        美海からすれば軽く美香を    押しただけなのかもしれないが    その衝撃だけで一瞬部屋が揺れる。    それほどの衝撃なのに押された美香も平気そうだ。    これほどの揺れでは何も彼女らは感じない    のかもしれない。

美海「先輩もういいですよ…」    その合図で僕は振り返るが    あまり彼女の表情は    浮かばれるものとは言えなかった。 美海「体重30tでしたこれでいいですか!」 筑井「なんで半ギレ…」    30tという予想をはるかに上回る    数字にさすがに動揺の色を隠しきれない…。 美海「先輩のせいですよ!!」    美海が僕に向かって勢いよく    四つん這いの体制になりながら叫ぶ    その勢いに圧倒されるばかりだった。 美香「あれ、体重正確には34523㎏でしょ?」   (あんまり言いすぎると    私が嫌われちゃいそうだし    控えめにしとかないと) 美海「4000㎏ぐらい誤差でしょ!どうでもいいじゃん」 筑井(4000㎏で誤差なのか、僕の体重100人分より    重いけど…)

  「ていうより、先輩の体重の    ちょうど1000倍じゃん」コソコソッ       「一緒に寝たら間違いなく潰しちゃうわね」ボソボソッ    周りの女子たちもこそこそ陰口を言っているようだった。    だいたいの意見はそれはきみらにも同じこと    言えるだろというものだったが、    さすがに今の状況だとツッコミづらい… 美海「うぅ・・・。みんなひどい・・・。」    さきほどから涙目になっていたが    ついに美海が泣き出してしまった。 美香「ちょ、ちょっと美海何も泣かなくても    私たちが悪かったからごめん」

美海「もういい私出ていく道開けてよ」    突然の涙にみんな気を使ったのか巨女の壁に    一筋の道ができる。 美海「フフッ…。」    泣きながら突如彼女が不敵に笑いだす。    その声はあまりに小さく意識してなければ    聞き逃すほどか細いものだった。    すると急に僕の体を掴みだし走り出した!    右手で体を左手で顔を覆う。    叫ぶこともままならない状況だ。

   手で覆われたことにより僕の姿は見えず    はたから見ればただ彼女が泣きながら    部屋を出て行ったようにしか見えなかった。    その行動が意図を読み取るには    少しの時間が必要だった。    しばらくすると一人の女生徒が    「先輩が消えてる!!?」    その声でみんな美海の作戦に気づいたようだ。 美香「美海のやつ…!やられたわ!!    みんな早く先輩を助けないとまずいわ!!    今の美海が何をしでかすか分からないわよ!!」    1年女子たちによる怒りの大捜索が始まる…。

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