GTS48 05

 引き続き一次選考中の事務所。
「それでは、田町佳子さん入ってください。」
ドアがゆっくりと開いて、鴨居をくぐりながら長身女性が入ってくる。
「失礼します。」
先ほど面接していた先坂茜ちゃんやかれんで見慣れていたと思っていたが、新しい女の子を見ると
さすがにドキッとする福山であった。
「田町佳子、17歳。特技は大食いです!よろしくお願いします!」
「ああ、はい。元気がいいですね。ちょっとそのまま立っていてくださいね。かれんもちょっと来て。」
といってかれんと一緒に佳子ちゃんへと近づく。
「(身長はさっきの茜ちゃんと変わらないくらいなんだよな。でも体重が相当多いからデカイって感じするなあ。
横に並んでるかれんと比べてもそう感じるし。デブとかそういう感じではないんだけど。)」
と福山がまじまじ眺めながら考え事をしている間、かれんと佳子ちゃんが話をしていた。
「かれんちゃんって細いし、可愛いですね!テレビで見た時よりもずっと可愛いです。」
「いえ、そんな事無いですよ~佳子さんのほうが可愛いですし。ナイスボディです。」
「そんなことないから(汗)最近どんどん食べる量が増えてきちゃって、縦にも横にもグングン大きくなってるからね。」
「そうなんですかあ。私もどんどん大きくなってきてるんですけど、上には上がいますね。」
「かれんちゃんも2mはあるんでしょ?自分よりも大きな人見るの久しぶりなんじゃない?」
「あっ、はい。2m4cmくらいだったかな。でもさっきも自分よりも大きな女の人見たんですよ。」
「えっ?そうなの?かれんちゃんよりも大きな女の人ってもしかして・・・」
そこで、福山が口を挟んだ。
「はいはい。そこまで。佳子さん座ってください。かれんも自分の席戻って。」
「はい!」
「は~い」


「それじゃ、改めて聞きます。身長、体重と自己紹介してください。」
「はい。田町佳子17歳。身長216cm、体重132kgです。でも測ったのがちょっと前なんで、もしかしたら
もうちょっと大きくなってるかもしれないです。GTS48に応募したのはこの長身を生かせると思ったのと、
私食べる量がものすごいんで少しでも食費を稼ごうかなと思ったからです。」
「そうなんですか。確かにこの応募書類にも食べる量のことがかいてありますけど・・・
これって本当なんですか?」
「もちろんです。そのくらいは食べないと食べた気にならないんです。」
「ほんとうに?いくら体が大きいといってもなあ。かれんもこのくらい食べるの?」
「いや、普通の女の子よりは食べますけどここまでは。せいぜい2人前食べれればいいとこですよ。」
「そうだよなあ。田町さんの食べる量は桁が違うからな。30人前は軽くあるんじゃ・・・」
「そのくらいはあると思いますよ。でも、これでもお腹いっぱい食べてるわけじゃないんですよ。」
「と言うと?」
「家で食べるときはやっぱり食費のことも気になりますし、お母さんが作るのも大変ですからね。
バイキングの店ではお腹いっぱいになる前にお店の人からもう勘弁して下さいっていわれるんですよ。
で、次からは出入り禁止になって。最近は安いメガ盛りの店で3、4杯くらい食べる感じが多いですかね。」
「メガ盛りって一杯で10人分ぐらい入ってる奴だよね。田町さんが本気出したらどのくらい食べれるの?」
「それが、自分でもわからないんですよ。どれだけ食べてもまだまだ食べれそうな気がしますし。
それにまだまだ体が成長してるんですけど、成長するに連れて食欲も増えてますし。
今の私だったら100人前くらいは行けそうな気がしますけど。」
「100人前!?マジで?そんなに食べれるんだったら、大食いタレント4、5人呼んできて彼らと
田町さん1人との大食い対決っていうのもいいかもしれないな。」
「たったの4、5人でいいんですか?10人ぐらい連れてきてもらったほうがいいかもしれないですよ。
私もお腹いっぱいでもう食べられないっていうまで食べてみたいんですよね。」
「う~ん。一回食べるところ見てみたいな。」
「食べるものさえ用意していただければいつでも食べますよ。なんなら今からでも。」
「いや、今からはちょっと時間がとれないな。ここのすぐそばに良い感じのバイキングの店があるんだけどね。」
「そうなんですか。じゃあちょっと帰りにおやつがてら食べていこうかな。」
「いいけど、出入り禁止にならないでよ。」
「大丈夫ですよ。あくまでおやつとして、セーブして食べますから。」
そこで、黙って聞いていたかれんが口を挟んだ。
「そんなにいっぱい食べてる割には太っていないですよね。」
「そうですか?結構お肉ついていますよ。あと筋肉質なのかもしれないですね。」
「いっぱいうんち出るんじゃないですか?」
かれんのその発言をきいて、ちょっと田町さんもえっと言うような表情をした。
言ったかれんの方も変なことを聞いてしまった事に気づいて顔を赤らめていた。
「まあ、やっぱりそれなりにはでますよ。気をつけてしないとすぐにつまらせることになっちゃいますから。
もしもGTS48として活動させてもらえることになったら、食事とトイレのことは考えて欲しいですね。」
「ごめんなさい。変なこと聞いちゃって。」
「いえいえ。やっぱり入ったら出ますからね。出なかったらおかしいですもんね。」
「でも実際ロケとか行ったら心配ではあるな。弁当も相当必要だし、仮設トイレじゃすぐにいっぱいになりそうだし。」
「そうなんですよね。弁当の量が少ないとお腹がなってしょうがないし、食べちゃうとトイレを詰まらせちゃうんです。」
「ま、そこらへんはなんとかなるでしょ。多分。」
「それならいいんですけど。おやつもいっぱいお願いします。」
「まあ、それは受かってからの話ですよ。ところで、大食い以外の特技とかあります?」
「そうですね。スポーツは得意ですよ。これだけ大きな体だとあまり動けない人が多いですが、結構動けます。」
「うん。スポーツ得意の人が多かったら、スポーツのチームを作ろうかなという考えもあるから結構いいですね。」
「それと、さっきも少し言いましたけどまだまだ身長が伸びてます。年に5cmは伸びてますね。」
「それはGTS48でやっていく上で重要なことですよ。あとGTS48では、身長を測ったり大きな事をネタにする
ことが結構あると思うんですけど、それについて抵抗は?」
「それは全然ないですね。私は長身なのが嫌じゃないですから。ただ、食べる量がどんどん増えるのが金銭的に
怖いものがありますけど。」
「そうだろうなあ。食費が普通の人の30倍はかかってるんだろうからね。あとは田町さんから質問あります?」
「あの、さっきから何回か話題に出てますけど食事とかってでるんですか?」
「それは田町さんの場合お腹いっぱいとまでは行かないだろうけど、それなりには出しますよ。
住むところとかもちろんトイレも含めてこっちで何とかしますよ。GTS48として活動することになればですけど。」
「それなら良かったです。それを聞いたらホッとしておなかすいてきちゃいました。」
「もしかして緊張して食べてこられなかったの?」
「はい。あまり食べられなかったんですよ。だってご飯だって5合しか食べられなかったし、目玉焼きも20個しか
食べられなかったし、いつもより相当少なかったです。」
「そうなんだ(汗)それじゃ、今日はこの辺にしましょうか。」
「今日はどうも有り難うございました。」
「いえ、こちらこそ。結果は後日郵送でお知らせします。お疲れ様でした。」
あいさつをすると田町佳子は来たときと同じようにドアを大きくくぐりながら出ていった。


「福山さん。田町さんの食べる量ってほんとなんですかね?」
「どうだろうな。いくら体が大きいといってもあの量は信じがたいものがあるな。ただ、そんな事で嘘をついても
彼女にとっていいことはあると思えないし。」
「そうですよねえ。あっ、そうだ!彼女バイキングの店に寄って行こうかなって言ってませんでした?
そこに行ってみてみてみるのはどうですか?」
「そうだな。ちょっと見てみたいな。でもかれんは目立つから俺一人で行ってくるよ。後でどうだったか教えてあげるから。」
「え~っ。まあ、仕方ないですけどね。じゃあここで待ってますよ。」
「よし。じゃあ行ってくる。」
田町佳子が出て行ってから約3分。
福山は慌てて佳子を追いかけた。
人ごみの中でも216cmの長身は上半身が飛び出しているのですぐに見つけることができた。
周りの人の注目を集めていても佳子は気にせずに目的地のお店へと一直線に歩いていた。
福山は気付かれないように後をつけていたが、足の長い佳子についていくためには走らなければならなかった。
お店の入り口をくぐりながらはいると、店員たちが驚いた様子で佳子を眺めていた。
福山はその様子を物陰から眺めていた。
そうすると、10分も立たないうちに
「お客様、申し訳ございませんがご遠慮いただいてもよろしいでしょうか・・・」
と店長から声をかけられている佳子の姿があった。
「あ~あ、こんなんじゃおやつにもならなかったよ~」
とつぶやきながら店をあとにする佳子。
福山はその食べっぷりに恐れを抱きながら事務所へと帰りかれんに報告するのであった。
「GTS48も相当売れないと彼女の食費で潰れるんじゃ・・・」
福山の不安は現実のものとなるのであろうか。