新人アイドル 大和亜季

「確か今日だったよな、他の事務所からアイドルが移籍してくるのって」
とある弱小芸能プロダクションの若手プロデューサー、鳥沢玲也(とりさわ・れいや)は、事務所のある古ぼけたビルの階段を登っていた。
「ちょっとプロフィール見せてもらったら、凄いスタイルがいい女性だっだなぁ…身長も俺と同じくらいだったし」
玲也は、事務所にあったそのアイドルのプロフィール欄を思い出していた。
なんでもサバイバルゲームとプラモデルが得意で、体力には自信があるとのことだったが…
「写真で見た笑顔も可愛らしかったし、売れててもおかしくなさそうだったけど…うちみたいな小さな事務所に来るってことは、何かしら理由があるのかな?」
そんなことを考えながら、玲也は事務所のドアを開けた。
「おはようございます!社長、移籍してくるアイドルの子って、もう………」
そこで、玲也の言葉が途切れた。
部屋の中に、見覚えのない人物の背中があったからだ。
グリーンの帽子に、迷彩柄のジャケットとデニムのジーンズ。
それだけなら漫画の軍人のような姿の大男といった感じだが、帽子の下から馬の尻尾のような一房の髪が出ていることと、大柄ながらも女性特有の丸みを帯びた身体つきであることから、玲也はようやく目の前の人物が女性であることが
わかった。
そんな突然の出会いに、茫然としていた玲也へ女性の奥にいる社長から声がかけられた。
「おお、早かったな鳥沢。彼女が今度移籍してきた大和亜季(やまと・あき)君だ」
社長の紹介に、目の前の女性が玲也に向けて振り返った。
プロフィールでは自分と同じくらいで162cmだったはずなのに、亜季の顔は間違いなく玲也の頭一つ以上高いところにある。
その亜季は、自分を見つめている玲也に向けてニッコリと微笑むと、自分の右手を額に近づけ敬礼をしてみせた。
「大和亜季と申します!鳥沢殿、これから宜しくお願い致します!」
思わずつられて微笑んでしまいそうな、明るく元気な挨拶と笑顔。
圧倒的な肉体と可愛いともいえる笑顔とのギャップに、玲也はただただ立ち尽くしてしまうしか出来なかった。

玲也は立ち尽くしながら、目の前の亜季を観察していた。
自分よりも20㎝以上は高い顔から目線を下げると、ちょうど自分の顔の高さにジャケットのボタンが付けられないぐらい盛り上がり、緑色のタンクトップを押し上げている爆乳が現れる。
プロフィールには92cmと書かれていたが、とてもそんな大きさでは収まらない、間違いなく軽く3桁はオーバーしている特大の膨らみ。
そこからさらに目線を下げると、タンクトップが爆乳に引っ張り上げられたため露になった、逞しい腹筋が目に入る。
一目見るだけで素人の玲也にも、その腹筋は凄まじいトレーニングによって作られたものだとわかった。
腹筋だけではない、腕も、太腿も、すべての筋肉のパーツが盛り上がり、程よい脂肪を纏った色気を持つアマゾネスボディを形成している。
「はははっ、鳥沢、いきなり初対面のアイドルに見とれているんじゃないぞ」
「えっ?…あ、あはは、そうですね社長。ええと、大和さんだったね。この事務所でプロデューサをしている鳥沢です、よろしくね」
「はい、よろしくお願い致します、鳥沢殿!」
にこにこ微笑みながら返される亜季の元気な声。
その元気さに困惑していると…
「さて、では大和君、担当の鳥沢との顔合わせも終わったことだし…次は予定通り潜在写真の撮影としよう。衣装に着替えて、撮影スタジオで待っててくれないか」
「…え?担当?」
助け舟とばかりに挟まれた社長の声に、聞いてなかった単語があって一瞬玲也は慌てるが、亜季はそれに気づかないかのように社長と玲也に一礼すると、部屋を出て行った。
「…社長、どういうことですか。俺が担当するだなんて聞いてなかったですし、そもそも大和さんの身体、プロフィールと全然違うじゃないですか!」
「いやぁ、すまんな鳥沢。初めは他の奴に担当させようと思っていたんだがな…ちょっと彼女が前の事務所でトラブルに巻き込まれててな…それでお前が適任だと思ったんだ」
「トラブルですか?」
「ああ…。さっき言ってた彼女のプロフィールだがな…あれは1年前、前の事務所に入った直後の彼女ものなんだよ」
「1年前!?じゃぁ彼女は、1年間であんなにも身体が成長したんですか!?」
プロフィール通りなら、彼女は今22歳のはずだ。
それなのに1年間で身長は20㎝以上、おまけにいくら体力自慢だったとしても、あのはち切れんばかりのグラマラスなマッスルボディに成長するのはおかしすぎる。
「実はな…元々彼女が所属してた事務所は、某大手事務所だったんだ。そこでとあるプロデューサーにスカウトされたそうなんだが…所属してすぐに、そのプロデューサーが他の担当アイドルと駆け落ちしてしまってな」
「か、駆け落ちですか!?」
「ああ。それも彼女にとって不幸だったんだが、更に不幸だったのが大和君のことが誰にも引継ぎされていなかったのと、駆け落ち間際にそのプロデューサーが彼女に言った『レッスンが始まるまで、しっかり体力を付けるために限界までトレーニングに励め』という言葉だったんだ」
「…そ、それじゃまさか、大和さんはその言葉を信じて…」
「ああ、1年間、事務所が提携しているジムで限界まで…というか限界を超えるトレーニングを積んでいたらしい」
社長の言葉に、玲也は冷静になれず声が出なかった。
逃げ出したプロデューサーの言葉を愚直に信じ、1年もの長い間終わりのないトレーニングを続けていた亜季を思うと、怒りや悲しみが混在した感情が頭の中に渦巻いた。
「1年たって、たまたま事務員が大和君が事務所に所属していることを発見したそうなんだが…彼女のあの肉体を見て、事務所はアイドルとして使えないと判断したんだ。そこでちょうど、アイドルを増やそうとしていたうちに連絡があってな」
「社長…相変わらずお人よしですね…」
「否定はせんがな。だがもちろん、情だけで移籍してもらったわけじゃないぞ。うちみたいな小さな事務所なら、彼女の個性を活かせるかと思ってな」
「まぁ、確かに個性的ではありますけど…」
そう言って、玲也は亜季の姿を思い出す。
軍人風の口調。
可愛らしい笑顔。
そして凄まじいまでの爆乳と筋肉美。
ここまで個性的なアイドルは、そうは多くないだろう。
「………はぁ、事情は分かりました。ところで社長、もう一つ質問なんですが…どうして俺が彼女の担当なんですか?」
「ああ、それか。さっき言っただろう、お前が適任だと思ったって。なんたってお前は俺に負けないぐらい、お人よしな人間だからな。彼女のこと話したら、断ろうだなんて思わないだろう?」
そんな社長の言葉に、玲也はまさにぐうの音も出ないという言葉の意味を心の底から実感してしまったのだった。

社長との会話を終え、玲也は事務所にある撮影スタジオへと向かった。
といってもそこは弱小プロダクション、ビルの中のガラクタ置き場ともいえる倉庫室の片隅に小さい撮影スペースがあり、そこで宣材写真など自分達で撮影できるようにしていた。
もっとも撮影専門のカメラマンがいるわけではないので、担当のプロデューサーがカメラマン役をやるのがこのプロダクションの決まりなのだが。
「大和さん、いますか?入りますよ?」
「はい、鳥沢殿、こちらは準備万端であります!」
「じゃぁ、入りますね」
ガチャ
ドアを開け、玲也が撮影スタジオに入ると、衣装を着替えた亜季が待ち構えていた。
(うわ…改めて見てみると…やっぱり凄いな…)
亜季の衣装は、迷彩柄のスポーツブラ風のタンクトップに、ホットパンツというものだった。
それだけならシンプルな衣装なのだが、その衣装を自分よりも20㎝以上は背が高い、180cmを優に超える亜季の逞しくも巨大な筋肉に覆われた肉体が、今にもはち切れんばかりに盛り上げている。
「大和さん、もしかして、サイズ合ってない?」
「はっ!一月程前にサイズを合わせたのですが、あれからまた少し成長していますので、特に胸のあたりが多少きついかと…。ですが身体に力を込めなければ、おそらく大丈夫かと思われます!」
そう言って亜季は胸を張り敬礼をしてみせると、その胸元からミチミチと布が悲鳴を上げる音が聞こえだした。
かなり厚手の生地で出来ている頑丈そうな衣装なのだが、亜季のパワー溢れる肉体にはなんとも心許ない作りに見えてしまう。
「そ、そう、それじゃとりあえず…破ける前に撮影始めようか」
いくら心配したところで、どうしようもない。
玲也は撮影が終わるまで衣装がもつことを祈りながら、撮影の準備を始めた。

「じゃぁ、撮り始めるので、カメラに向かって微笑んでー」
「こう…でありますか?」
玲也の向けたカメラに、亜季は直立したまま微笑みを向けて見せた。
しかし初めての撮影ということもあり、どうしても亜季の表情も仕草も硬さが目立ってしまう。
その後も、色々とポーズを決めて撮影を続けるが、やはり硬さが取れない。
(う~ん…やっぱりまだぎこちないなぁ。初めての撮影だしやっぱり緊張しちゃうか…)
「…よし、大和さん、一回休憩入れようか」
「…はい。申し訳ありません、鳥沢殿。こういった撮影は初めてで、上手くできなくて…」
さっきまでの元気のいい声はなく、明らかに亜季は落ち込んでしまっていた。
良くも悪くも、感情の分かりやすい性格である。
「…大和さん、落ち込まない落ち込まない!」
むにっ
「ふえっ!?」
玲也の両手が、亜季の両頬を優しく摘まんだ。
思いの外柔らかい感触にちょっと驚きつつも、むにむにと優しくマッサージするかのように揉み続ける。
「ひょりさわどにょ!?」
「顔が強張っちゃってるよ。そんなに緊張しないで、自然でいいんだよ。大和さんは自然にしているだけで可愛いんだから。分かった?」
「ふぁ、ふぁい…」
突然顔をマッサージされ、さらに可愛いと褒められたことで、亜季の顔は一気に真っ赤になった。
逞しい、格好いいと言われたことはあったが、可愛いと言われたのは久しくなかった。
そんな茹蛸のようになりながらも頷いた亜季を見て、玲也はゆっくりと手を離した。
が、それだけで終わらず、今度は右手を亜季の頭に伸ばした。
なでなで…
身長差もあり、更に前方に飛び出す爆乳のため近づきすぎることも出来ないため、少し伸び上がりながら頭を優しく撫でた。
「と、と、と、鳥沢殿!?」
「えーと…どうかな、元気出た?昔、泣き出した妹にこうやったら、すぐに泣き止んで元気になったんだけど…」
「あっ……はい…元気になったで…あります…」
玲也に撫でられながら、少しぼーっとした表情で亜季が答える。
「まぁ、初めてなんだから仕方がないよ。でも、そうだなぁ…まずはリラックスしないといけないな。大和さん、普段やっていることで、楽しいことってある?」
亜季を元気にさせるよう、少し無理やり気味ながら、笑顔を浮かべて玲也は問いかけた。
(鳥沢殿…やっぱりとても優しい方であります…)
上手く撮影をこなすことの出来ないを自分を叱るわけでもなく、優しく話しかけくれる玲也。
そんな玲也に、亜季はプロデューサーに対して信頼だけでなく、他の感情が芽生えだしてきていた。
「大和さん?」
「あ、楽しいことでありますか?そうですね………」
玲也の質問に、まだ少しぼーっとしながらも亜季はあごに手を当てて考え始める。
そして視線を部屋中に向けると、その視線が一点で止まった。
「鳥沢殿、あそこに積んである物を使ってもよろしいですか?」
亜季の視線の先にある物、それは部屋の隅に乱雑に置かれている、ドラム缶やダンベルなどだった。

「鳥沢殿、本当にこれらは自由にしてよろしいのでしょうか?」
「ああ、この辺のはいつからあるのかも分からないガラクタで、社長も処分したいけど重いし大変だからって放置してたんだよ」
積まれた鉄のガラクタ置き場を指さして、玲也が説明する。
説明通り、誰が何時準備したか分からないが、昔から積まれていて邪魔とは思いつつも処分に困っていた物の集まりだった。
「そうでしたか…でしたら、破壊してしまってもよろしいですね」
「え?」
亜季から突然言われた物騒な言葉に、玲也は何とも間抜けな声を上げてしまった。
「実はその…最近トレーニングで成長したこの身体で、丈夫な物を破壊することが楽しみになっておりまして…」
そう言って、亜紀は無造作に床に置かれているダンベルに手を伸ばした。
何の変哲もない、両サイドに丸い球が付いている10㎏のダンベルだ。
亜季は、その球の部分を両手で持つと…
「見ていて下さい!これが最強のアイドルになるためにトレーニングで身に着けた、私の力です!」
メキメキメキ…
ダンベルの球の部分に、亜季の手がいとも簡単にめり込んでいく。
鉄の塊に指がめり込むとは、いったいどれだけの握力で握り込まれたのだろうか。
そして、
…ブチンッ
握り込んで変形したダンベルに濡れ雑巾を絞るかのように少し捻る動きを加えると、ダンベルだった物はメキメキと音を立てながら捻じれていき、あっさりと捻じ切れてしまった。
「どうでありますか、鳥沢殿!最強のアイドルになるため、1年間みっちりとトレーニングを積んできた私にとっては、ダンベルを捻じ切ることなど些細なことであります!」
捻じ切れて2本の鉄の棒と化したダンベルの残骸を両手に持ちながら、亜季は最高の笑顔を玲也に向けた。
うん、可愛い。
まさにこれこそアイドルという、可愛らしい笑顔だ。
問題は、その顔から下に、つい先ほどダンベルを無造作に捻じ切った凄まじいパワーと、これまでのグラビアアイドルを遥かに上回るグラマラスな色気を持つ肉体があるということだ。
更に言えば、今ダンベルを破壊した時、亜季の身に着ける衣服は特に悲鳴を上げていなかった。
つまりさっきの亜季の行動は、さほど力を込めなくても出来る、お遊び程度の怪力アピールでしかないというわけだ。
そんな亜季の姿を、玲也は唖然と見続けるしかできなかった。
「鳥沢殿?ど、どうかされましたか!?」
ただただ立ち尽くしている玲也の姿に不安を感じたのか、亜季は慌てて玲也に近づいた。
たぷんっっ
20㎝を超える身長差から、砲弾のように前方に突き出された巨大な膨らみが、玲也の目の前でド迫力で動いてみせる。
当然、鉄製のダンベルを易々と捻じ切った桁違いの筋肉に覆われた肉体も、玲也の目の前に近づいてくる。
亜季がただ近づいただけで、その肉体の圧倒的な迫力に、気圧されてしまいそうになる。
それでも玲也は、どうにかへたり込むことだけは堪えて亜季の顔を見上げた。
「だ、大丈夫。大和さんのパワーがあまりにもすごいから、つい見惚れちゃったよ」
「見惚れて…ですか?その、私のパワーにですか?」
「ああ。ダンベルをあんなにも簡単に捻じ切っちゃう人、初めて見た。それにその、パワーもそうだけど…大和さんの身体も凄すぎるから…」
そこで亜季は、説明する玲也の視線が自分の巨大な胸に向いていることに気が付いた。
「あの、鳥沢殿…そんなにじっくり見られると…」
「あっ!?ご、ごめん、大和さん。こんな風に見るの、失礼だよな」
自分がマジマジと亜季を見てしまっていることに気が付いて、玲也は慌てて顔を背けた。
(しまったなぁ…こんな目の前で、ハッキリと分かるぐらい胸を見つめたら…こりゃ嫌われちゃったよなぁ…)
「鳥沢殿は………私の身体が怖くはないのでありますか?」
「えっ?怖く?」
「はい…鳥沢殿よりも身長は20cmは高いですし、腕も太腿も1.5倍は太い筋肉で覆われております。それに恐らくご存じかとは思いますが…先程のダンベルを捻じ切ったのも、特別力を入れておりません」
予想はしていたが、やはり力も入れずに捻じ切っていたらしい。
実際に本人の口から言われたことで、亜季のパワーの凄まじさを改めて実感してしまう。
そしてそれを知ったことで、玲也は自分の感情が妙に高まっていることを自覚した。
これは決して恐怖ではない。
恐怖というよりも…むしろ好意といえる感情だろう。
「怖くはないよ。それどころか…うん、尊敬してる」
「尊敬、でありますか?」
「ああ、大和さんの1年前のプロフィール見せてもらったけど、この1年でそんなにも凄い身体になったんだろう」
身長162cm
体重51㎏
バスト92cm
ウエスト60cm
ヒップ85cm
1年前の亜季のデータは、グラビアアイドルとしてすぐにでも活躍できそうな素晴らしいプロポーションだった。
「えっと…今のサイズ教えてもらっていいかな?」
「はい、1月ほど前に測ったものですが…」
身長185cm
体重98㎏
バスト135cm
ウエスト80cm
ヒップ110cm
1年で身長が23cm、体重が47㎏増えている。
が、太っているという印象は全くなく、鍛え上げられた筋肉をうっすらと脂肪が覆う、逞しさと色気を纏うアマゾネスボディとなっている。
「あの、実際はそのデータで作った今の衣装がキツ過ぎますので…特に胸とお尻は、さらに成長しているかと思われます…」
恥ずかしながらも、玲也の質問には正直に答えようと顔を赤くしながら亜季は答えた。
「そうか…つまりそれだけ、一生懸命トレーニングしたってことだよね。だったら大和さんの身体を、尊敬することはあっても怖がることは無いよ」
いったいどれだけのトレーニングを積めば、こんな肉体を作る事が出来るのだろう。
それを実現させた亜季の才能と努力をする忍耐力に対し、玲也は心の底か尊敬した。
それに…
「あと、尊敬してるだけじゃなくて…あー初対面の、しかもこれから担当するアイドルに言うべき言葉じゃないけど…大和さんの顔も、身体も、怪力も、性格も…全部纏めて、好きになった」
「…ええっ!?と、鳥沢殿!?今私のことを、好きだと…でも、そんな、私のような者を好きなど…」
驚きから、顔を赤くしながら動揺を隠せず、慌てふためいてしまっている。
そんな亜季に、玲也はまたゆっくりと背伸びするようにして右手を亜季の頭へと伸ばした。
なでなで…
「あ………」
「大和さん、落ち着いた?」
「はい…落ち着きましたで…あります…」
無敵の軍人アイドルも、玲也のなでなで攻撃には弱いらしい。
慌てていたのが嘘のように静かに、トロンとした眼で玲也を見下ろしている。
「よかった。まぁ、そんな意外とすぐにてんぱっちゃうところも可愛いと思ったんだけどね」
「うー……なんだか鳥沢殿に、いいように弄ばれているような気がします…」
「弄んでるって…人聞きが悪いなぁ」
そんな会話をして、二人は同時に笑った。
この瞬間、二人は心の底から打ち解けあえた気がした。
「…鳥沢殿、私の方からもお伝えしてよろしいですか」
「え?伝えるって?」
「その…私も鳥沢殿こと、だ、だ、だ、大好きです!」
亜季の言葉に、今度は玲也が驚く番だった。
「ジムでトレーニングしていても誰も近づいてこないような私の身体を好きだと言ってくれましたし、なにより優しくて、とても格好良くて…」
「そんな、格好いいなんてことないだろ…」
「いいえ!鳥沢殿はとても格好いいです!」
「あ、ありがとう、嬉しいよ大和さん…」
一生懸命自分を褒めてくれる亜季に、玲也はついつい苦笑を浮かべつつも、嬉しそうに答えた。
「それで、鳥沢殿、一つお聞きしたいのですが…」
「ん?」
「私の怪力も好きだということでしたが、本当ですか?」
「…うん、さっき大和さんが目の前でダンベルを捻じ切ったのを見て、なんだかドキドキが止まらなかったんだ。驚いただけじゃなくて、もっと凄い大和さんの怪力が見たいって思えて…」
「そうですか!でしたら、途中でしたが私の怪力ショーの続き、堪能して下さい!」
亜季は最高の笑顔でそう言うと、ガラクタ置き場へと向かって行った。