アマゾネスな妹達 03

「おーい、夏輝、麻雪、入るぞー」
 これまでガッチリと鍵がかけられ、入ることができなかった家の地下にある部屋の入り口から声を掛けると、その重々しいドアをどうにか引き開けた。
 「へー、こんな造りになってたのか…」
 想像していた以上に広いその部屋は、4m程の高さと、50畳ぐらいはある広さを誇っていた。
 そこには、極太のチェーンのような物や信じられない重量まで準備できそうなバーベルセットなど、色々な物が置かれている。
 そして部屋には、今入ってきたドアとは別に4つドアが壁にあり、それぞれに2人の名前とバスルームと書かれている。
 まぁ、あれだけの巨体を持つ二人が生活するわけだから、これぐらいの広さと高さが必要になるだろう。
 そんなことをボーっと考えていると、2人の部屋のドアが同時に開いた。
 「やっほー、悠にぃ。お待たせ!」
 「悠おにいちゃん、お待たせしました」
 ズズンッという音が聞こえてきそうな重量感ある動きで、2人はゆっくりと俺に向かって歩いてくる。
 俺は2人の姿の変化に、つい息をのんでしまった。
 ついさっきまでの、タンクトップにホットパンツ、それにスポーツキャップというスポーティーな恰好が、2人とも同じデザインで色違いの、より露出の高いビキニへと衣装が変わっていたのだ。
 身長160cmの俺が正面で向き合うと、おへそぐらいまでにしか届かいない超巨体。
 凶暴なまでに筋肉が盛り上がる腕や、巨木を想像させるムキムキの脚、クッキリと深く割れた腹筋など、一つ一つのパーツがこれまで見たこともないぐらい盛り上がる筋肉ボディ。
 そして面積の少ないビキニに覆われた爆乳は、つい先ほど頭以外の俺の上半身を飲み込んでしまったのだから、片方だけでも直径60cmはあるはずだ。
 「2人とも、その恰好…」
 「えへへ…どうかな悠にぃ、私達の身体」
 青いビキニに身を包んだ夏輝は、少し頬を赤らめながらも、その逞しく巨大な肉体を見せつけるかのように、俺の目の前で両腕の盛り上がりを強調するダブルバイセップスのポーズを取った。
 ムキッムキキッッッ!!
 リラックスしても120cmは優に超えているように見えた上腕二頭筋が、倍近い太さにまで盛り上がっていく。
 「世界一のボディビルダーも私達に比べたら…きっととても可愛く見えてしまいますね」
 夏輝の横で、白いビキニを着た麻雪もまた、頬を赤らめつつ同じポーズをとってその肉体を俺に見せつけてくる。
 巨大爆乳筋肉美少女姉妹
 改めて見せつけられた規格外の肉体を持つ妹達の姿に、俺はただ2人を見つめることしかできない。
 「こんな凄い身体、これまで見たことないでしょ?でも悠にぃ…」
 呆然とする俺に、ポージングを解いて身体を屈めた夏輝が、さっきまでの明るい声を潜めて神妙な声音で語り掛けてきた。
 バランスボールを2つ付けたような巨大さを誇る爆乳が、俺の目の前でブルンッと豪快に揺れる。
 少し本気を出して振り下ろせば、俺ぐらいなら片方の胸で簡単に潰してしまえそうなほどの巨大さだ。
 「…この身体でも、まだ全力じゃないって言ったら…悠おにいちゃん、私達のこと嫌いになりますか?」
 夏輝と同じく、麻雪もまた身を屈め、その爆乳を俺の目の前で揺すって見せる。
 妹にはなったが、血の繋がっていない女の子達が、まるで誘惑するかのように巨大な胸を見せつけてくる。
 そんな恋愛ゲームのようなシチュエーション(まぁ、こんな肉体を持つキャラクターが出るゲームはまず無いだろうが)に、自分でも顔が真っ赤になっていることが分かるぐらい動揺したところで、麻雪の最後の言葉の違和感に気付いた。
 「………全力じゃない?」
 確かに今、そう言ったはずだ。
 「はい。今の私達の身長は250cmぐらい、体重は…2000㎏ぐらいあります」
 …250cm?2000㎏?
 俺は麻雪が言った途方もない数字に、声を上げることも出来ない。
 「でも悠おにいちゃん、250cmもあるからといって、2000㎏は重すぎるように感じませんか?」
 …正直、想像外の数字のオンパレードのため、かなり麻痺してきていたところがある。
 ただ冷静に考えると、いくら2人の肉体が凄まじいからといって、体重はせいぜい500㎏ぐらいではないだろうか?
 「だから悠にぃ、私達、これでも筋肉を抑え込んでるんだよ」
 怯えるような目で、夏輝が俺を見ながら話してくる。
 「悠にぃ…私達が本気で力を込めたら、もっとすごい身体になるの。悠にぃは今よりも凄い化け物みたいな身体の妹でも…嫌いにならないでいてくれる?」
 夏輝が言い終わると、2人は無言のまま、泣きたくなるのをこらえるようにして、それでも目の端に涙をうっすらと浮かべながら、俺を見下ろしている。
 正直、恐ろしさを感じていた。
 いまでさえ自分の常識から掛け離れた肉体を持つ2人なのに、本気になるとこれ以上になるなんて。
 だが、首が痛くなるぐらい見上げなければならない程巨体なのに、まるで捨てられることを恐れる子犬のように可愛らしい表情を曇らせている2人の姿に、俺は気を取り戻した。
 …そうだ、ついさっき、俺は2人を妹として迎え入れるって決めたんじゃないか。
 一度深呼吸をしてから、2人に目を向ける。
 「…夏輝、麻雪、2人がどんな凄い身体だったとしても、俺は受け入れるよ。その…確かに初めは驚いてしまうかもしれないけど…嫌いになんかならない。そして2人をもっと好きになれるように頑張るから」
 自分の思いを正しく伝えられるよう一言一句、ゆっくりと話した。
 「悠にぃ…」
 「悠おにいちゃん…」
 2人の表情が、それまでの沈んでいたものから、一気に飛び切りの笑顔へと変わる。
 きっと心底悩んでいたのだろう、嫌われるということは、俺が想像していた以上に2人にとっては過酷なことだったようだ。
 「で、でもほら、そんな凄い凄いって言ってハードル上げてると、全然驚かないかもしれないぞ。なんてったって今日は、初めてお前達を見た時から驚きっぱなしなんだから」
 そんな2人を安心させようと、俺は少しおどけたような口調でそう言った。
 「あ、言ったなぁ悠にぃ!だったら100%の身体で、思いっきり驚かせてやるんだから!ねぇ、麻雪」
 「ええ、悠おにいちゃんが気絶してしまうぐらい、驚かせてあげます!」
 2人も緊張が解けたのか、まさに美少女という可愛らしい笑みを浮かべて俺を見た後、うんと頷くと大きく息を吸い込んだ。
 そして………
 「「……はぁっ!!!!!」」
 可愛らしい掛け声とともに、その変化は始まった。
 ムギュムギュムギュムギュムギュ………
 全身の筋肉が、擦り合うような音をたてながら盛り上がっていく。
 リラックスしていても120cmを軽く超えていた腕が、メロンのような盛り上がりを見せる筋肉に覆われて、200cmを超える太さへと変化する。
 ただでさえ公園のベンチぐらいなら一瞬で真っ二つにしてしまいそうだった巨尻も、分厚い筋肉を纏いながら巨大化していく。
 太腿に至っては、巨木のようだったものが、片脚だけでも300cmを優に超えるサイズへと変わり、俺一人では抱えきれないような太さとなってしまった。
 そして直径60cmはありそうだったバランスボールサイズの爆乳は、更に2回りはサイズアップした途方もないサイズへと成長しただけでなく、どれだけの破壊力があるのかもわからない、筋肉の塊へと変貌していく。
 それだけではない。
 筋肉のパンプアップだけでなく、身長もただでさえ見上げるような巨体だったものがグングンと伸びていく。
 見上げる角度からすると…50cmは伸びたのではないだろうか。
 「…悠にぃ、どう?驚いた?」
 「…これが私達、悠おにいちゃんの妹達の、本気の身体です!」
 どうやら身に着けていたビキニは伸縮性に富んだ特別製な物のようで、2人が本気の身体になってもどうにか破けずにすんでいる。
 2人は少し前屈みになり、その巨大な筋肉バストを強調するかのように俺の頭の上でユッサユッサと見せつけてきた。
 ついさっきまで、世界一のモンスターボディだと思っていた妹達の肉体が、よりパンプアップした超アマゾネスボディへと変貌した。
 その肉体のあまりの迫力に、俺は悲鳴だか何だかわからない声を上げそうになった。
 足の震えが止まらず、その場でへたり込みそうになる。
 それでもどうにか踏みとどまった。
 「むぅ、声も出したり腰を抜かしたりしないなんて…悠にぃ、やるなぁ」
 「でしたら…悠おにぃちゃん、今度はあれで驚かせてあげますね♪」
 そう言って、麻雪は部屋に置かれている巨大なバーベルセットへと向かった。
 それはあまりにも巨大だった。
 近寄ってラックに掛かっているプレートを見てみると、どれも直径70cm以上、厚さも5cmを超えていた。
 側面には、大きく200kgという数字が書かれている。
 …………200㎏?
 確かに俺がこれまで見たことのあるプレートと比べると、冗談のように巨大な代物だ
 でも何かの間違いではないだろうか?
 これ一枚で、体重50㎏の俺の約4人分の重さがあるなんて。
 しかもこのプレートが、このラックには50枚掛けられている。
 合計で10000㎏、つまりプレートだけで10tの重さになり、更にこのプレートを通す超重量のシャフトがあるわけだから…10tを優に超えてくるわけだ。
 「麻雪、お前達、こんなの使ってトレーニングしてるのか?」
 「ふふっ、悠おにいちゃん、このバーベルセットは私達が昔使っていたもので、今はトレーニング用ではないですよ」
 俺に向けて、にっこりと優しく微笑みながら、麻雪はラックに置かれているプレートに手をかける。
 「全部合わせてもたった10tしかないんですから、今の私達には少々軽すぎるんです」
 麻雪は、ラックからプレートを取り出した。
 え?10t…しかない?
 信じられない言葉だが、その言葉が真実だと示すように、麻雪はたいした重さも感じていない素振りで軽々とプレートを扱っている。
 そしてラックから3枚のプレートを取り出すと、表記通りならば合計600㎏になるプレートを重ね合わせ、その縁に手を掛けた。
 「ですから悠おにいちゃん、今日はこの器具を使って、私達の怪力ショーをお見せしますね」
 メキメキメキメキッッ!!
 そう言って麻雪は、まるで薄い紙でも千切るかのように、重ねたプレートを重々しい音を立てながら、笑顔のまま腕力だけで引き千切ってしまった。