アマゾネスな妹達 02

「とりあえずこれを見てくれ」
 そう言って父が差し出したのは、1枚の写真だった。
 そこに写っていたのは3人の女性。
 全て俺の見覚えのある人達だ。
 
 「オヤジ、これ…」
 「…3年前の物だ。夏輝と麻雪、それから式絵(しきえ)…」
 白い壁に囲まれた病室のベッドの上に、身を寄せて写真に写る3人。
 今のモンスターボディからは想像できない、触るだけでも折れてしまいそうなぐらい病弱に見える夏輝と麻雪に挟まれた格好で、式絵母さんが優しく微笑んでいた。
 
 「悠俊、式絵の病気がどんなものだったか憶えているか?」
 親父の問いかけに、忘れ出していた記憶を掘り起こしていく。
 詳しくは分からなかったが、確か全身の筋肉が徐々に衰えていき、最後には呼吸もできなくなるというものだ。
 数百万人に一人の確率で発病するらしいその病気は、当時は治療法が全く無く、ただただゆっくりと最期を看取ることしかできなかったはずだ。
 発病前は近所でも評判の元気な奥さまだった母さんが、日に日に弱っていく姿を見ることは辛かったが、それでも母さんは最後まで気丈に振舞い、俺もなるべく寂しさを出さないようにして最後の日まで会うようにした。
 俺と父の二人に見送られた母さんは、まるでこれまでが幸せだったかのように笑顔を浮かべて静かに息を引き取った。
 その表情に、俺達残された家族はずいぶん救われたものだ。
 
 「まぁ、大体そんな病気だ。…そして夏輝と麻雪もまた、式絵と同じ病気だった」
 「なに!?」
 俺は自分を挟むようにソファーに座る、夏輝と麻雪を交互に見た。
 二人は薄らと目に涙を浮かべ、悲しみの表情で俺を見ている。
 「あのね悠にぃ、私達、元々孤児だったんだよ」
 どうにか場を明るくしようとしているのか、涙声を必死に抑えて夏輝が声を上げる。
 「たまたま親切な施設に入ることができたから、生きていくことはできたけどね。…でも4年前、式絵ちゃんと同じ病気に…私達2人も…かかっちゃたんだ…」
 目に浮かぶ涙はさらに増え、それをこぼさないよう必死にこらえていたが、徐々に言葉が詰まってくる。
 するとその言葉を引き継いで、今度は麻雪が口を開いた。
 「…施設にいた私達には、入院する費用すらありませんでした。ですから迷惑を掛けるぐらいなら、いっそ自分達で最期を決めようと…夏輝と話し合ったこともありました…」
 夏輝とは違い、あくまで冷静に、悲しみを押し殺して麻雪は話す。
 必死に冷静にいようとしているのだろうが、膝に置かれた拳は小刻みに揺れて、心の動揺を露わにしてしまっている。
 「その時なんだよ、俺が2人を養子にしたのは」
 「オヤジ?」
 「あの頃の俺は、式絵を直す為なら何でもするつもりだったからな。施設のお偉いさんを説得して、2人を養子として引き取ることにしたんだ。…表向きはな」
 表向き?
 明らかにキナ臭い言い回しだ。
 「…俺は2人を実験台にしたんだよ。式絵に使っても大丈夫な薬を作るために」
 
 
 「…どういうことだよ、それは」
 「仕方なかったんだ。試薬を使うのに、赤の他人で実験することに対して、少なからず周りからの抵抗があった。そこで表面上だけでも、家族に使うという、少しでも批判をかわす建前が欲しかった」
 だからって、それで実験台扱いか…
 「わかってる、俺がやったことは非人道的なことだ。式絵を救うために、2人を実験台にしたんだからな。しかもその薬のせいで、2人の身体はそんな風になっちまった…」
 
 「「それでも!」」
 突然、俺の両側から声がかかった。
 「嬉しかったです…。もう生きる気力もなくなっていた自分達に、父さまが生きる可能性を与えてくれたことが…」
 「初めて…本当の家族が出来た気がした。式絵ちゃんも本当優しかったし、パパも実験の時以外はいつも気を使ってくれたし…。それに…」
 両側に座る2人の手が、俺の手に重ねられる。
 その感触は凄まじいまでの身体つきからは想像できないぐらい柔らかくて、2人が自分と同じ年齢の女の子だということを再確認させる。
 「「悠にぃ(おにいちゃん)にも会えたから…」」
 顔を真っ赤にした2人は本当に可愛くて、俺はその顔を見ただけで2人が生きることが出来たことが嬉しくなった。
 
 「式絵ちゃんがね、口はちょっと悪いけどとっても優しい人だから、妹が出来ること喜んでくれるはずだって言ってた」
 そう言って夏輝が身体を寄せてくる。
 すると先程俺の頭を押し潰しかけた規格外のサイズを誇るバストが、上半身を易々と飲み込んでいく。
 今度は上手く力の加減をしてくれているのか、痛みはない。ただ相変わらずそのムチムチの乳圧は尋常ではなく、息苦しさは感じてしまう。
 「こんな身体の私達を見ても化物扱いしないで、横に座っても逃げたりしなかった…やっぱり悠おにいちゃんは、私達が思ってた通り優しい人でした…」
 今度は反対側から、こちらも大きすぎる麻雪のバストが俺の頭以外の上半身を包もうとしてくる。
 夏輝の胸を少し押し返すと、ちょうど測ったかのように半分づつ、2人の胸の谷間に俺の上半身が飲み込まれる。
 俺はその爆乳の隙間の中で、じっと2人が解放してくれるのを待った。
 2人が危害を加えるつもりがないのはもうわかったし、今は2人の気持ちを受け止めてあげることが重要だと思ったからだ。
 やがて満足したのか、2人はゆっくりと身体を離し、俺を解放してくれた。
 改めて2人を交互に見ると、顔を真っ赤にしながら何かを期待するような表情で俺のことを見詰めている。
 全く、こんな表情までされたら、男として認めないわけにはいかないだろう。
 「………わかったよ。2人のこと、妹だって認める。………よろしくな、夏輝、麻雪」
 「「うん!よろしくね、悠にぃ(おにいちゃん)!!」」
 眩しいぐらいの笑顔を浮かべて答える2人に、俺は精いっぱいの笑顔を返してやった。
 
 
 「…それでオヤジ、その薬じゃやっぱり母さんは救えなかったのか?」
 俺達のやり取りを見ていて、なんとも言えないような嬉しそうな表情を浮かべていた父は、俺の質問を聞くとまた真面目な顔を見せた。
 
 「…ああ。出来れば使いたかったが、式絵の体力じゃ間違いなく身体が持たなかった」
 聞けば2人の妹達も、薬が投与されてから1週間地獄のような痛みが止まらなかったそうだ。
 「まぁ、本来は筋肉に作用して病気を治すだけで終わるはずだったんだけどな…なぜか副作用で筋肉以外の細胞、身体全身に影響が出て、急成長が起きてしまったわけだ」
 「悠おにいちゃん、だから私達の身体は、もう細胞レベルで普通の人達とは違うんです」
 「え?」
 「そうですね…あ、あれを使って証拠をお見せしますね」
 麻雪がそう言ってニッコリと微笑んでから立ち上がると、部屋の隅へと向かって歩いて行った。
 そこに置かれていたのは、父が身体を鍛えるためだと言って持ち込んだくせに、使われている場面は1度も見たことの無い、10㎏のダンベルだった。
 「これはどこにでもある、普通のダンベルですけど…よく見ていてください」
 胸の前で、ダンベルの両側を掌で挟むように構える。
 「悠おにいちゃん、私がこれからこのダンベルをどうするか分かりますか?」
 さっきと変わらず可愛らしい笑みを浮かべながら、麻雪が聞いてくる。
 もちろん、ある程度想像することはできる。
 だが、どんなに身体を鍛えたとはいえ、普通の人間があんなことを出来るわけがない。
 答えを出せずにいる俺に、麻雪は悪戯っぽくウインクをすると、
 ミリッッッ
 一瞬にして、その掌を閉じてしまった。
 普通にしているだけでも120㎝は優に超えるであろう腕回りの筋肉には、特に力を込められた感じはない。
 それなのにまるで紙風船を潰すがごとく、一瞬でダンベルだった物は姿を消してしまった。
 大きな麻雪の掌から溢れるように広がっている鈍い色の薄板を見ると、それがトリックなどではなくただ純粋な力だけで作られたダンベルのなれの果てだということが分かる。
 「どうですか?どんなに人間が身体を鍛えても、こんなこと出来ないですよね?」
 ゆっくりと麻雪に差し出された物を持つと、その重さから改めてそれがダンベルだった物だということが確認できた。
 
 「あ、麻雪だけずる~い!私も悠にぃに凄いとこ見せる!」
 今度は夏輝が隣から立ち上がると、麻雪と同じように置かれていた10㎏のダンベルを拾い上げた。
 「麻雪と同じじゃつまらないよね?だったら………そうだ!」
 名案を思いついたとばかりに俺に向かって微笑むと、おもむろにダンベルを巨大な胸が作り上げる谷間へと押し込んだ。
 俺の上半身すら易々と飲み込んだクレバスにとってダンベルなどちっぽけな物で、あっという間に外から見えなくなってしまう。
 「それじゃ悠にぃ、第2問!これから私がすること、わかるかな♪」
 ニコニコと微笑みながら、夏輝は俺を見下ろしている。
 ここまでされて、やりたいことが分からないわけがない。
 でもしかし、そんなことが本当にできるのだろうか?
 答えに詰まる俺に満足げな視線を向けると、夏輝は自分の胸をムチムキな上腕で挟みこんだ。
 「正解は…おっぱいプレスでした!」
 メリリリリッッ
 逞しい上腕に挟まれ厭らしく変形した爆乳の中から、すり潰される鉄の異音が漏れてくる。
 「んんっ…こんなことも普通の人間には…出来ないよね?さぁ、確かめて見て♪」
 グッと身体を前に倒してくると、爆乳が目の前に突き出される。
 俺は恐る恐るその谷間に手を伸ばし、中からつい先程までダンベルだった薄板を取り出した。
 先程麻雪に作られた薄板と同じ重さが、反対の手にもかかっていることが分かる。
 2人の身体は、筋肉どころか、柔らかいはずのムチムチの爆乳まで常識外れの破壊力を誇っていた。
 まさに全身凶器の、アマゾネスシスターズだ。
 「悠おにいちゃん、私も夏輝も、これでも全然本気じゃないんですよ♪」
 「本気の私達は、今度じっくり見せてあげるから…その時はよろしくね、悠にぃ♪」
 両手にずっしりかかる鉄板の重さを感じながら、身を屈め両側から俺の頬にキスをする2人のアマゾネスに、俺はただただ呆然とすることしかできなかった。