アマゾネスな妹達
「悠俊(ゆうしゅん)、お前に話があるんだ」
学校から帰ってきた俺を、珍しく早く家に帰ってきていた父は急にリビングに呼び寄せた。
製薬会社に勤めている父は何日も家を空けることなど当り前で、下手すると1カ月以上帰ってこないこともある。
だから俺は、2年前にもともと病弱だった母が病気で亡くなってからは一人で家で過ごすことが増えたため、今では完全に一人暮らしに慣れきってしまっていた。
「今度はなんだオヤジ。また引っ越しでもしようって言うのか?」
ソファに座りながら真剣な表情で僕をみつめる父に、少し皮肉をこめて言い返した。
息子の俺から見てもかなり変わった性格の父は、時折真剣な表情でとんでもないことを言い出すことがある。
つい先日も、それまで暮らしてきていた家を急に引っ越すと言い出し、男の二人暮らしなのにこの新築の賃貸住宅へと引っ越すこととなった。
天井も高く、二階建てで地下室まである豪華な造り。
部屋も廊下もゆったりとしたスペースがあり、リビングの上は吹き抜けになっていて、普通なら6人家族でも余裕を持って生活できそうなほどの部屋数もある豪華な家だ。
さらに家財道具一式がすでに付いているという、ここまで来ると何か裏があるのではと疑いたくなるような家だが、父はどういうツテでか驚くほど安い賃料ですでに契約をすましていて、結局わけもわからないうちに引っ越すこととなった。
家事の一切を取り仕切る俺からすれば、無駄に広い家など掃除の負担が増えるだけで迷惑なことこのうえないのだが、引っ越してしまった以上、もはやどうしようもないことだ。
「実はな、今度お前に妹ができることになった」
「…………え?」
心の中で自分の聞き間違いであってくれと祈りながら、俺は頭の上に特大の?マークを浮かべつつ聞き返した。
今確か、妹ができると言われた気がする。
普通はそんな簡単にできるようなものではないはずだ。
というか母が亡くなってから3年たつが、いきなり妹だなんて…って、それってもしかして、
「オヤジ、あんた再婚する気…」
「ああ、違う違う」
下手な役者のようにわざとらしくブンブンと顔の前で手を振りながら、父は俺の言葉を遮った。
「実はな、今度女の子を引き取ることにしたんだ。いわゆる養子ってやつだな。それで、年はお前と一緒だけど生まれはお前の方が早いから、妹になるわけだが…」
「ちょっと待て、なんで養子なんて取るんだ?いくら変ってるオヤジでも、やることに限度があるだろ!実の子の俺がいるのに、いきなり養子をとるっていったい何考えてんだ!」
俺の怒りはおかしいだろうか?少なくてもいきなり何の相談もなく養子をとると言われたら、こんな反応をとるのは当然なはずだ。
「…まぁ、お前が怒るのもわかるがな…訳は彼女達が来てから話す。そろそろ来る時間だしな…」
ピンポーン
まるでリアリティの無いドラマのように、酷いぐらいぴったりなタイミングで玄関のチャイムが鳴った。
父を見ると、首だけ動かして『玄関行ってこい』の仕草をしている。
それを見て、一瞬顔面に一撃を喰らわせてやろうかとも思ったけど、それをしたところですでに未確認妹は家のチャイムを鳴らしているのだから、何の解決にもならないだろう。
俺は諦めて無駄に広い廊下を抜け玄関に出ると(その時父は、ニシシシと声を出して笑っていた。おい…)、250cmというこちらも無駄にでかい玄関のドアを押し開けた。
ドアを開けた俺の目の前に現れたのは、俺と同世代の女の子の姿などではなく、白と青の2色の壁だった。
「へ?」
予想外の光景に自分でも間抜けだとわかるような声をあげてから、俺はとんでもない勘違いしていることに気付いた。
壁だと思った物は微かにではあるが風になびくように動いていて、それが布製の物だとわかった。
そこから少し顔を上げると、2枚の布は急激に自分に向かって盛り上がり、まるで雨宿りでもできそうな感じで俺の頭のかなり上あたりで盛り上がりを止めていた。
この時点で嫌な予感はしたのだが、今度は逆に目線を下げてみると、布の壁は途中で途切れデニムのホットパンツへと変わっていた。
ここでようやく、目の前にいるのが人間で、しかも二人いるということが理解できた。
そういえば父はさっき、これから来る女の子を『彼女達』と言っていた気がする。
なるほど、確かに父の口からは一度も一人とは言っていなかった。
ただそうなると、今度はさらなる疑問が発生する。
彼女達…これから僕の妹になるこの二人は、一体どれだけの巨体なんだろうか?
ついさっきドアを開けた時、視界に入ったのは彼女達の顔ではなく服だけだった。
しかもその服は自分の頭の上あたりでまるでミサイルのように盛り上がり、前方に突き出されていた。
おそらくあれは、一体どれくらいのカップなのか分からないが、彼女達の胸だったのだろう。
それに今視界に入っている、ハーフパンツから伸びる二人の脚は、ありえないぐらいに太く、そして長い。
片脚だけでも間違いなく俺の胸周りよりも太いその脚は、ただ太いだけではなく一目見て凄まじい筋力を秘めているのが分かるぐらい、発達した筋肉で覆われている。
もしこの脚に挟まれて、力を込められでもしたら…想像し、ついショートしかけてしまった俺は、茫然としてしまい身体を動かすことが出来なかった。
「あなたが悠俊さんね!」
突然、驚きで身体をすくめていた俺の名が、活発そうな可愛らしい声で頭の遥かに高い位置から発せられた。
俺は慌てて身体を一歩引いて声の主を見上げると、ついに妹達の顔を見ることが出来た。
背中まで伸びている彼女達の髪は艶やかな黒髪で、被っている赤色の某MLB球団のスポーツキャップからこぼれている。
顔もまた美しく整っていて、化粧っ気は全くないけどティーンズ系のファッション雑誌で取り上げられてもおかしくないような可愛らしい美貌の持ち主だ。
その美しい顔が全く同じで二つ、そのうち片方は横に並んで困ったような表情で俺を見下ろしている。
…ん?まったく同じ?
「双子…?」
俺を見下ろしていたのは間違いなく双子の、しかも外見の酷似した一卵性双生児な巨大爆乳筋肉美少女達だった。
「あれ、パパから聞いてなかった?じゃあもしかして名前も聞いてない?」
青いタンクトップを着た元気な少女(首が痛くなりそうなぐらいの見上げるような大女だけど)の質問に、少し気圧されながらも俺は頷いた。大体名前どころか妹が出来ること自体ついさっき聞かされたばかりだし、そもそも二人もいるなんてことは聞いてすらいなかった。
「しょうがないなパパは………じゃあ自己紹介ね。私は夏輝(なつき)!今日から悠俊さん、じゃなかった、悠にぃの妹になります!よろしくね!」
そう言って夏輝と名乗った少女は、元気よく頭を下げた。
その動きだけで、まるで詰め物でもしているのではないかと思うぐらい不自然なまでに巨大な二つの膨らみが、俺の顔の寸前に振り下ろされた。
常識外れの大きなその巨体の中でも、規格外のサイズを誇るモンスターサイズのバスト。
俺はその揺れに、ついついゴクリと唾を飲んでしまう。
「ふふっ、悠おにいちゃん、麻雪(まゆき)です。よろしくお願いします」
そんな俺の心の内などお構いなしに、今度は夏輝の隣に立っていた白いタンクトップの少女が優しげな口調で口を開いた。
夏輝に負けず劣らず凄まじい肉体を持つ少女、麻雪は、元気が溢れんばかりの夏輝とは逆におっとりとした、落ち着いた感じの声で自分をお兄ちゃんと呼ぶと、ぺこりと優雅に頭を下げた。
こちらの胸もまた、夏輝と同様タンクトップ越しでもわかるぐらい途方もないサイズをしている。
しかしその肉体とは違い、どうやら性格は正反対の2人のようだ。
「ほらほら悠にぃ、せっかくこんな可愛い妹達が来たんだから、早く家の中に入れてよ!あんまり遅いと…こうしちゃうぞ♪」
突然、二人の声を聞いてようやく落ち着いてきた俺を、夏輝の丸太のように太く逞しい両腕が軽々と持ち上げた。
そしてそのまま引っ張り込まれると、俺の頭は夏輝の胸に下から深く埋められてしまった。
見ただけではわからなかったが、夏輝の胸は大きいだけでなく、凄まじいボリュームがある。
ただ挟まれただけなのに、ミシミシと音がしてきそうなぐらい頭にかかってくる乳圧。
そのあまりの苦しさに、俺は必死になって両腕を振り回して夏輝の胸を叩いた。
が…
「ん~悠にぃ、くすぐったいよ。ちょっと気持ちいいけど…妹のおっぱいを撫でちゃ駄目だよ♪」
腕に伝わる感触はまるでゴムの塊を殴っているかのようで、叩いているこっちの手が痛くなってくるのに、夏輝には気持ちのいい愛撫ぐらいにしか感じていないようだ。
力ずくで逃げ出すことが絶望的になり、このまま死ぬのかな、なんていよいよ思い出したその時、勢いよく俺の身体は夏輝の胸から引っ張り出された。
「駄目よ夏輝。私達の胸に挟まれた、悠おにいちゃんの頭なんて簡単に潰れてしまうんだから」
僕を夏輝の胸から救ってくれたのは、麻雪だった。
凄まじい力で引っ張られ、後頭部をこれまた夏輝に負けないボリュームと張りを持つ麻雪の胸にぶつけられたけど、幸い力の加減はしてくれていたらしく、さっきみたいに埋め込まれずには済んでいる。
「悠お兄ちゃん…大丈夫ですか?」
眉尻を下げ、心配そうな表情で麻雪が問いかけてくる。
夏輝とは違い、優しく僕の身体を抱えてくれているが、押しつけられている肉体は服越しにでも夏輝並みのモンスターボディだということが分かる。
その肉体とは裏腹に優しい物言いに、つい顔を赤らめてしまう。
「ま、麻雪ちゃん、大丈夫だ…」
「そうですか!よかった…」
無事であることを告げると、とたんに麻雪の表情がぱぁっと明るい笑顔に変わった。
ああ、本当にいい子だな、この子は。
それに比べて夏輝は…
「あ、麻雪ずるい!私だって悠にぃのことギュッとしたいんだから………そうだ!」
名案が浮かんだとばかりにポンッと手を叩くと、夏輝はゆっくりと前に歩き出した。
その行動により、夏輝と麻雪の距離が詰まる。
それはつまり、俺と夏輝の距離も縮まるというわけで…目の前に、先程本人にとっては軽く抱きしめただけで俺のことを窒息寸前にまで追い込んだ、夏輝の桁違いの爆乳が迫る。
このままいくと…
「ちょ、ちょっと待て夏輝…むぐっっ」
「夏輝、ダメ、悠お兄ちゃんの頭を潰しちゃう!」
「えへへ~可愛い妹の麻雪&夏輝の、ダブルおっぱいプレスだよ♪ちゃんと力加減してるから大丈夫だって♪」
恐ろしいまでの巨大さと密度を誇る4つの爆乳が、前後左右から俺の頭を包み込む。
これまで持っていた自分の想像をはるかに超えた爆乳に挟みこまれると、そのあまりの乳圧に呼吸が出来なくなっていく。
これは…やばい…かも…
まさか突然初めて会うことになった、可愛くも巨大で逞しい妹のおっぱいによって人生の幕が下りるなんて…
薄れゆく意識の中、ようやく俺の状態の危険さを感じた夏輝の慌てた声が聞こえてきたような気がしたのだが…それを確かめられたのは、気絶から気が付いた2時間後だった。
うん、どうにか生きてました。