装飾品店

「大変お待たせいたしました。」
店員が一斉にお辞儀をする。

「いいえ、いいのよ。皆様が私の為に頑張ってくれたんですもの」
その女性は笑顔で答える。

「私ども正直あなた様のような高貴な方に商品を提供するなど夢のようです」
「本来であれば、ショールームでお出迎えするのですが、
あなた様の様な方が入店する事など考えてもいなかったので
自宅に呼んで頂きありがとうございます。」
と店員はさらに深くお辞儀をする。

「もう、そんなに深くお辞儀したら小さい体がもっと小さくなるわよ。
素敵なショールームな事はHPで分かってるわ。でも私の踝ぐらいじゃ仕方ないわよ。
大体いい商品を提供出来るだからもっと堂々としないと。」

そう言われると店員が一斉に顔を見上げその女性の顔を見る。

所得の違いによって体の大きさを変えれる時代が来ていた。
それはある薬品会社が開発した薬であったが
とてつもなく高価であったが飲んだ分だけ巨大化出来てしまった。
男性は全く効果がなかった。
そのおかげで女性の所得格差は体格差で表される世の中となった。

この店では、低所得者層向けの商品を提供していたが評判を呼び
今回、始めて高所得者層のお客が発注したのだった。

女性の家にある化粧台の上にお店からやってきた店員80人くらいが並んでいる。
その女性は化粧台の椅子に座って店員たちを見下ろしている。

「それでは、商品はこちらになります。」
店員の一人が手を上げると数人の店員がシートを取り払うとネックレスが現れる。

「まぁー綺麗!!」

繊細なデザインのネックレスは、職人総勢100名が約半年を掛けてチェーンに
ミラーボールのようなカットを施し様々な角度から光を受け輝きを放つ。
プラチナ素材そのものの美しさ、重厚な輝きが引き立つように作られていた。
ペンダント部分は菱形をモチーフに大きく制作された。

「今回始めてこのような長さと太さの物を作らさせて頂きました。
正直お客様のお力加減によっては、壊れてしまう事があるかもしれませんが
その時は改善して対応させて頂きます。その時には何なりとお申し付けください。」

「何言ってるの?そんな事しなくていいわよ。他のネックレスも簡単に壊れちゃうから
その都度修理して貰ってるし、いいわよその時はちゃんと修理代言ってくれれば」

「左様ですか。それではお言葉に甘えます。」

「着けてみるわ」

そういうとネックレスを持ち上げた。
「あら以外に軽いわね」

そんな言葉に店員たちは驚いている。
あのネックレスを作るために今回、重機を大量購入した。
そうでないとチェーンの部品単体だけでも数十人でようやく移動が出来る。

そんなネックレスを高所得者の女性はいとも簡単に持ち上げ首に巻き
化粧台にある鏡を見ていた。

「まぁー素敵。。。でもチェーンが少し長いわ。ペンダントが胸に挟まるわ」

と店員も見上げその様子を見ている。
ペンダント部分は、全長5m位の大きさであるが完全に胸の谷間に隠れてしまっている。

「左様ですね。今すぐに調整しますのでこちらの方に置いていただけませんでしょうか?」
と言うとネックレスは再び元に戻り、一緒に同行してきた職人50人によって
調整が始まり30分程度で終了した。
「まぁー早いわね。他のお店だと1ヶ月くらいかかちゃうのに・・」
と満足げにネックレスを再び試着し
「ちょうどいいわありがとう。」
店員達は安堵した。

取扱いや支払方法を説明し、女性は店員たちを自分の家の玄関先まで運んだ。

玄関先店長が
「本日は、御購入頂きありがとうございました。また何かありましたら何なりと申し下さい。」
言うと店員たちが一礼をする。

そんな様子を女性は屈み込んで見下ろしている。
「本当にいいネックレスだったわ。他にも色々頼むので宜しく願いね。」
そういうと店員たちに笑顔がこぼれる。
「あと、この事は早苗ちゃんにも言うからまたよろしくね。」

「早苗様と言うのは西条早苗様でしょうか?」
店長がその名前に驚く
「そうよ。私の後輩なのよ。あんなに大きいけど」

西条早苗は若干19歳で元々家が大富豪であったが彼女自身も16歳のころから
事業を立ち上げ今では世界No1の実業家である。

「早苗ちゃんは巨大になるのが趣味なのよ。最近は、大きくなりすぎて社員と話が出来ないと困ってるとか
あっここで言う社員って私より大きな女性社員ね」

その発言に店員たちはポカンとするしかなかった。