三角関係 旧友

1日の仕事を終えて家に帰る幸次は疲れ果てていました。
家路に着くには、この曲がり角を曲がるだけでした。
曲がった先の道路は幸次と小枝子だけが使う道路になってしまいました。
あるのは道沿いにある森林の様な大きな綾子の庭でした。

そんな道路の真ん中に大きな岩石が落ちていました。
きっと綾子の仕業でしょう。
岩石の大きさはトラックと同じくらいでした。
幸次が見上げるほどの大きな岩石で、渾身の力を入れてもビクともしません。
かと言ってトラックを置いて歩いて帰るには30分要します。
「綾子に頼むしかないか・・」
トラックに戻り、クラクションを鳴らし続けました。

「あら幸次さんじゃない。どうかしたの?」
鳴らし続けたクラクションに気付いたのはお茶から帰宅しようとしていた沙織でした。
クラクションの音で気付くとそのまま屈み込んでフロントガラスから運転席を覗き込みました。

「沙織、ひさしぶりな所悪いんだけど、 あの岩を退けてくれないか?」
フロントガラス越しに見えた大きな沙織の顔に安堵を浮かべながら窓ガラスを開けて叫びました。
「岩?」
不思議な顔をする沙織に幸次が指をさしました。
指を刺した場所は沙織が屈み込んだ真下で両脚の間に岩がありました。
「あっ。この小石を退けるのね。岩って言うからもっと大きいかと思ったわ」
「何言ってるんだよ。沙織には小石かも知れないけど僕にはビクともしない岩だよ」

屈んでる沙織の顔を見上げて話してましたが沙織の服装はチューブトップにミニスカート姿でした。
屈んでる時には岩と顔の間にはミニスカートでは隠せないピンクのレースが可愛いショーツが見えてしまい目線に困ります。

「まっこんな小石も動かせない幸次さんってちょっとショックだわ。昔はあんなに頼もしかったのに・・・」
沙織は微笑みながらもキツイことを言います。
「今の沙織にはどんな男も敵わないよ」

沙織の言葉に幸次は恐怖を感じている。
男たちの間では、沙織は小さな男に執事を頼んで力の差を弄んでいるという噂が広まっています。

「そうね」
その幸次の表情を読み取った沙織は足元にある小石を摘まみ上げると、すり潰してしまいました。
「私は逞しい男に助けて欲しいのだけどね。こんな小石でも何人も集まらないと動かせないの?
粉々にするのにどれだけ時間かかるの?私にはどちらも一瞬なの・・・残念なのよ」

沙織の言葉にその場から逃げようと考えました。
「あら、私が幸次さん持ち帰ったら小枝子も綾子も怒るからそんな事しないわよ。
小枝子はまだ小さいから何とかなるけど綾子は執念深いから・・・あっそうそう。」

沙織が思い出し、幸次に忠告しました。
「綾子は幸次さんを自分の家に連れて行くのは時間の問題よ。小枝子が巨大化して幸次さんを守ればいいけど
綾子の様子見てると理性で何とか抑えてる感じよ。男なんてアマガエルを捕まえるくらい簡単なんだから・・・
その気になればあっと言う間に綾子の家に連れてかれるわよ」

唾を飲んで見上げる幸次は、今日の朝の出来事を思い出してました。
先ほどの岩をすり潰すような、あの大きな指先に敵うなんて思いもしないし、
力を入れ間違えられたらあっさり潰され命を落としてしまう。

「それが嫌なら、早く小枝子を説得して巨大化して貰う事ね。それじゃ私帰るね。」
その場去ろうとして沙織は振り返った所で

「あっそうだわ。」
ポーチの中にある小さな箱を取り出しその中からまた更に小さい箱を取り出した。
「はい、豊胸剤よ。どうせ小枝子も幸次も持ってないだろうからあげるわ」
指先に乗っている豊胸剤の箱を幸次の前に落としました。

呆然と見てて何も話すことが出来ない幸次を無視してその場を去っていきました。
豊胸剤を貰っても小枝子が巨大化してくれるなんて到底思えません。
しかし、綾子の今朝の態度は、いつ連れて行かれても仕方ない状況です。

幸次は二人の女に振り回されていました。

幸次が帰宅すると、いつも通り晩御飯を作っていました。
最近、小枝子の方が帰りが遅いため幸次が晩御飯を作り、小枝子を待っています。

今日は色んな事があったと晩御飯を前に振り返っていました。
なんで女だけが大きくなってしまうのか・・・もちろん男達も何度となく
豊胸剤を飲んでみましたが全く効果がありません。
もちろん研究も進んでいるみたいですが、根本にある男女の遺伝子の違いが
巨大化に影響を与えてるようです。

最近はトラックを運転していても巨大女によく遭遇します。
今日は、トラックが一台通行できる道路にヒールで打ち抜かれ大きな穴があり、
そこにタイヤが落ちて身動きが取れなくなりました。
トラックを降りて状況を確認していると後続車と対向車で渋滞となってしまい、
その人たちも車から降りて幸次のトラックの周りにやって来ました。
一度は20人くらいでトラックを持ち上げようと試みましたが到底動くものでもないし、
牽引して引っ張れるような車もありませんでした。

仕方なく救援を呼ぼうとすると目の前から巨大女がやってきました。
トラック近くで立ち止まって周囲の状況を見下ろしていました、
幸次たちは、そんな巨大女を見上げてトラックの救援を必死に頼みました。
すると仕方ないような顔で指先でそっと持ち上げてくれました。
その行為にその場にいた男たちはその巨大女に賞賛の意味を込めて拍手をすると
恥ずかしそうな笑顔でその場を去っていきました。

巨大女にすれば、何気ない行為でも小さな男たちにとっては
劇的な変化が生まれた行為でした。おかげでその後すぐに渋滞が解消しました。

もうこの世の中は巨大女で動いていると言ってもおかしくありませんでした。
小さな男は小動物扱いと言っても仕方ありません。
巨大女に飼ってもらう事で生活が出来る様になりつつあります。

幸次には小枝子と言う愛すべき嫁がいます。
がその嫁は巨大化を拒んでいます。
そのおかげで幸次は綾子に狙われています。

もし、綾子に連れて行かれたら小枝子は綾子を怒るのでしょう。。。
しかし綾子は小さな小枝子の事など何の気なしに無視する・・・
いや・・・あれだけの執念を持っているのならこの家ごと潰してしまうかもしれない。

・・・・ダメだ

机の上には沙織からもらった豊胸剤が置いてある。
やるしかないのか・・・・


幸次は箱の中から豊胸剤を取り出しました。